1980年代からエンジニアとして経験を積み、日本アイ・ビー・エム(以下IBM)のソフトウェア開発研究所で製品開発担当マネージャを務めていた三ツ井 欽一。約40年のキャリアを経て定年を迎え、次の活躍の場としてギックスを選んだ理由とは。長年エンジニアとしてキャリアを歩んできた三ツ井の視点で、ギックスのものづくりの魅力や仕事観について語ってもらいました。
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マネジメントを経験したからこそ“最新技術に触れたい”とギックスへ
――まずは三ツ井さんのご経歴について教えてください。
三ツ井 新卒から定年までIBMに所属していました。様々な仕事をしましたが、最終的な役割はソフトウェア開発研究所の製品開発担当マネージャです。開発研究所とは、顧客であるエンタープライズ企業に提供するソフトウェア製品を作る部門にあたります。
そのため日常的にセールスと一緒に動いてご要望を聞き、メンテナンス、バージョンアップを製品に反映させていました。顧客に技術屋の目線でより詳細な製品の説明をしたり、導入する際の使い方を一緒に考えたりと、エンジニアとはいえセールスの商談に同席する機会は多かったですね。
40歳くらいまでは製品を作って出荷して…と手を動かしていたんですが、マネージャになるとエンジニアの仕事というより、もう少しビジネス寄りの業務がメインになりました。全体の計画を策定したり、予算を獲得するために色々な提案をチームで作ったり。社内では仕事を獲得するための競争があるので、そういったミッションを取ってきて、成果物を作るプロジェクトマネジメントをして、というのを繰り返していた感じです。
IBMではアメリカ本社が色々な計画を決めていて、各国の開発研究所が予算を取りに行きます。日本独自のミッションというのはあまり無く、自発的に動かないとなかなか仕事が回ってこない。日本では製造業などそれなりに大きな産業もあるため、顧客の要望をつぶさに聞きながら良い製品を開発できれば、他の国でも横展開でき、会社としてメリットがあります。このようになぜ自身のチームに予算が必要なのか、社内交渉して成果を出して、という動きが求められていましたね。
――その後、どのようにギックスと出会ったのでしょうか?
三ツ井 IBMを定年退職して、正直遊んでいるのも楽しくないなと。なのでソフトウェア開発関連の仕事を探していたんです。これまでキャリアのほとんどでソフトウェアの研究開発に従事してきたので、違った環境で最新の業界の様子や進展に触れたいと思っていました。例えば、IBMでは自社でクラウドを持っていたので、他社製のクラウドを使うのは難しかった。そのような制約なく最新技術に触れられる新しい環境にも興味がありました。

三ツ井 欽一 東京工業大学大学院修士課程修了。新卒で日本アイ・ビー・エム(以下IBM)に入社し、IBM 基礎研究所の研究員、基礎研究部門のマネージャ・ストラテジスト、開発部門での開発マネージャを経て、ソフトウェア開発研究所 製品開発担当マネージャを歴任。定年退職後、2021年にギックスに参画。 |
コンサルタントから紹介をもらって、他の会社さんでも色々とインタビューを受けました。当時のギックスは30~40人規模で上場前。初回の面談では、現在プロダクトチームにいる柳さんと意見交換をする中で、フレンドリーなコミュニケーションの中でも“学びたい”という勉強熱心なマインドを感じたことを覚えています。
- 希望のもと未経験でエンジニアへ。成長を支える、メンバーのサポートと試行錯誤の日々(2023/4/5)https://www.talent-book.jp/gixo/stories/51359
1980年代からずっとエンジニア畑にいますから、これまでソフトウェア領域の技術の興隆をずっと見てきているんです。当時ギックスのエンジニアは20~30代前半という人たちばかりだったので、マネジメントも含めた経験からうまく役に立つ情報が提供できれば良いだろうし、“ギブバック”して貢献できるかなと思いました。私も若い時は経験が無く、多くの先輩にお世話になりましたから。
“顧客理解”促進につながるデータ基盤に必須な変化への適応力
――プロジェクトとしてはどのようなものに関わっているのでしょうか。
三ツ井 入社して2年くらいは、大手企業の営業部門を支援するプロジェクトに携わっており、ここ1年くらいは、基幹系システム刷新のアセスメント・検証といった別のプロジェクトにも携わっています。
DIコンサルティングにより、クライアントの顧客理解が深まることで、「業務でこういうデータを分析したい」「新しい施策をやってみたい」といったご要望が生まれるようになります。それを実現するためのデータ基盤を構築するのが、私が携わっているDIプラットフォームです。
このデータ基盤は次々と新しいアイデアやリクエストが出てくる業務側の要望に対応していくために、変化に適応する力、すなわちAdaptablityを持つことが非常に重要なんです。それを実現するためには、柔軟性の高いクラウドネイティブな技術を活用して構築していく必要があります
ーーAdaptable Data System:ADS(アッズ)を構築する取り組みですね。
はい。大元となるデータを蓄積している基幹系システムが10年以上前に作られていて、現在ではある意味”“レガシー”な技術を使われているケースも少なくありません。そのため、クライアントが使用している既存の基幹系システムのモダン化も必要になるケースもあります。
