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ビジネス・インテリジェンスレベルを把握するために必要な質問数は?
企業のデータ利活用に関する度合い、言い換えるとビジネス・インテリジェンスレベルを把握するためにはどの程度の質問数が必要でしょうか?
弊社ではたった2つの質問でそれらを把握しています。
少し余談になりますが、ここで言うビジネス・インテリジェンスとは「企業が判断・意思決定、結果として行動につながるための情報」であり、決して分析テクノロジーやITシステムの総称であるビジネスインテリジェンスツールを指しているわけではありません。
さて、本題に戻ります。たった2つの質問とは何でしょうか。
- 「 貴社が大切にしているお客様をどのように定義していますか?」
- 「そのお客様が占める売上・利益の割合はどの程度ですか?」
貴社が大切にしているお客様をどのように定義していますか?
まずは一つ目の質問になります。「 貴社が大切にしているお客様をどのように定義していますか?」になります。実はこれは非常に深い質問になります。正直に書きますと、こちらが望んでいるような回答を頂ける企業様は決して多くはありません。よくある回答として、「年間利用がXX万円以上ご利用のお客様です。」「RFMスコアがXX以上のお客様です。」と言う答えです。
このような回答を頂ける場合は、質問2の答えもセットでお答え頂けます。「年間利用がXX万円以上ご利用のお客様です。そのお客様により8割の売上が占められております。」。「RFMスコアがXX以上のお客様です。そのお客様により8割の売上が占められております。」
場合によっては、「売上の8割を占めるお客様を優良顧客と定義しております。」と言う回答を頂くこともあります。
大切にしている顧客と結果として使ってくれた顧客の違い
このような回答が決して悪いわけではありません。ただ、言い換えると、このような回答を頂く企業様は「沢山お金を使ってくれる顧客が大切にしている顧客である。」と言う事を宣言したことになります。多くのお金を使ってくれるお客様が神様であるという考えもありますが、このような回答を頂くと正直少し残念な気持ちになります。
このような回答で「大切なお客様」と「その顧客が占める売上」を即答できる企業様はデータ利活用の度合いが高いと言えるでしょうか?
弊社の定義からは決してそのようには捉えていません。データ分析はしているが、企業としてデータをインテリジェンスに変えて、成果につなげていくには少し足りない何かがあるのではないか、と捉えております。
では、少し足りない何かとは何でしょうか?
UVP(Understandable Value Proposition)と言う考え方
弊社では、「大切にしているお客様」を「自社の商品・サービスを使うべき顧客」と捉えています。その前提となる考え方として、自社の商品やサービスに関して、顧客が肚落ちする価値、すなわちUVP(Understandable Value Proposition)は何か?と言う捉え方をしています。
多くの企業では、既存の商品やサービスに対してターゲット顧客を想定しています。ターゲット顧客は、企業視点として、どの顧客を狙いたいのかと言う観点で決して間違った考え方ではありません。ただ、少し引いて考えて、自社の商品やサービスに関してUVPは何かと言う点を考えて頂いきます。自社のUVPを明確化した際に、そのUVPを受領すべき顧客、つまりその商品やサービスを使うべき顧客が誰なのか?と言う事を考えることがスタートになります。「自社の商品やサービスを使うべき顧客」つまり、それこそが本来の大切にしている顧客ではないかと考えております。その「自社の商品やサービスを使うべき顧客=大切なお客様」と言うものをきちんと自社内で誰もが分かるように定義して、その定義された顧客を判別する方法を定義して、その顧客測定の定義に従い指標としてモニタリングしていくのは決して優しい作業ではありません。指標化でききて初めて、大切なお客様が占める売上や利益を測ることができるのです。
「 貴社が大切にしているお客様をどのように定義していますか?」と言う質問には、自社の商品やサービスに関してUVPが明確化されており、そして使うべき顧客が明確化されており、その顧客の増やすために数値的な把握の仕方が定義されていますか?と言うことを確認する質問となります。
データ利活用の前にすべきこと
昨今はビッグデータブームであり、データサイエンティストブームでもあります。ただし、データを利活用していくには、単純に大量なデータを分析できる仕組み(情報システム)があればできるわけではありません。また、大量データを分析するデータサイエンティストがいれば成果につながるわけでもありません。トップマネジメントがビジネスインテリジェンス(意思決定につながる、行動につながる情報)を使いこなしていくには、会社として、組織として、個人として、データ分析の前に自社の顧客や商品・サービスに対する考え方が備わっている必要があります。それがあってのデータ利活用になります。言い換えると、トップマネジメントの考えが指標や数値として落ちてこそ、データを分析作業を行う側の人間も初めてインテリジェンスにまで昇華させて行くことができると考えております。
- 「 貴社が大切にしているお客様とはどのように定義していますか?」
- 「そのお客様が占める売上・利益の割合は?」
たった2つの質問ですが、企業のデータ利活用のレベルを把握するには非常に有効な質問であると考えています。