「ケーススタディ」を効率的にこなす一冊
戦略コンサルは「サラリーマン小説」をケースとして扱う
戦略コンサル1年生のとき、先輩方に年に300冊本を読め、と言われました。そして、特におすすめされたのが「サラリーマン小説」です。
コンサルタント、特に戦略コンサルタントというものは、頭の切れ味・回転速度で戦う商売です(異論はあるでしょうが、知りません)。ですので、採用時点では「何をやってきたか」でも「何ができるか」でもなく「どれくらいキャッチアップが早くて、どれくらい応用力が高いか」を重視することになります(異論はあるでしょうが以下略)。
そして、入社後には「色んなプロジェクト=企業の状況やプロジェクトの内容に”キャッチアップ”」しないといけないわけですね。その際には「知識」が多いに越したことはありません。基本形を多く持つことが、応用の幅を広げるわけです。(少しズレますが、思考のショートカットと似ているな、と思っています。)
では、どうやって知識を増やすのか、そのために薦められたのが「サラリーマン小説 読み漁り」です。サラリーマン小説には、ドロドロした社内の権力争い・社内政治・派閥の力学から、業界の抱える固有の課題なども見えてきます。そんな状況下で、何をどうコントロールしていけば正しい意思決定につなぎ、また成果を生むことができるのか。そんなことを教えてくれる教科書なわけですね。安価に入手できるケーススタディというわけです。
そういう観点でみると、本書は、一冊で5つの事業を紹介してくれます。つまり、サラリーマン小説5冊分になるわけです。(深さはともかく、幅として。)とっても効率が良い、ということになります。それだけで、お勧めに値する一冊です。(と、今回の主題である「会計天国」について語る前に、すでに1000字ほどもお付き合いいただいてしまいましたが、言いたい事の大半は既に述べたので、あとはサラリと行きます。)
本書の特長
本書「会計天国」では、会計の視点で経営不振にあえぐ企業を”会計の視点”で救っていく、というお話です。前述の通り、業界や課題の異なる5つの企業を救うことになるわけですが、それを可能とするのは、「事故で死んだ人が、魂だけの存在となり、いろんな人に乗り移っていく」という設定です。
残念ながら、ストーリー上の整合性にはいろいろ不満が残りますが、目的が「会計視点での企業の課題解決を学ぶ」ということであれば、そのあたりには目をつぶるべきかなと。
ケースのテーマ
本書で取り上げられるケースのテーマは、下記の5つです。
- アパレル × キャッシュフロー経営(黒字倒産のリスク)
- ニッチメーカー × 価格戦略(集中と分散)
- 食品 × M&A+粉飾決算
- 専門商社 × KPI管理(売上管理と利益管理)
- シナジーの無い多角化経営 ※よくある「安易に飲食に手を出して失敗する」好例
これらのトピックのどれか一つでも自社に引っ掛かるなら、とりあえず、本書を流し読みしてみるのがよろしいかと思います。
内容は非常に平易ですし、誰でもすぐに読めます。小説仕立てであることも、読みやすさに寄与していますので、会計を齧りたいと言う人が一冊目に読む本としても最適かなと思いますよ。
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