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あなたはそのアイデアに気づけるか -ヒット商品を生むフレームワーク- その①

AUTHOR :  網野 知博

あなたはそのアイデアに気づけるか
-ヒット商品を生むフレームワーク-

「どのようにしたらヒット商品を生むことができるのか」。残念ながら確実にヒット商品を開発する手法は存在しないが、“気づき”を促すフレームワークを活用することによってヒットする確率を上げることは可能である。商品開発・マーケティングは深く広い領域であるが、本稿では商品開発プロセスの源流となる「アイデア発想」につながる“気づき”に的を絞って、その手法を解説する。
(2008年秋東洋経済THINK!記事)

商品開発の源流はアイデア発想=気づき

「うちの商品開発部隊はろくな商品を作らない」
営業部隊ではよく聞かれる発言であろう。これは営業マンの約束事みたいなもので、実は、彼らは本気で商品を良くしたいわけではない。現に多くの企業では、競合と比べて悪くはない、ありふれた商品を開発していれば、何とか数字を確保できる時代がしばらく続いた。営業が強い会社では「うちの会社にマーケティングは必要ない」と豪語していた取締役もいたくらいだし、それで勝ち続けることができたのも事実である。会社の方向性は「商品開発部隊の強化」よりも「営業部隊の強化」に目が向き、実際に市場では「特徴がない、普通のありふれた商品」でも、営業の力で売れていた。

しかし「物が売れない時代」へ変わるのに伴い、経営者の意識も変わりつつある。最近では経営者やマーケティング担当役員の方々と話をすると「ヒット商品を生み出すことができるかが経営上の大きな課題だ」との発言をよく聞く。

皆さんも体感されていると思われるが、近年では新商品の開発スピードが速まり、世の中は新商品で溢れている。コンビニやスーパーの売り場である“棚”は限られているため、せっせと新商品を開発しても、売れなければ1カ月、早ければ1~2週間で売り場から撤去され、その代わりに競合商品が棚に並んでいく。それを取り返すためにまた新商品開発、他社のヒット商品が出ればそれに対抗すべくまた新商品開発。自社商品が売れたら売れたで競合企業が類似品を出してくるため、既存商品の改良やそれに続く新商品開発。この新商品開発の嵐はしばらく止みそうにない。

では、ヒット商品を開発していくにはどうすべきか。まずは商品開発・マーケティングのプロセスを紹介する(図表1)。

アイデア発想図1 _2

 

一般的な商品開発プロセスをご存じの方にはすでになじみ深いプロセスだと思われるが、通常のプロセスと異なる点は「商品コンセプト策定」において、「テーマ・アイデア検討」に注力することである、多くの企業において「商品コンセプト」の重要性は認識されており、確かに商品コンセプトの出来次第でヒットの確率が大きく変わる。その「商品コンセプトの良し悪し」は「アイデア発想の良し悪し」、すなわち“気づき”の筋の良し悪しに大きく依存する。

次に過去の経験則から、ヒット商品誕生までのプロセスをイメージ図にまとめる(図表2)。

アイデア発想図2_2

 

各プロセスにおける満点は前プロセスに依存する傾向が強いため、アイデア発想でしっかりと満点近くまで考えておかないとその後の「商品コンセプト検討」「商品本体開発」「販売戦略策定」でどれだけ熟慮しても“切れのない”商品で終わることが多い。

まさにアイデア発想、気づきが商品開発で成功をするための秘訣とも言える。本来なら商品コンセプト策定の全プロセスに関して解説を行いたいが、本稿では「ヒット商品に繋がるアイデア発想」に的を絞って解説を行う(図表3)。

アイデア発想図3_2

その②へ続く

 

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