clock2014.12.24 08:59
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第12回:小さなPD(CA)∞ってなんだろう?/「会社を強くするビッグデータ活用入門」を振り返る

AUTHOR :  網野 知博


ビューカードの取り組みで成果をあげた小さなPD(CA)サイクルのCheck-Act活動

私は2013年の11月下旬に著書「会社を強くするビッグデータ活用入門」を出版致しました。準実用書と言う位置づけで出版しており、商業的には成功も失敗もしていない予定通り淡々と細々と出荷されている本ですが、読んでもらう人を明確に定義したため、”読んで頂いた方からは”比較的好評を得ております。
そうした中で、この本を読んで頂いた読者、及びこのテーマに関したセミナーにご参加頂いた方からの質問などを整理する形で、対して売れていない自分の本を改めて振り返ってみよう、と言う企画の記事になります。笑

会社を強くする  ビッグデータ活用入門  基本知識から分析の実践まで

小さなPD(CA)∞サイクルの4Step

ここ数回は本書でいうところの4章はちょっと書く内容をしくっちゃったよね、と言う話から、『大きなPDSサイクル/小さなPD(CA)∞サイクル』の説明を続けています。前々回、前回と『大きなPDSサイクル/小さなPD(CA)∞サイクル』の『大きなPDSサイクル』に関して株式会社ビューカードさんを例に具体的な事例を紹介してきました。『大きなPDSサイクル/小さなPD(CA)∞サイクル』は以下の図をご覧頂くとほぼ理解頂けると思いますが、もしお時間があれば念のため「大きなPDSと小さなPD(CA)∞サイクルって何?を参照して頂ければと思います。

BD-09-01

本日は『小さなPD(CA)サイクル』に関して説明をしていきます。大きなP(Plan)で検討した戦略に基づき、いくつかの実行施策案が出て来ます。これらの実行施策一つ一つが小さなPDCAサイクルの塊になってきます。それぞれの施策に対しても、当然ながら実行するためには詳細のPlanを行い、実行(Do)して行くことになります。ただ、その実行された施策ですが、一昔前なら実行した後に結果がトレース出来るのは相当あとになってからでした。ですが、今はデータがタイムリーに取得できます。ソーシャルメディアやWebでの反応などはほぼタイムリーにデータを取得していくことができますし、売上結果なども自社のシステムからタイムリーに抜きやすくなっています。そのため、タイムリーにデータを取得し、分析して、その結果を踏まえて、まだ実行中の施策をモディファイ(カイゼン)して、更なる良い成果を求めて活動することが可能になりました。つまり、Check-Actを高速に無限大に回していくことができますので、それを表現して(CA)と記載しています。

『小さなPD(CA)サイクル』はCheck-Actをいかに高速に何度も何度も繰り返して回していけるかが肝になります。では、どうやってその(CA)を実現していくのでしょうか。WebサイトのA/Bテストなど、誰の目から見ても、統計学的にどちらのほうが反応率が良いというものなら、その結果に従うだけなので全く問題はないのですが、マーケティング施策に関して全てが数字で一義的に決まるわけではありません。出てきた結果に対して分析を行い、その分析結果(数字)に対して解釈を行い、その解釈の結果に基づき、より良い方向へカイゼンしていく必要があります。

株式会社ビューカードさんと一緒に(CA)の高速回転を実施しているなかで、必要不可欠な要素は以下であることが経験的にもわかってきました。

  1. (CA)サイクルを回すに必要となるデータの取得方法
  2. 分析結果を見せていくための分析環境や分析結果を提供するツール
  3. 分析結果を見てアクションする役割や担当の設定
  4. 上位層までを含んだ意思決定や軌道修正を行える場(会議体)の設定

1. (CA)∞サイクルを回すに必要となるデータの取得方法:

現実的に取りうるデータの中で、どのようなデータを使えばCheckになりうるのか?直接的にドンズバのデータが取れない場合は、その代替指標となりうるデータは何か? また、そのデータはどのような手段で、どの程度の頻度で取得していくことができるか?

2. 分析結果を見せていくための分析環境や分析結果を提供するツール:

1.のデータを分析していくための分析環境は? データ量や分析の頻度に応じてどのような仕組みが必要か? また、分析結果を見ていく頻度や回数は? 分析結果を数回だけしか使わないなら力技で人間系対応でもいいですが、分析を見ていく頻度が毎日で、期間が数ヶ月なら半自動的に分析結果を出てくるような仕組みが必要になります。

3. 分析結果を見てアクションする役割や担当の設定:

分析結果を見て、アクションにつなげるまでにはいくつかのプロセスをはさみます。長々と書くと、分析を行い、その分析結果をビジネス的に解釈して、その解釈から次なる施策の案(仮説)をだして、その施策実行の準備を行い、実際に実行していくことになります。すると、分析をする人、解釈をする人、施策を考える人、施策を実行する人と言う形で複数ロールの存在が必要不可欠です。全て一人で行えるようなスーパーマンは中々存在しないため、各ロールに対して担当を決めることが必要になります。

4. 上位層までを含んだ意思決定や軌道修正を行える場(会議体)の設定:

3.のように複数ロールの発生で、複数の担当者が存在すると、意思決定をしていく会議体というものが必要になります。

先ほど書きましたが、WebサイトのバナーのA/Bテスト程度のCheck-Actなら何も考えずにやれという話なのですが、そこまで単純で微細な『小さなPD(CA)サイクル』なら、わざわざここまで書く必要もありません。笑 そりゃそうだろうということですが、その”大きさ”は大きなPDSの大きさに比例して、小さなPD(CA)サイクルの大きさが決まります。

「第10回:大きなPDSの事例を見てみる」で触れた内容をベースに考えましょう。ビューカードのUVPを詳細に理解してくれ入会してくれるオンライン申し込みの顧客がとても大事と言う話になります。では、オンライン申し込みを重視しましょうねと言う方針が出来て、そのための施策が幾つか出てきます。その施策一つ一つが小さなPD(CA)サイクルのPlanに相当します。それらの個別施策に関して全てが単純に取得可能なデータでもありませんので、上記に記載したステップ1,2などを経ながら分析を行っていきます。そして、カイゼンしていくための意思決定が比較的大きな時には会議体にかけながらトップマネジメントに意思決定して頂く必要があります。

弊社は株式会社ビューカードさんのマーケティング支援をさせて頂いております。マーケティング会議と言う名前の戦略的な会議体を隔週で実施しておりますが、その会議体の中で小さなPD(CA)サイクルをがんがんと回しております。次回は小さなPD(CA)サイクルの具体的な事例を幾つか紹介していこうと思います。

次回に続く。

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