あなたはそのアイデアに気づけるか
-ヒット商品を生むフレームワーク-
「どのようにしたらヒット商品を生むことができるのか」。残念ながら確実にヒット商品を開発する手法は存在しないが、“気づき”を促すフレームワークを活用することによってヒットする確率を上げることは可能である。商品開発・マーケティングは深く広い領域であるが、本稿では商品開発プロセスの源流となる「アイデア発想」につながる“気づき”に的を絞って、その手法を解説する。
(2008年秋東洋経済THINK!記事)
気づきの達人になれるアイデア発想のフレームワーク
人間は意外と自由に弱い。本来、アイデア発想は、「何でも自由に考えていいよ」と言われたほうが楽な気がするが、実はある程度“制約”があるほうが楽なことが多い。
あなたが、いきなり上司に「お菓子の新商品開発をするからアイデアを30個列挙して」と言われたらどうだろうか?急には思いつかなくても、アイデアを発想する、物事を考える“ベース”となるもの、例えば「このツールを使ってアイデアを出して」などの“制約”があるほうがむしろ生産性は上がるのではないか。
アイデア発想を手助けするフレームワーク、ツールは世の中に数多く存在するが、それらを使うだけでなく自分で作っていくことも可能だ。本稿では、その例をいくつか紹介するが、最終的にはフレームワークを使いながら自分に適したものを見つけ、カスタマイズし、応用することで自分の武器にしてほしい。
例えば、前節で記述したヒット商品の4つのタイプ分類(図表5)であるが、これをベースに新商品のアイデアを発想することも可能だ。先ほどのお菓子の新商品開発の例でアイデア発想を試してみよう。
- 「新規提案型」:普段お菓子を食べない人を取り込む新機能というテーマでアイデア出し。カロリーゼロではなく、食べればやせるお菓子、××病が治るお菓子など。
- 「転換再生型」:日本にまだないセグメントをテーマにアイデア出し。ペット向け、中高年男性、シニア男性など。おもに海外トレンドを見るとアイデアを得やすい。
- 「多方向への差別化型」:“太らない、カロリーゼロ系”などをテーマにアイデア出し。既存市場への不満やニーズを捉えると考えやすい。
- 「より良いもの追求型」:より食べてもらえるように王道の“味勝負”や“食べやすい(サイズ、容器)”などのテーマでアイデア出し。
菓子業界を全く知らなくても、まずはアイデアを生み出す手助けになるのではないか。最初は思いつきの「just an idea」でも、これをベースに、ヒントとなる情報を収集し、再度アイデアを発想し続けるサイクルを繰り返すことが「アイデア発想の手法」なのである。
(その④に続く)