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流行らないWindows 10。Microsoftはアップグレードの方針を転換した
Windows 10がリリース(2015.07.29)されてから約3か月が経ちましが、ニュースや周りパソコン利用者を見る限り、あまり流行っていない気がします。そんな中、『Windows 10へのアップグレードが「推奨される更新プログラム」に“格上げ”へ される』というニュースが飛び込んできました。実際のパソコンOSのシェアと見ながら、なぜ、Windows 10が流行らないかを”ななめ斬り”したいと思います。
【参考:ITmedia】「Windows 10」へのアップグレード、来年には「推奨される更新プログラム」に“格上げ”へ
Windows 10へのアップグレードについて
現在、Windows 10を入手する方法として、OSの入ったパソコン購入、OS単体での購入、OSのアップグレードの3種類があります。この内、OSにアップグレードについては、Windows 7、またはWindows 8を対象として、Windows 10のリリース日から1年間(2015.07.28まで)無償で行うことができます。(Windows 10へのアップグレードについてはこちらの記事を参照)
しかし、10月29日(米国時間)の米MicrosoftのWindows and Devices Group担当上級副社長テリー・マイヤーソン氏の発表によると『近いうちにWindows 10へのアップグレードは「Windows Update」の「オプションの更新プログラム」(手動でインストールするプログラム)になり、来年初頭には「推奨される更新プログラム」に“格上げ”される。』との事です。
要するに、今まで”任意“で行っていたWindows 10へのアップグレードについて、来年初頭にはWindowsの修正プログラム(パッチ)のインストールのようにWindows 10へのアップグレードが、半ば”強制的“に行われることになります。発表によると「Windows 10へのアップグレード途中に継続するかの確認画面」、「アップグレード後31日間は元に戻せる」機能が付くようだが、何も知らないユーザーの混乱は避けられないと思います。
未だにパソコンOSのシェアの過半数はWindows 7
Windows 10へのアップグレードの方針転換について、Windows 10の修正プログラムが当たり、OSとして安定してきたこともありますが、Windows 7からWindows 10への移行が進まない現状にあるのではないかと考えます。
下記は、NetMarketShareから調べたパソコンOSのシェアです。NetMarketShareの情報は、インターネットに接続されているパソコンに限定されますが、それでもWindows 7のシェアの大きさに驚かされます。対するWindows 10は、7.9%(2015年10月)と非常に小さいことが分かります。そして、1か月のWindows 10のシェアの拡大は、たった1.31%だけです。このグラフからもWindows 7からWindows 10への移行が、全然進んでいないことが分かります。
Windows 10に乗り換える必要性が見当たらない
Windows 10では、「Windows 8の全画面のスタート画面」から「Windows 7のようなスタートメニュー」に戻ったことにより、Windows 7ユーザーが抵抗なくWindows 10へアップグレードしてくれると、Microsoftは想定していたでしょうが、実際のところは違ったようです。ではなぜ、Windows 10は、流行らないのでしょうか? 勝手に予想を立ててみました。
- 世間の注目がパソコンからスマホに移った
- パソコンの買い替えサイクルが短くなった
- Windows 10に乗り換える必要性が見当たらない
- Windows 10に無償でアップグレードできる事を知らない
- 新しいOSに乗り換えるのが怖い
- 企業でWindows 10にバージョンアップを行わせない
- 新しいソフトウェアが発表されてもWindows 7移行のOSに対応している
Windows 7がリリースされる以前は、パソコン性能の進歩が激しく、新しいソフトを使うためには、新しいパソコンが必要になる事が多かったです。しかし、最近のパソコンは、ある一定基準に達しているため、普通に使うことを考えれば買い替える必要性はなくなりました。更に、Windowsの機能も一定基準に達しているため、「この機能を使いたいからOS、またはパソコンを替える」という必要に駆られることが少なくなってきていると思います。
Windows 7からWindows 10に移行してもらわないとMicrosoftが困る
Microsoftは、「新しいOSを売って直接収益を得る」従来の戦略から、Windows 10以降から「新しいOSを流行らせて、そのOSの機能・サービスを使って間接的な収益を得る」という新しい戦略に切り替わりました。そのため、Microsoftとしては、Windows 7からWindows 10に移行してもらわないと収益を得ることができません。さらに過半数のシェアを占めるWindows 7のサポート体制を緩めることはできません。企業にとって、サポートする範囲が大きければ大きいほど対応工数がかかるため、支出を減らすことができません。これらの理由によって、Microsoftは、非常に厳しい状況に立たされているかもしれません。
来年、Windows 10へのアップグレードが「推奨される更新プログラム」に格上げされた事により、Windows 10への乗り換えが加速するかもしれませんが、それでも、企業やコアなユーザーは、パソコンが壊れるまでWindows 7を使い続けるのではないでしょうか?