イマジン。
先日ご紹介した「ぼくのニセモノをつくるには」の前作にあたる「りんごかもしれない」をご紹介します。
あらすじ
主人公の男の子が、家に帰ると、机の上に「りんご」が置いてあります。
まぁ、普通に考えれば、「りんご」なのですが、この男の子は「りんごかもしれないし、りんごじゃないかもしれない」と考え始めます。
想像する⇒発想の基本
本書は「視点の変え方」の話です。すなわち、想像力の話です。
主人公は、りんごを見て「りんごだ」とは思わず、「違う可能性」を模索し始めます。
最初の方は「りんごに見える別物ではないか」という方向で発想していきますが、徐々に「りんごではあるかもしれないが、何か考えているのかもしれない」という方向に行きます。そして、「りんごとして歩んできた歴史」などにも思いを馳せていきます。哲学の領域に踏み込んでいく感じですね。
こういう「発想法」にはいろいろな型があります。(弊社の網野も連載記事を書いています。)
それらの型を身につけていくことは非常に重要ですが、そもそも、最初に「想像してみる」という姿勢が重要です。本書は、絵本という形式で、子供の視点で書かれていますが「そんな”見方”があるのか」という発想の具体例が平易に紹介されているという「思考が固定化されているオトナが読むべき本」だとも言えます。(もちろん、子供に「発想の型」なんてものをいきなり教えても無駄なわけで、こういう絵本で子供の発想力を伸ばしてあげる、というのもオススメだと思います)
センスのある オトナになるために
僕は、常々「センス=(知識+経験)×(知恵+想像力)」だと思っています。
ファッションセンスでも、ビジネスセンスでも、文章書きのセンスでも、この4要素で説明可能だと思います。つまり、インプットである左側(知識と経験)がベースとなり、アウトプットに変えるための右側(知恵と創造力)が応用力となります。この両輪が揃うことで「あいつ、センスがあるなぁー」となるわけですね。
前述の通り、この絵本は、そのうちの「想像力」を鍛えてくれます。
何かを「想像する」ということは、非常に重要です。”相手の立場になって考える”も想像力ですし、”最悪のケースを想定する”も想像力です。例えば、街やお店などで見かける自分本位な人は、想像力に欠けている人たちなのだと思います。想像力に欠けていると、「非常に残念な人」だと周囲に思われていることが分かりません。誰かに迷惑をかけているんじゃないか、あの人は何か困っているんじゃないか、というようなことを考えられるかどうかが「マナー」であり「気が利く」ということなのです。That’s 想像力。
ジョン・レノンも歌っています。
Imagine there’s no countries / It isn’t hard to do
Nothing to kill or die for / And no religion too
Imagine all the people / Living life in peaceYou may say I’m a dreamer / But I’m not the only one
I hope someday you’ll join us / And the world will be as one
そして、ジュール・ヴェルヌも言っています。
人間が想像できることは、人間が必ず実現できる
豊かな未来を実現するために、まずは柔軟な「想像力」を身につけるべく、本書を手に取ってみては、いかがでしょうか?