ID-POS分析とは(前編) ~会員マスタの”個客属性”でセグメンテーション~ |データ分析用語を解説

AUTHOR :   ギックス

本記事は、株式会社ギックスの運営していた分析情報サイト graffe/グラーフ より移設されました(2019/7/1)

会員マスタの属性情報を使うのは、POS分析の”最高峰”

本日は、前後編に分けて、「ID-POSを分析する」ということについてご紹介していきます。(後編はコチラ

POS分析には3段階ある

一口に「POSデータを分析する」といった場合にもいくつかバリエーションがあります。(過去に、「POSデータ」「POSデータ分析」および「ID-POSデータ」について解説してきましたので、そちらもご参照いただいたうえでお読みいただくと、より分かりやすいかと思います)
それは、①POSデータで”売れ方”を知る ②ID-POSデータで”買われ方”を知る / ③ID-POSデータ+会員マスタの属性情報で”セグメント別の買われ方”を知る / の3つです。
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1.POSデータで”売れ方”を知る

(個人のIDが付いていない)POSデータからは、商品がどのように売れているのかを知ることができます。これは、商売の基本というべき情報です。この情報によって、ビジネスの全体像を捉えることができます。
詳しくは、関連記事:POSデータ分析とは をご参照ください。

2.ID-POSデータで”買われ方”を知る

つづいて、ID-POSデータ、すなわち「購買情報に”誰が=ID”が付与されたデータ」を用いると、「ある人が、どのように商品を買っているのか」が分かります。いわゆるRFM分析|データ分析用語を解説(Recency = 最近、いつ買ったのか / Frequency = どれくらいの頻度で買ってくれているのか / Monetary =(期間中の)合計でどれくらいの金額購入しているのか の3指標で重要顧客の割り出しなどを行う)などはこの情報があれば分析できます。
例えば、複数店舗を経営する小売業やレストランであれば、IDが付いている販売情報(ID-POS)があると「ある店だけに行く人と、複数店を利用してくれる人では、購買行動に違いがあるのか?」などの観点での分析も可能になります。

3.ID-POSデータ×会員属性情報で”セグメント別の買われ方”を知る

上記のID-POSデータを補強するデータとして、その会員IDの属性情報(性別・年代など)を追加することで、さらに多面的な分析が可能になります。尚、システム的な表現をするならば、ID付きの販売トランザクションデータに、そのIDを管理する会員マスタ情報を組み合わせて分析する、ということになります。これにより「20代女性は高い頻度で買い物してくれるが、値引き品などの利幅の薄い商品を買う傾向にあり、利益貢献度は低い」「30代男性は、金曜の夜にしか買い物しないが、プレミアム商品などの利幅の高い商品を買ってくれる」などといったセグメント別の購買傾向を探ることができるわけです。
多くの企業がポイントシステムを導入するのは、お客様にポイント還元をして”お得”によって囲い込みたいという理由だけではありません。このID-POS×会員属性情報分析によって、”個”客の行動をしっかり把握しながら、適切な商品を、適切な分量だけ仕入れ、それを陳列し、適切な時間帯にインストア・プロモーションを仕掛けることで、顧客にとっては「欲しいものがしっかり品揃えされていて、且つ、どこにあるか分かりやすい店づくり」を実現すると同時に、売り手としては「機会ロスが少ない、売り場効率の良い店づくり」を実現していこう、というわけです。
ちなみに、一般的に「ID-POS」というときには、上記2・3双方を内包した概念として語られることが多いのです、分析のステップとしては2つに分けておいた方が良いと思います。
 
⇒ 後編「大事なのは、基本から始めること」に続く
データ分析用語:索引

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