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メダルによって、行動をコントロールする
Googleの提供するMMMMORPG(大規模多人数同時参加型オンラインRPG)、Ingressに「メダル:Translator」が追加されました。
Ingressについての考察は、関連記事:Ingress(イングレス)の「狙い」は?|Googleの戦略を勝手に予想 をご一読ください。
追加されたメダルは「Gryph Hack」の実績で決まる
上記関連記事でもご紹介した通り、Ingressの基本動作は「現実世界にあるランドマークと対応した”ポータル”を”Hack(ハック)”していくこと」です。くどいようですが、Hackというのは「その地点に行ったよ」という証明のようなものです)
他にも色々と、取れる行動があるのですが、それは上記関連記事などをご参照いただくとして、それらの行動を「どれだけ沢山行ったか」に応じて”メダル(実績に応じた勲章のようなもの)”を貰うことができます。
そこに、今回「Gryph Hack(グリフハック)」と呼ばれるHackの応用系であり、言わば「少し手間と時間のかかるHack」をどれだけ上手にできたか、に応じて”メダル”を与えるという仕様が追加されました。
尚、この”メダル”というものを集めると、レベルアップができます。また、メダルには”ランク”があり、高いレベルを目指すには、多くのメダルを、高いランクまで集める必要があります。つまり「メダルを集めていく」という行動は、「ゲームをやりこむ人にとって必須」なわけです。
ですので、「手間をかけて Gryph Hack をすれば、あなたはゲーム内で価値が高い行動をした」と評価してくれるということになります。
ご参考:Ingress(イングレス)速報:新メダル「Translator」登場
Traslator = Ingressの”言語”を理解する
今回の、Traslator というメダルは、「翻訳できた」ということを意味します。どういうことかと言うと、今回メダル獲得の対象となる「Gryph Hack」という行動は、
- その場に立ち止って、
- Hackボタンを長押しし、
- 画面に表示された図形(複数の点をつなぐ形で表示される)を、指でトレースする
という流れになります。
この「図形」は、複数(最大で5つ)表示されるので、記憶しないといけないのですが、なかなか覚えられないものです。そこで、その図形には「名前(=意味)」が付与されています。人は、意味のないものは覚えられませんが、意味を付与されたものは覚えられるのです。
例えば、「アラビア語」を我々は記憶できませんが、アラビア語圏の人にとっては「意味がある図形」ですので記憶可能です。ハングル文字も、韓国語を使えない人には丸と線の”不規則な組み合わせ”にしか見えません。反対に、日本語の「ひらがな」は、子音+母音のような表記上の規則性がないにもかかわらず、我々日本人は、当たり前のように意味を捉えて表記・読解することができます。
今回のTranslatorメダルは、「意味のない線・図形」を「言語」として捉えることに対して付与されるメダルなわけです。
(世の中には偉いひとがいるもので、Gryph Hack の一覧がつくられていますので、興味のある人はコチラをご参照ください。っていうか、これ作った人こそ「Traslator」の称号がふさわしいと思うのですが・・・)
メダルというインセンティブで「人は”行動”する」
このTanslatorというメダルがない時にも、Gryph Hackをすることで、ゲーム内アイテムを多く取得することができるというインセンティブがありました。
その一方、前述のとおり「通りすがりにタップするだけでいいHack」と「長押しして、図形を見て、図形をトレースする必要のあるGryph Hack」では、後者には時間も手間もかかるという特徴がありました。
これまでは、コストと便益のバランスとして、「手間と時間 vs 獲得アイテムの量」というものを比較していたわけですね。しかし、今回「メダル」が追加されたことで「手間と時間 vs 獲得アイテムの量+レベルUPの機会拡大」になったということになります。
ゲーム視点:Ingressの世界観に引き込む
これは、言うまでもないことですが「Ingressの世界観に引き込む」という観点で非常に重要です。今回のGryph Hack奨励は、前述した「Ingressの言語を覚える」ということを意味します。(まさに、Translatorになる、ということです。)
今回のメダルを得ようとすると、必然的にIngressの世界観を、より深く理解することになります。先ほどご紹介した「Gryph Hack一覧」を見ていただけばわかる通り、かなり規則性があります。(これはここまでまとめなくても、やりこんでいる人はある程度、そういう印象を持っていると思います。)
これらの言語を理解すると、「緑vs青の陣取りゲーム」というIngressの基本構造に、さらに深い世界観を感じながらプレイすることになります。
行動分析視点:習熟度の把握+やりこみ方の把握
一方、関連記事でも述べたとおり、「googleによって、行動分析をされる」という前提に立つと、今回のメダルは「習熟度の把握」「やりこみ方の把握」に役立つと言えます。
習熟度の把握
これまで、どの程度やりこんでいたのか、が、今後の「Gryph Hackの実績の積み方」でわかります。要するに、これまでやりこんできた人が、今後数週間で急激にポイントを稼いでいくわけです。
また、その波が落ち着いた後は、全ての人の習熟度がどれくらい上がっていっているか、がトレースされます。
そして、この組み合わせで「インセンティブに対して、どの程度反応したのか」も透けてみえることでしょう。(これまでのHack数に比較して、Gryph Hackの習熟度が低い人が、今後、急速に習熟度を伸ばした場合には、”インセンティブに敏感な人”ということがわかるでしょう。)
やりこみ方の把握
さらに、やりこみ方、も分かります。Hackの増え方とGryph Hackポイントの増え方を比較すると、どういうプレイスタイルなのかが分かります。関連記事でも書いた通り
時間があるときだけやるのか、時間がないときでもとりあえずHACKだけするのか、ということから、効率的に物事をこなすのか、地道な努力を好むタイプなのかなどもわかりそうです
し、その情報を使えば、「仕事に対する姿勢」も透けて見えそうです。
この情報を使って、Googleが「人材紹介エージェント業」に進出しても、何の不思議もないと僕は思います。
あなたの行動は「自発的なのか?」
これらのことを考えると、一つの疑問がわきます。
それは、あなたの行動は「本当に自発的なのですか?」ということです。
実際には、誰かの意図によって、行動「させられている」のかもしれませんよ・・・