本記事は、株式会社ギックスの運営していた分析情報サイト graffe/グラーフ より移設されました(2019/7/1)
目次
Googleさんは検索エンジンの会社、Microsoftさんはソフトウェアハウス。でもAmazonさんって通販屋さんじゃないの?
今日のネット社会においてクラウドというキーワードは欠かせないものになってきました。弊社ブログでもいくつかクラウドについてとりあげています。ここで先日とあるかたからこんな質問をされました。
「クラウドベンダは国内外にたくさんあるけど、やっぱりAmazon Web Services(AWS)が有名だよね?でもAmazonって元は本屋じゃないの?なぜ巨大IT企業のGoogleやMicrosoftと並んで有名なの?」
今日はこのことについて簡単に説明したいと思います。
今の日本におけるAmazon・AWSの関係をざっくりと
[1994年]
米国アマゾン・ドット・コム(Amazon.com, Inc.)が、 前身であるCadabra.comとして誕生しました。現在巨大通販サイトとして名をはせているAmazonも当時はインターネット書店としての開業でした。
[2000年]
アマゾンジャパン株式会社(Amazon Japan K.K.)がAmazon.comの日本版通販サイト「amazon.co.jp」が誕生しました。
[2006年]
米国アマゾン・ドット・コム(Amazon.com, Inc.)がクラウドサービスの提供を目的としてAmazon Web Services, Inc.(AWS)を設立しました。
[2010年]
マーケティングサポートサービスの提供を目的としてアマゾンデータサービスジャパン株式会社が誕生しました。
これを見ると、現在我々は米国AWS社のサービスをアマゾンデータサービスジャパンさんのご支援を受けながら使っていることがわかります。極端に言うと、我々はクラウドサービスを通販サイトから提供されているわけではないのですね。
で、なぜ通販サイトであるAmazonのクラウドが有名なのか?
膨大な物流情報を扱う通販サイトであるアマゾン・ドット・コムはもともとその内部に巨大なシステムを所有・運用していました。ここまでは他の通販サイトと同じであったことでしょう。さらにアマゾン・ドット・コムの事業急拡大に伴って、同社には激増するデータ量や業務を処理するためにサーバ資源やネットワーク資源を柔軟に拡充する必要が求められていました。顧客が1社増えたことによってサーバを一台発注して業務システムをインストールして…という手作業を行っていたのでは、彼ら自身の事業拡充スピードの要件を満たすことはできなかったのです。ここからがアマゾン・ドット・コムのすごいところで、彼らはそれらの作業の「完全な自動化・完全な標準化」を目指します。すなわちITインフラの拡充を物理的な資産の拡充から切り離すべきだと考えたのです。これは仮想化技術の進歩によって実現されるところが大きいのですが、ここで終わらないのが彼らでした。彼らは「自社内で磨き上げられた仮想化技術とそれを実サービスとして適用する運用ノウハウ」そのものが収益を生むと考えたのです。こうしてアマゾン・ドット・コムは2004年に仮想サーバサービスである「Amazon EC2」の一般顧客向けサービス提供を開始します。それは当時、ITインフラを自社内で保有していたマーケットユーザに驚きをもって迎えられました。そして現在に至るまで多くのサービスのリリースと既存サービスの安定した稼動技術を磨き続けています。
このようにAmazonは自身の持つ高度な技術と先進的な着眼点そして市場の要求スピードに応じてサービスを提供する実行力によってクラウドという一大社会基盤を世の中に送り出し、また今もってそのマーケットの第一人者であり続けています。