”考え方”を考える|プロジェクト管理とタスク管理は違う:”傍観する作業者”は永遠に”プロマネ”になれない

AUTHOR :  田中 耕比古

「自発的に考え、行動できるかどうか」がプロジェクトの成否を分ける

本日は、新人マネジャーおよび、その一歩手前くらいにいる人が躓きやすい「プロジェクト管理とタスク管理の違い」について考察します。

自分の守備範囲に閉じこもるな!

自分の守備範囲を規定していると、永遠に「プロジェクトマネジメント」はできません。

チャンスは与えられるものではなく、奪い取るものだ、という過激派もいますよね。その視点だと「永遠にチャンスが巡ってこない」ということになります。もう少し穏健派な僕としては、「チャンスは与えられるだろうけど、そんな意識じゃぁモノにはできないよ」という表現になります。

まぁ、言い方に差はあれど言ってることは同じです。自分の”タスクをやりきること”に注力しているだけでは、ワンステップ上の能力は身に付きません。

周囲を「動かす」という意識を持とう

プロジェクトマネジメントにおいて最も重要なのは「周囲を動かす」という意識です。これは「部下に指示して作業をやらせる」ということとは全然違います。

プロジェクトが前進しないと、プロマネの存在価値はゼロ

プロジェクトマネジャー、いわゆるプロマネは、結果を出すことが求められています。要は、プロジェクトを問題なく終結させるために存在しています。システム開発プロジェクトであれば、仕様通りに”動く”システムを完成させることがゴールです。飲み会の幹事だとしたら、人数が入れるスペースを準備し、個室が良い!中華は嫌だ!などの参加者によって提示される条件をカバーしつつ、費用を予算内に収めることがゴールです。

しかし、それが上手くいったかどうかは、プロジェクトが終わるまで分かりません。では、プロマネの評価は、プロジェクト期間終了後にしかつけられないのでしょうか?そんなわけないですよね。プロジェクト期間中は「プロジェクトを”ゴールに向かって”前に進めること」が求められています。

反対にいえば「プロジェクトを前に進められないプロマネは、無能」ということです。

傍観するな、巻き込め

もっとも起こりがちなのが「傍観する」というビヘイビア(振る舞い)です。

プロジェクトを止めないためのコツは、以下の3ステップを滞りなく行うことです。

  1. このままでは「止まる」or「動かない」というリスクに気づく
  2. どうしたら「止まらないで、動き続ける」が実現できるか考える
  3. そのために必要な行動を取る

当たり前のことしか書いていませんね。しかし、多くの人は、この3ステップをこなせません。「3. そのために必要な行動を取る」とすべきところを「3′. ただ傍観する」ということを選択するのです。

しかも、大半の人は、リスクに気づいていないわけでも、対策を考えていないわけでもないのです。気づいていて、対策も思いついたうえで、傍観するのです。

そして、プロジェクトが「見事に止まった」のを確認してから、居酒屋で「いやー、止まると思ってたんだよ」「あれじゃ、ダメに決まってるよね」「俺は3ヶ月前からわかってたね」と同僚にクダを巻き、上司・リーダー・他社メンバーなどの無能を嘆くフリをするわけです。

ProjectManagement001

これって、本当に時間の無駄ですし、勿体ないです。気づいているなら、変える努力をしましょう。

自発的と自律的

作業者として優秀な人は、自律的に動けます。与えられた範囲内で、言われたことを100点あるいは120点取るために”自分で考えて頑張る”能力にたけています。要は、「自分がどうやるか」を日々追求しているわけですね。

しかし、「マネジャーとして振る舞う」ということは、自発的に動く、ということを意味します。誰かに言われたから、とか言ってる場合じゃないです。つまり、こちらはチームとして「誰が何をやるか」を追求する必要があるのです。ここに大きな壁があります。

何をやるかを「自力で」考えよう

プロマネを志すのならば、自発的に、何をやるかを考えるようにしましょう。

ProjectManagement002

作業者は、タスク=WHATが与えられた状態から仕事が始まります。ですので、自分自身でタスクをどのようにこなせばいいか=HOWを考えるわけです。

一方、プロマネは、目的=WHYが与えられた状態から仕事が始まります。(尚、目的を設定するのは、プロジェクトオーナーの仕事です。)そうすると、その目的を達成するために、自分だけでなくチームメンバーや、クライアント・取引先などの社外関係者も含めて、何をやらないといけないのか=WHATを考える必要があります。そうしないと、作業者が作業できませんからね。

このWHATは、日々、変わります。プロジェクト開始当初は、純粋に「メンバーのタスク」を設定することになります。しかし、プロジェクトが進むにつれて、WHATは「進捗状況を確認する」あるいは「課題を洗い出す」「課題への対応(=新しいタスク)を指示する」「プロジェクトオーナーに状況を説明して、判断を仰ぐ」というようなものになります。一度決めたらそれで終わり、なんてことありません。プロジェクト期間中、常に「目的(WHY)を達成するために、何(WHAT)をしないとダメなんだ!?」と自らに問い続けることが求められるのです。

こんなことを、微に入り細に入り、誰かが指示してくれるわけではありません。つまり、自分で自発的に動く、ということになるわけですね。

プロジェクトマネジャーを目指す、あるいは、すでにその立場に立っている方は、是非、この「自発的に考え、他人を巻き込んで行動する」ということを強く意識していただきたいと思います。

SERVICE