商品・サービス戦略 を踏まえた マーケティング
本日は、Markezineの5/28公開記事「ハーレーダビッドソンが仕掛けたフォトボム! 携帯写真に写りこむハーレーからのメッセージとは」をななめ切ります。
記事概要
高級バイクメーカー、ハーレーダビッドソンがチェコで行った街頭キャンペーン。キャンペーン用に路上に無造作に駐車された「ハーレー」をデジカメで撮影するとバイクの後ろのガラスに「持ってるふりはやめて、リースをしよう」という文字が写り込む、という仕掛け。
技術的には「肉眼では見えないが、撮影すると写り込む」という仕組みを13ヶ月かけて開発。
そして、対象は「ハーレーは欲しい・あこがれる」が「高くて買えない」人であり、訴求メッセージは「リースと言う選択肢がある」ということ。
街頭だけではなく、展示会でもこの仕組みは活用されているとのこと。
Markezineの元記事は コチラ http://markezine.jp/article/detail/20086 でご確認ください。(動画もあります)
「強み」と「潜在ユーザー」の理解=商品開発とマーケ施策に活用
この記事を読んでいると、ハーレーは凄い!ということを誰でも思うでしょう。しかし、その「凄さ」は多岐にわたります。
自社と顧客を理解する
まず、「自社商品は”憧れの対象”である」という確固たる自信があることです。商品そのものが、ブランドを体現している、という構図が出来上がっていることが驚きです。そんな会社は、世界中に数社しかありません。
そして、その憧れの品の「潜在ユーザー」のペインポイントは「髙くて簡単には手が出せない」ということも理解しています。
商品開発に活かす
それらを踏まえて「リース」というサービスを開発したのが、自社ブランドの価値を理解しているということではないでしょうか。
安易に値下げに走らず、廉価なブランドを薦めるのでもなく、「ハーレーそのもの」を「ちょっと使ってみる」ということを可能にすることで、「もっと欲しくなる=お金を貯めて将来買ってくれる可能性が高まる」ということも見込んでいるのだろうと思います。
正しいメッセージと手法で「狙い撃つ」
その上で、潜在ユーザーのペルソナを明確に定義しているのが素晴らしいですね。
「自社商品が置いてあれば、その写真を撮影する(特に”一緒に写真を撮る”ことが多い)タイプの人たち」だということを理解しています。(そうでなければ、このキャンペーンの文言は、当てはまりません) ※もちろん、国民性などもあるでしょうが。
「教科書通りに実行できる」のは神業
つまり、ハーレーダビッドソンは、
・確固たる「商品ブランド」を構築
↓
・「ターゲット」を明確に設定
↓
・「潜在ユーザー」を深く理解
↓
・「リース商品」を開発
↓
・「潜在ユーザー」に「ピンポイントで響くメッセージ+伝達手法」を選択
という順序で、ブランド戦略・消費戦略・マーケティング施策を一気通貫でつないでいるわけですね。
もちろん、これは”王道”であり、”当たり前”のことなのですが、実現できている会社は非常に少ないと思います。そもそも、教科書通りにできている=世の中のお手本となって然るべきということですから、非常に難易度の高いことをやっていると言えます。
「キャンペーン」が面白い、とか、目新しい、とかいった浅い理解に留まらず、「ビジネスの組み立て」という本質に目を向けていくと、得られる示唆が大きく変わり、また深まることと思いますので、「思考の型」のひとつとして実践・活用していただければ幸いです。