知識の蓄積は雪だるま作りに似ている
本連載は、2016年11月に発売された『デキる人が「あたり前」に身につけている! 仕事の基礎力(すばる舎)』の内容に、具体例や詳細な説明を追加したり、ページ数の関係で割愛せざるを得なかった図版などをご紹介する解説記事です。(書籍の概要はコチラをご参照ください。)
本日は、第30項で取り上げた「読書」に関するお話です。
なぜ、たくさん読むと良いのか
本書の中では、「とにかくたくさん本を読め。何を読んだらいいか、と悩んでいる時間の方がもったいないから、悩む暇があったら読もう。」ということを述べています。
もちろん、第9項「スタート時に心血を注ぐ」で述べたように、プロジェクトに参画したタイミングなどに短期間で情報を得たい場合には、「入門書→業界本→専門書」の順で3冊読み切る、というようなテクニックもあります。
しかし、多くの場合(特に、いわゆる事業会社に所属している場合)、本を読むというのは、自己啓発に分類されます。目の前の仕事に直結するかどうか、ではなく、中長期的なスキルアップに役立つような情報を得るために読むことが多いのです。仕事に必要な情報は、職場内で教えてもらえるようなケースが多いんですよね。
そうすると、何を読むかよりも、どんだけ読むか、の方が、わかりやすい指標になります。特に、若手のうちは、迷わずたくさん読みましょう。
読めば読むほど早くなり、内容も身につく!
さて、書籍内で僕は「読めば読むほど、本を読む速度は上がり、その内容が血肉になる」という話をしています。そして、その理由として、いわゆる活字慣れとは別に、以下の2つを挙げるげました。
- 既に知っている内容が増える
- 知っている内容と、新しい内容を紐づけて記憶できる
本稿では、この2つの理由について、図解を加えつつ補足説明をしていきます。
努力すればするほど、学習効率が良くなる
この図は、【”考え方”を考える】本から得た知識で「経験不足」をカバーする という記事において使用した図です。
「知ってること < 知らないこと」から「知ってること > 知らないこと」へ
既存知識が少ない間は、知っていることの方が、知らないことより少ないです。そうなると、本を読むときに苦労が大きいです。1ページごとに、あるいは、1行ごとに「どういうことだ?」「これは、何の話だ?」と考えないといけなくなります。こういう状況では、ページも理解もなかなか進みません。
しかし、本を読むにつれ、知識量が増えてきます。知識量が増えれば増えるほど、「新しいこと」が減ります。これにより、一冊の本(に書かれている情報量を処理するの)にかかる時間が短くなります。もちろん、新しい業界・領域の本を読むときには苦労するわけですが、その領域の本を数冊読めば、それも解消されます。
知識は「他の知識と紐づけて理解する」と身につく
また、知識が増えてくるにつれて、既存の知識を核として、その周辺に新しい知識を関連付けしながら記憶することができます。例えば、新しい業界・領域の本に触れた場合も、他業界の知識と紐づけることができれば、その内容理解の速度と深さは劇的に改善されます。
紐づけ方のバリエーションは、図中にもある通り、以下の4つが代表的だと思います。
- 似ている概念である
- 具体的な事例である
- 詳細な説明である
- 相反する視点・情報である
尚、これをしっかりやると、却って、時間がかかります。が、それはそれです。単に早さと量を求める時期は必要ですが、知識量の増加に伴い、目標を「質」を志向していくのも悪い選択ではないのです。
さぁ、今すぐ始めよう。
上述した関連記事の中でも述べたのですが、本稿をここまで読んだあなたがやるべきことは一つです。そう「いますぐ、本を読みはじめる」です。
上図の通り、知識量と努力量が二次曲線を描く関係性であるならば、スタートの遅れが致命的な差になります。(もちろん、どっかでサチる=飽和するだろう、という話はありますが、まぁ、概念的な話ですよ。)
要は、誰と戦うかというお話です。同期や後輩に先んじたいなら、とにかく、早く始めることが重要です。また、先を行く先輩や上司に追いつき追い越したいと考えるなら、努力量を増やして彼らよりも早い速度で右に進みましょう。
知識獲得に関しては、先手必勝がセオリーです。雪だるまをつくるときを思い出してください。まずは、小さな雪玉をつくるところからですよね。さぁ、いますぐ雪玉をつくり、ゴロゴロと転がし始めましょう!!!