夢をかなえてくれるのは、ゾウではなく自分である
本日は、「夢をかなえるゾウ3 ブラックガネーシャの教え」をご紹介します。
1作目と基本は同じだが、女性向け。
内容は、基本的に、1作目「夢をかなえるゾウ」と同じです。結局のところ、「なにをやるか」ではなく「やるかやらないか」である、というのがメインメッセージだと思います。しかしながら、以前ご紹介したスパルタ婚活塾と同様に、妙齢の女性をターゲットにして構成が組まれているところが、著者の水野氏はサスガだな、という感じです。
関連記事:ギックスの本棚/夢をかなえるゾウ
主題は「マーケティング」
本作は「商売」の話が一つのキートピックになります。ネタバレになるので、かなりボヤかして書きますが、主人公は、「モノを売る」という商売対決をする状況に追い込まれます。
敵は、いわゆるマーケティングっぽい作戦、で戦いを挑んできます。
- 相手の飢餓感を煽る
- 高価格にすることで、プレミアム感を醸成する
- お客を“中毒”にする
これらは、ある種、「マーケティングテクニックの王道」です。一方、主人公は
- お客さんのことを考える
という、「商売の本質」に立ち返って戦います。そして、それは
- 商品の特徴・良さの「本質」をしっかりとらえる
- その商品を、本当に欲しい人を定義づける
- その人たちに適切に届くチャネルを選び、適切なメッセージで伝える
という手法におとしこまれていきます。この考え方は、ギックスが提唱する「UVP」と「Headshot Marketing」の概念ととても良く似ています。
UVPとHeadshot Marketing
UVPというのは、Understandable Value Propositionの略で「顧客の肚に落ちる提供価値」という意味です。つまり、お客さんが理解できて、そして、納得できる価値を見極めよう、という考え方です。
Headshot Marketingとは「顧客を狙い撃ちするマーケティング」です。これは、「そのUVPを伝えるべき顧客」を見つけ出して、狙い撃ちする、ということです。
重要なのは、先に市場があるのではなく、先に売るべき商品がある、ということです。売りたいものが先にあるからこそ、ターゲット市場があるのです。(もちろん、売りたいものを“アジャスト”することはあります。)この辺りは、連載:Headshot Marketing をご一読いただければと思います。
⇒関連記事:HeadshotMarketing 「狙いたい顧客」から「使うべき顧客」へ
努力は自らのために行う
本作、ひいては、このシリーズの非常に重要なメッセージは、「努力をするのは、自分のため」ということだと僕は思います。誰かに強いられてやる、ということも、きっかけとしてはあり得ることですが、その努力を続けるのは「自分自身の意思」です。続かないのは誰のせいでもなく「自分のせい」です。
本書に限らず、過去にギックスの本棚でご紹介してきた「ゼロ秒思考」や「頭のいい人は、なぜ方眼ノートを使うのか」などもそうですが、読んで理解しただけ、では何も生み出しません。大切なのは、実際にやってみることです。
大半の人は、どんな本を読んでも、やらないで終わります。どんなアドバイスをもらっても、実行しないで終わります。本でもアドバイスでもなんであっても、それをやるかやらないか、が、成功への大きな分かれ目ですし、それを「続けること」が、成功のためには不可欠です。
では、その「成功」とは誰のためなのか?言うまでもなく自分のためです。
「頑張った経験がない人間は、頑張ったことで得られる喜びを知らへん。せやから、自分の中に眠ってるもう一つの可能性を経験できへん。自分が世界を不公平やと思てまうのも、それと同じことや。(後略)」
「成功するだけが人生やあれへん。夢かなえるだけが人生やあれへん。自分は別にここで頑張るのやめたってええんやで。誰も自分のこと責めへん。責める人間はおるかもしれへんけど、少なくともワシは責めへんで。この世界はな、自分がどこまで『知る』かを、自分で決められるようにできてんねん。自分はこの先の世界をもっと知りたいんか、それともここで止めるんか。それを決めることができるんは―――自分だけや」
努力をしたから報われる、なんて都合の良いことはありませんが、努力をしないでマグレ当たりを待つのも悲しい人生です。
本書は非常に軽妙な切り口で書かれており、読むだけならばサラっと読めます。今日は新年最初の連休初日です。1年の計を立てるにあたって、頭の体操として読んでみてはいかがでしょうか。(くどいようですが、僕は1作目「夢をかなえるゾウ」の方が好きですけどね)
夢をかなえるゾウ3 ブラックガネーシャの教え