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コンサルタントの提案書に学ぶ 営業思考の 7 Step 〜その⑥

AUTHOR :  網野 知博

「優秀なビジネスパーソン」と言われる人を紐解くと、「営業思考のサイクル」ができている。そのサイクルとは「(状況や背景から)“何かに気付く”」「解決策を考え付く」「(策に従い)実行する」。その「気付き」「解を考え」「実行する」のサイクルを企画書や報告書作成のビジネスの場に活用する方法を、7つのStepに分解して紹介する。
(東洋経済THINK!2010年No.32)

 

7Stepの実践編 提案書によるケーススタディ Step2

Step2:構造化 ~当たり前の先に見えるもの

ここ数年は論理的思考ブームが起きていると言っても過言ではない。MECE、ロジックツリー、ピラミッドストラクチャーなど構造化に関する書籍が氾濫し、多くの人はそれらを身につければ優秀なビジネスパーソンになれると幻想を抱いている。確かに、これらは基礎として必須だ。しかし、「論理的にまとめる」スキルだけ身につけてもビジネスにたいした影響をもたらさない。その先に到達しないと付加価値を生まないのだ。

世の中の情報は氾濫し、混沌としている。それを整理し構造化し、分かりやすくまとめることは一定の価値がある。しかし、それだけでは「当たり前」が整理されたものに過ぎない。それだけでは新たな気付きは生み出してくれないのである。そこから先に価値が存在するのだ。それにも関わらず多くのビジネスパーソンが“論理的思考”を駆使しただけで付加価値を生んだと勘違いしてしまう。そのような過ちを起こさないために事例を2つほど紹介する。

構造化のスキルとして、2軸(マトリクス)を用いることが好きなコンサルタントは非常に多い。私もよくアイデア出しに2軸を使う。調査を行い、構造化する際に、2つの軸を考え、マトリクスで表現して、新たな気付きが得られないか確認する。

例えば、コンビニを拠点とした新たなサービスを考えられないか。現在は法人であるコンビニ(提供者)が、法人向けや個人向け(受益者)にサービスを実施している。ならば、提供者が個人で、受益者が法人と個人となるケースは考えられないか。つまり、「BtoB」、「BtoC」だけでなく、「CtoC」や「CtoB」は考えられないかということである。【図4】

営業思考図4

その後は再度調査することによりネタがあがってくるだろう。「CtoC」はオークションサイトや料理レシピサイトなどで、既にWeb上のビジネスが確立されている。

また「CtoB」には、「電力会社による自家発電の買い取り」のビジネスもあることから応用が可能かもしれない。同様のアイデアをコンビニで提供できないか、新たなビジネスに展開できないか。

次に、同じ2軸をベースにした構造化でも少し趣が異なるものを紹介する。

飲料業界を例に取ろう。飲料業界の企業戦略を検討する時に、重要な2軸を「商品カテゴリ」と「販売チャネル」と想定する。その2軸のMAP上に、飲料業界各社の動向を整理すると、各社の動向を俯瞰することができ、結果的に自社がどのような戦略の方向性をとるべきか仮説が見えてくる。【図5】

営業思考図5

 

 

次回に続く

第1回 コンサルタントの提案書に学ぶ 営業思考の 7 Step 〜その①
第2回 コンサルタントの提案書に学ぶ 営業思考の 7 Step 〜その②
第3回 コンサルタントの提案書に学ぶ 営業思考の 7 Step 〜その③
第4回 コンサルタントの提案書に学ぶ 営業思考の 7 Step 〜その④
第5回 コンサルタントの提案書に学ぶ 営業思考の 7 Step 〜その⑤
第6回 コンサルタントの提案書に学ぶ 営業思考の 7 Step 〜その⑥  ⇒今回
第7回 コンサルタントの提案書に学ぶ 営業思考の 7 Step 〜その⑦
第8回 コンサルタントの提案書に学ぶ 営業思考の 7 Step 〜その⑧
第9回 コンサルタントの提案書に学ぶ 営業思考の 7 Step 〜その⑨

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