日本の小売業全体で商品不明ロスは実に2兆円以上
本日は少し古い本を紹介しようと思います。2005年に発刊されたものですが、「ロスプリベンション―失われた利益を取りもどせ」という本です。概要を非常に簡単に記載すると、
- 商品ロス(不明ロス)とは、仕入れ数ー売上数=理論在庫≠実在庫であり、理論在庫と実在庫の乖離が商品不明ロス
- 商品ロスの原因は大きく3つ
- 万引き
- 社内不正
- 伝票管理の不徹底
- 万引き、社内不正、伝票管理の不徹底の原因を正しく把握し、カイゼンを行うのがロスプリベンション
- アメリカでの商品ロス率は1.7〜1.8%で日本の小売130兆円に当てはめると2兆円
- ロスプリベンションはメーカーのシックスシグマに相当するもの:
小売業の業務オペレーションをバラバラに分解し、問題点を把握し、各種のツールを活用して「商品ロスのカイゼン」を行うもの
ストーリー仕立ての読みやすい本
本書はストーリー仕立てになっております。最近ではストーリーもののビジネス書は非常に流行ってきておりますが、古くは「ザ・ゴール ― 企業の究極の目的とは何か」などが有名でしたが、2005年当時だとあまり小説仕立てのビジネス書はなかったのかもしれません。非常に読みやすく、また小売業の商品ロス(不明ロス)削減であるロスプリベンションに対して非常に実用的な内容が書いてあるのですが、あまり商業的には成功を収めなかった本のようです。といいますのも、約半年くらい前にこの本を書かれたリテールサポート社の山内社長と知り合い、それ以来割と密にコミュニケーションを取ってきたのですが、この本を知ったのはつい最近になってからでした。笑
主人公はドラッグストアの創業者の息子。創業者の父のドラッグストアに入社し、SVを行う中で、商品ロスの重要性に気づいて、カイゼンを行っていき、最後に成功を収めてめでたしめでたしという典型的な展開で進んでいきます。本自体は1時間程度でさらっと読めますので、内容の解説はこのくらいにしておいて、(合コンなどで使える)ちょっとした小ネタを紹介したいと思います。
万引きするときに一番緊張する瞬間は?
ちなみに、山内さんは万引き防止のプロであり、リテールサポート社は万引き防止システムを販売している会社になるため万引きに関して非常に深い知識を持っています。
衝動的な万引きや快楽的な万引きではなく、プロの万引きというか、泥棒に近い方は大きく3つの観点で店を選んでくるとのことです。
- 仕事がしやすい
- 狙ったものが多くある
- 逃げやすい
万引きを完成させるには3つのプロセスがあります。
- 商品を手に取る行動
- 商品をかばんや衣服に隠す行動
- レジの横を通過し、店外に出て行く行動
ではここで問題です。自分が万引き犯だとしたら、どのプロセスが一番緊張するでしょうか?
正解はぜひ本書でご確認下さい。