本記事は、株式会社ギックスの運営していた分析情報サイト graffe/グラーフ より移設されました(2019/7/1)
人の流れを押さえることは、非常に重要なこと
本日(2015/4/23)、ITproに、屋内高精度測位に関する記事が掲載されました。
- [1]東京駅周辺で15社が高精度測位を競う! 2020年見越し競争過熱 (2015/04/23)
この記事を、読み解いていきたいと思います。
記事概要
本記事では、2020年の東京五輪開催を見越し、外国人観光客への対応なども含めて、屋内の高精度な位置情報を押さえることに関心が集まる中、そのためのテクノロジーがまさに勃興してきていると紹介されます。
記事で紹介されたテクノロジー
- BLE(Bluetooth Low Energy)ビーコン(iBeacon)
- 地磁気測位(電子コンパスを利用)
- 自律航法(加速度センサー)
記事で紹介された活用法
- 位置情報を生かしたマーケティングや、病院などの建物内における要員・設備の所在管理などへの応用を目指している(インテック)
- 展示会などに最新技術を出展すると、ショッピングセンターや駅のような広い構内を管理する事業者が強い関心を持っているのを感じる(ゼンリンデータコム)
これに関して、記事では、訪日外国人対応という視点での活用をとりあげている。
これには、訪日外国人が急増しているという事情が関係している。大きな駅やショッピングセンター・百貨店などの集客施設では、案内カウンターと担当者を置いて来訪者の手助けをしている。外国人が多数訪れる施設では英語を話せる案内担当者を置く必要がある。
しかし、訪れる外国人がさらに増えたり、中国や東南アジアなど英語圏以外からの来訪者が増えたりすると、それに対応できる人材をそろえるのは難しくなる。2020年の東京五輪に向けて、この傾向はますます強まる。
案内担当者の負担を減らすために、機械翻訳やタブレット活用など様々な手法の開発・検討が進んでいる(関連記事:訪日外国人急増、待ったなしの多言語対応)。その一つの手段として、屋内高精度測位を活用したスマートフォンのナビを使って、来訪者に「自己完結」してもらうことも有力な解決策になる。
果たして、それだけか?
この記事は、連載の第1回であり、具体的な活用については、第2回でインテック、第3回でゼンリンに取材した結果を述べてくれるようなので、具体的な活用方法の詳細については、そちらに期待したい。しかし、現時点で記事に書かれている”活用の方向性”は、graffe.jpの考える「屋内位置情報」の活用方法とは少し異なっていると感じるため、それについて述べていきます。
位置情報を生かしたマーケティングって?
尚、インテック社に関しての記述でもあった「位置情報を生かしたマーケティング」という言葉は、graffe.jpの考えるものと近い可能性が高いと思っていますので、その用語をお借りして、お話を進めます。(なので、第2回の内容には、とても興味がありますね)
その「位置情報を生かしたマーケティング」ですが、これは、おそらく「”誰が”+”どこに”いるのか」というものを意識しているように思います。そこまでわかれば、本当に色々なことができます。いわゆるOne-to-One Marketingで、最適な情報をPUSH型で発信することができますので、目の前のお店のクーポンを送ったり、来店してから施設内の飲食店に一度も入っていない人に対して”すぐに入れる飲食店”を教えてあげるなどができるでしょう。
ただ、そんなことの「かなり手前」に、もっともっと、いろいろとできることがあるんじゃないかなーと思うのです。
人流分析で「ヒートマップ」をつくれ!
ギックスでは、grid(グリッド)というサービス名で、店舗内の人の流れを掴み、そのエリアの売上に人の流れがどれくらい貢献しているのか(あるいは、貢献していないのか)を探る取り組みを推進しています。
これは、「google Analytics」でできていることを、リアル店舗にも導入したい、という思想で設計されています。つまり、「新興のweb小売業者」にできている分析を、「老舗のリアルチャネル小売店舗」にもできるよにしたい、と考えているのです。
リアル店舗には、さまざまな「通説」「定説」「定石」があります。それらは、ノウハウとして各チェーン・各店舗に根差していますが、リアル店舗の性質上、それを検証しにくいことから、”勘”・”経験”・”嗅覚”に依存したビジネスだという指摘を受けてしまうことが多いように思います。こういうリアル店舗を「データで勝負できるビジネス」にするための、お手伝いがしたいのです。
そうすると、テクノロジーの選択の幅はいろいろある
そうすると「個人の特定」のようなテクノロジーは、最初の段階では必要ありません。
「どのエリアに、どれくらい人がきてるの?」ということで十分戦えます。そうなると、使えるデバイスは「カメラ」「赤外線センサー」などの、いわゆる「枯れたテクノロジー」でも十分です。
テクノロジーが枯れていようと、枯れていまいと、そこから得られたデータを分析し、解釈するというところのむずかしさは変わりません。graffe.jpは「いま使えるテクノロジー」を使いながら”データを読み解く力”・”データを元に考える力”を鍛えることによって、今回のITproで紹介された最新テクノロジーが安く・簡単に使えるようになったときのための準備を進めることが、リアル店舗でビジネスを行う小売業者の皆さんが「いま、おこなうべきこと」なのではないかと思います。
新たなテクノロジーをチェックし続けるとともに、できることから、順番に始めてみてはどうですか?