2014年のプロ野球全打席データをクロス集計していきます
2014年のプロ野球の打席データを全量(約6.6万件)手元に置き、さまざまな切り口でクロス集計して、プロ野球全体の打席の傾向を見ていく「プロ野球データでクロス集計 with Tableau」の連載シリーズ。
本日は、前回からスタートの『火事場泥棒』『焼け石に水』『クラッチヒッター』を見ていくシリーズの第2回目です。今回は火事場泥棒な打者、焼け石に水な打者、クラッチヒッターのランキングを2014年セ・リーグの規定打席到達者の27人で見ていきましょう。
ちなみに、『火事場泥棒』は火事場のようなどさくさに紛れて打率を稼ぐ、すなわち大差で勝っている時によく打つ打者、『焼け石に水』は今更打ってもしょうがないような大差で負けいている時に打って打率を稼ぐ打者、クラッチヒッターは試合が竸っている時によく打つ打者のことをいいます。今回の連載では、『火事場』は5点差以上でリードの状況、『焼け石』は5点差以上のビハインドの状況、『クラッチ』は4点差以内の僅差の状況と定義しています。
セ・リーグ 火事場泥棒な打者
まず大差でリードしているときに打率を稼いでいる火事場泥棒的な打者のランクをみましょう。火事場状況での打率と年間打率を比較し、火事場打率/年間平均打率で火事場リフト値を出しました。そのリフト値が大きい順に並べたランキングが以下となります。
火事場泥棒な打者ナンバー1は年間打率は2割5分6厘なのに、火事場打率が4割2分9厘もある、巨人の村田選手でした。私はアンチ巨人な阪神ファンなので、あまりやらしくならないようにコメントは最小限にしておきますが、村田選手は火事場泥棒が似合う気がします、笑(巨人ファンの皆さま、すいません)。次いでヤクルトの雄平、広島のエルドレッド、DeNAの石川、ヤクルトの山田と続きます。ヤクルトの今年ブレイクした雄平選手と山田選手がトップ5に入っているのは個人的には意外な感じがしました。実質活躍するのが1年目なので、貪欲にどんな打席でも打っていった感じでしょうか。
セ・リーグ 焼け石に水な打者
次いで焼け石に水な打者を見ていきましょう。焼け石な状況での打率を年間打率で除した焼け石に水リフト値でのランキングは以下のとおりです。
『焼け石に水な打者』な打者の1位はヤクルトの山田選手でした。山田選手は、『火事場泥棒』でも上位にランクされていました。少し気になったので調べてみると、こちらの記事にあるように、山田選手は月30本の安打数を目標として杉村打撃コーチと握って今年一年望んでいたようですね。それを毎月積み重ねていけば、最後にはシーズン終了時には何かしらタイトルが取れるだろうという数字感の目標で、そのために毎日のティーバッティングにも励んだとのこと。これが今の実力値にちょうどよい程度のチャレンジングな目標設定であり、それが功を奏して、大差の時でも普段と変わらず集中して打席に立てたのかもしれませんね。
次いで『焼け石に水』な打者の2位は我が愛する阪神タイガースの4番ゴメス選手。個人的には勝負強いイメージがあったので意外な結果でした。思いのほか焼け石に水な状況で打率を稼いでいたことを今回データから教えてもらいました。
セ・リーグ クラッチヒッター
最後にクラッチ―ヒッターです。クラッチな状況のリフト値でランキングしたものが以下のとおりになります。
栄えある第一位は、広島の丸選手でした。たしかにチャンスとかいい場面で打ちそうなイメージはあり勝負強い感じがしますね。2位、3位が巨人の坂本選手と片岡選手、4位が広島の菊池選手で、5位は阪神のマートン選手。広島の菊丸コンビが共にトップ5ランクインです。今年は黒田選手も入りましたし、広島手強しですね。マートンは首位打者で、クラッチの状況も強いということで流石です。今年も活躍期待しています。
というわけで、セ・リーグは『家事場泥棒』が巨人の村田選手、『焼け石に水』がヤクルトの山田選手、『クラッチヒッター』が広島の丸選手となりました。イメージ通りなところ、予想外のところはありますが、こうやってデータを見ておくと、今シーズンも同じ傾向が続くのか楽しみになりますね。
では次回はパ・リーグ編をお届けします!
【連載記事】プロ野球データでクロス集計 with Tableau
第1回 2014年 全6.6万打席の紹介
第2回 カウント別の打率
第3回 カウント別打率ランキング 【セリーグ】
第4回 カウント別打率ランキング 【パリーグ】
第5回 大差な時に打つ打者(概要)
第6回 火事場泥棒・焼石に水な打者 【セリーグ】←本日
第7回 火事場泥棒・焼石に水な打者 【パリーグ】
第8回 計算フィールドの利用