ビッグデータ時代の新マーケティング思考
様々な事例が紹介されていた「ビッグデータの正体」に続き、2冊目はマーケティング×ビッグデータに焦点をあてた「ビッグデータ時代の新マーケティング思考」です。
この本におけるビッグデータの定義
“非構造データを含む大容量のデータ”(P.21)とすごくシンプルに述べられています。さすがに、「えっ?それだけ?」と思いましたが、ご安心を。
同ページ以降にちゃんと細かい説明もついています。大容量即ち「ビッグ」と言われるデータ規模の説明に加え、ビッグデータは容量(Volume)、種類(Variety)、頻度・生成スピード(Velocity)の3つ「V」を満たす必要があるとしています。3Vを用いて、ビッグデータを説明することは他の書籍や記事でもよく見られることですね。
どんな時にこの本を活用するか
題名にある通り、マーケティングという観点、特にCRMに重点を置いて話が進んでいきます。そのため、当たり前ですが「ビッグデータ×マーケティングで何ができるか」を知ることができます。
従来のマーケティングに比べ、効果検証とそれに応じた次なる打ち手の精度と実施までの速度が向上した、なぜなら大量のデータを蓄積し、そこから知見を見出す手助けをしてくれるツールがあるからだとしています。
本の中ではDMPやアトリビューションマネージメント等の考え方とそれを支えるテクノロジーの両方を図表を交えて説明しています。マーケティングにおいて、データ活用はホットなトピックなので、この本を読めば、最近話題のマーケティング業界での話題のアプローチとそれを支えるテクノロジーは抑えられるでしょう。
ちなみ、P.35にビッグデータの活用事例が一覧化されおり、前回紹介した「ビッグデータの正体」とは異なり、日本企業の事例が多く記載されています。例えば、愛媛ではミカンの発育にビッグデータが活用されているなど、興味深い事例も載っています。
この書籍で印象に残ったこと
反応者志向のマーケティングへ(P.156)というコンセプト紹介されています。これは従来のマーケティング活動のスタートである詳細なターゲティングから、企業はターゲットを緩めに想定し、例えば広告に反応したユーザーをターゲットとして詳細に分析し、次の打ち手を考えるという考え方です。
この「反応したユーザー」を素早くターゲットとして分析し、効果的な打ち手を導き出す為にPDCAサイクルを細かく回すことが必要であり、その手段がビッグデータ活用であるという考え方はこれはGixoのコンセプトである「小さなPD(CS)∞」に近いので、とても印象深かったですね。
「とりあえず、大量データを処理して分析を回してみたら、こんなことがわかりました」という事例も多い中で、ビジネスに活用する為の手段としてビッグデータ活用があるということが強いメッセージとして伝わってくる一冊でした。