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MicrosoftがAndroid/iOSアプリをWindows 10に移植するSDKを発表!モバイル市場に再戦を挑む!!
先日、Microsoftが、iOSやAndroidの開発コードを再利用してWindows 10アプリ作成を可能にするソフトウェア開発キット(SDK)を発表しました。これによって、Microsoftは、Windows 10搭載のスマホを使って、モバイル市場で勝てるかを考えてみようと思います。
今までのMicrosoftのモバイル市場への取組み
世間一般では、「Microsoft≒パソコン」という考えが強く、モバイルでMicrosoftのイメージは、あまり無いと思います。今までは、それでも良かったのですが、最近、特に日本を始めとした先進国は、パソコンの売れ行きは、徐々に下がり、代わりにスマホやタブレットなどのモバイル製品が売れ行きを伸ばしています。(下図、総務省の主な情報通信機器の普及状況)
その中でMicrosoftも全くモバイル市場の開拓を行っていなかった分けではありません。そこで今までのMicrosoftのモバイル市場の取組みを紐解き、今後のMicrosoftのモバイル市場で勝てるのかを考えてみたいと思います。
既にWindowsスマホは発売されていた
Windowsがスマホに入るの?と思われる方も多いと思います。現在、スマホ市場は、iPhone(iOS)とAndroidの2大シェアで、その他のOSのスマホは入手困難です。しかし、過去に1度だけKDDI(au)から「Windows Phone IS12T」というWindows Phoneが発売されていました。(Windows Phoneとは、Microsoftが開発したスマホ用のOSです)
Windows Phoneは、Officeドキュメントの閲覧が可能なことを売りとして発売されました。しかし、メールの自動受信間隔が最短30分などスマホとしての機能が弱かったようです。そして、Skypeなどの多くのメジャーなアプリをインストールできなかったことで、人気が出なかったようです。
Windowsタブレットが一番売れているのは日本かも?「艦これ」と「Surface」の関係
タブレット市場もスマホ市場と同様、iPad(iOS)とAndroidの2大シェアが強いですが、Windowsタブレットも若干シェアがあります。Windowsタブレットは、OS自体はWindows 8のため、通常はパソコンとして、キーボードを外してタブレットとしてのビジネス用途があります。
また、ゲーム機としての用途もあり、Surfaceの公式twitterアカウントが、ゲーム「艦隊これくしょん(艦これ)」のプレイ環境としてSurfaceを勧めている旨のメッセージを送信しました。これにより、Windowsゲームも動作できるタブレットしての認識が高まり、Surfaceがビジネス用途以外でも広く使われるようになりました。
タブレットは、通話機能、メール機能などの携帯端末としての用途の他に、2台目のパソコンとしての用途もあるため、その面でWindowsタブレットのポジションは、十分あると考えられます。しかし、タブレット市場はスマホ市場に比べるとだいぶ小さいです。
iOS/AndroidアプリをWindows 10に移植できるSDKは、スマホ市場への突破口になるか?
Windowsスマホが売れない1番の理由は、対応するWindowsスマホアプリが少ないことです。今回、SDKによって、手軽にiOS/Androidスマホアプリを移植できるとの発表ですが、それは本当に簡単に移植できるのか?移植したアプリは手軽に使えるか?を考えてみたいと思います。
iOSアプリのWindowsスマホ移植は事実上無理では?
複数のニュースサイトによると、SDKを使うことで、Androidスマホアプリの場合、プログラムコードにわずかな変更を加えるだけで移植可能とのことですが、iOSスマホアプリの場合、Windows環境にインポート→コード変更→Object-Cでコンパイルと複数の工程を行う必要があるようで、私の開発経験から事実上iOSアプリは作り直しに近いのでは?と思ってしまいます。
この差は、2つのOSのアプリの開発方法による違いにあります。Androidアプリは、Java開発言語で開発されているため、プログラム自体はそのままWindowsでも実行できます。しかし、iOSアプリは、XCodeという特殊な統合開発環境で開発されるため、iOS、Mac OS以外の互換性はありません。(詳しくは「スマホを取り巻く環境を見てみよう|スマホアプリ開発を考える(第1回)」をご参照ください)
また、Androidアプリからの移植は、わずかなプログラムコードの変更だけとのことですが、画面インターフェース、カメラ機能などのスマホに付属する機器のプログラムコードは変更になると予想されますので「作りこんでいる」スマホアプリは、多くの部分のプログラムコード変更が必要になると予想します。
Windows StoreはApple Store/Google Playになれるか?
開発されたWindowsスマホアプリは、Windows Storeからダウンロード&インストールが行えるようになるようです。これは、Apple StoreやGoogle Playと同様、Windows Store上の各アプリのインストールボタンからワンクリック(タップ)でインストールできるため、Windowsアプリをインストールするときのダイアログが表示されません。そのため、iOS/Androidスマホユーザーにも抵抗無くアプリをインストールできるかもしれません。
アプリが揃えばWindowsスマホは売れるのか?
Windowsスマホへの移行SDKが威力を発揮し、Windowsスマホアプリが揃えば、iOS/Androidスマホユーザーは、直ぐにWindowsスマホに移行するのでしょうか?答えはNoだと思っています。Windowsスマホは、Officeドキュメントが見れることや、既存のWindowsアプリが動作することが特徴になると思います。しかし、現在、iOS/Androidスマホでもレイアウトは多少崩れますが、Officeドキュメントを閲覧できます。つまり、ちょっとしたOfficeドキュメントの閲覧ならWindowsスマホでなくても良いのです。
iOS/Androidスマホには、今まで培ってきたユーザーインターフェースがあります。これらに比べるとWindowsスマホは、これを超えるものではないと予想します。スマホは、機能性も大切ですが、使い易さが重要です。これから、Windowsスマホが発売され、長期間かけてユーザーインターフェースを改善したとき、Windowsスマホのシェアが多くなると思います。
以上の考えから、Windowsスマホは、iOS/Androidスマホと同等の機能や環境を持てると思います。しかし、今までのシェアを揺るがすような衝撃的な発表はありませんでした。Windows PhoneはWindows 10に統合されることになりましす。これによってMicrosoftがモバイル市場にどう切り込んでいくか、動向に期待したいです。
【以下参照記事】
・マイクロソフトは、Windows、iOS、Android、Mac、Linuxの開発者が何十億もの新規顧客にリーチできるように支援します(MS)
・MS、iOSやAndroidのコードを再利用したWindows 10アプリ作成を可能に(マイナビニュース)
・Microsoft、iOS/Androidアプリ→Windows 10移植のSDKを発表(Yahoo!ニュース)