- ギックス、新たなフレームワーク「Adaptable Data System:ADS(アッズ)」を発表~変化に柔軟に適応可能なシステム開発を支援~(2025/03/25)https://www.gixo.jp/news-press/26986/
私は少々古い人間なので、過去多くのシステムで活用されてきた古い技術への理解があります。エンタープライズJavaであったりC++(シープラプラ)であったり、現在はレガシーとされてしまう技術を実際に使って開発し、その全盛期を見てきました。
そのためこれらを新しい技術に載せ替えるプロジェクトは、古い技術の仕様を理解しているという観点で役立てる領域かと考えています。
導入から時間が経過したシステムを継続利用していて、日常業務に使えないほど古くはないが、なかなか最新の技術を有効活用できていない、それが足かせとなって経営や現場での改善が思うように進まない、という話は、どこの企業でも発生していると思うんですよね。その課題を、クラウドの良いところをうまく使って、どんどん柔軟に変更したりデータ収集したり…そういうことができるようにシフトしていきましょう…といったプロジェクトに主に携わっています。
安心してものづくりに当たれる“ギックスの強み”
――そういった意味では、世代も含めて様々な方が活躍できる環境ですね。
三ツ井 そう思います。
働く環境としては、業務のほとんどはクラウドサービスを利用していて、パートナー企業さんは新潟に拠点を構えていたり、ギックスのメンバーも在宅で働くケースも多かったりと、全員がリモートワークに慣れているため不自由ありません。新しいプロジェクトへの参画もスピーディにできる環境です。プロジェクトによって異なるメンバーが集まるわけではなく、パートナー企業さんからも、 複数プロジェクトにまたがって同じメンバーが長く参加されるので、お互いの特徴や強みなども分かり合えていると感じます。どの会社に所属しているかは関係なく、質問をしたり勉強会を開いたりといった活動もあるため、結果的に“拡大ギックスチーム”みたいな感じで、足りない経験値やスキルは補えているのではないかと。
- ギックスとの開発は「お客様の解決すべき課題を優先できる」ベーシック 西浦氏が語るギックスとの7年の歩み(2024/11/19)https://www.gixo.jp/blog/25853/
さらに、JR西日本様を始めとした大企業クライアントと継続的にお付き合いできているというのはギックスの強みだと思います。社長の網野を始め経営陣同士も長い付き合いですし、単発のプロジェクトでおしまいではなくずっと続けて案件をいただけているので。また、クライアントの中の技術のキーパーソンになる人とのリレーションができているという点も、安心してものづくりに当たれる要素のひとつであると思います。
あと私はたずさわっていませんが、マイグルという自社製品も持っている点。サービス提供だけではなく、製品も持っているというのは強みだなと思いますね。大企業なら当然そういう特長は全て含んでいるのでしょうが、ギックスのようなスタートアップに近い企業規模で、それをできているというのがポイント。メンバーもみんなポジティブだし、地頭が良い人も多いし、雰囲気も良いですよ。
ものづくりが“素直に好き”なら、すぐに活躍の場がある
――そういったチームで、三ツ井さんが今後成し遂げたいことは何ですか?
三ツ井 昔から変わらないですが、クライアントの課題は難しいほどやりがいがある。できるだけ何か工夫して、感謝されたいなという。期待を超える評価をいただけるような、新しい工夫に満ちたサービスを提供していきたいですね。心がけているのはそういうことです。
あとは冒頭でも申し上げましたが“ギブバック”。年をとると皆そうだと思うんですが、個人的にはこれまでキャリアのほとんどでソフトウェア開発技術の研究開発に従事してきた…ということもあり、過去30年、40年の間に起こった色々なことを思い出します。今でもソフトウェア開発の生々しいところをやっていると“あの時こうだったな”とか。
ソフトウェア開発技術にずっと興味があるので、ここはすごく進歩したよねという部分もあれば、全然進歩してないじゃんと感じることもあるんですよ。1980年代からプログラムを書いてきて、マネジメントもそこそこ長くやってきた…そうした色々な経験と照らし合わせて、設計・システム開発・レビュー・フィードバック…みたいな作業を通して若い人にも参考になる部分もあるはず。うまく伝えられれば良いし、もし何か整理して書いて残せれば色々な人が読めるので、もっと良いですけどね。
転職時に“他社製のクラウドや最新技術に触れながら仕事がしたい”という願望は、ギックスではクラウド技術を当たり前に使わなければいけないので叶えられました。少し前まではマネジメントをしていたので、当時はできなかったものづくりに関われている。実際にそれが動く、本当のビジネスが回っているところで使われているという。なので、今はエンジニアとして色々考えるのが楽しいです。
最初は若手のエンジニアの頃のような量の業務をこなせるのか?と心配はありました。キャリアの最初の頃のような新鮮さがありましたね。でも実際、やればできる。昔取った杵柄は覚えているんですよね。製品でもサービスでも、期待以上の結果を残すには技術的なスキルが重要です。システム分析・設計・実装にこだわりを持っている、あるいは粘り強くてものづくりが素直に好きなエンジニアの方なら、すぐに活躍の場があるのではないでしょうか。