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「クライアントのWinにこだわる」データの真価を引き出すBusiness Developer

AUTHOR :   ギックス

ギックスの「DI変革Division」は、クライアントがデータに基づいてより精度高く意思決定を行える「データインフォームド」な行動様式へ変容し、今まで以上に競争力を強化し成長していくことを目指して、全社的な変革提案や伴走支援を行う組織です。

今回は、本DivisionでProposal & Project Designingチームのリードとして活躍する、ショーン・カーに、Business Developerの仕事や必要なスキル、そしてギックスのコンサルティングの特徴について聞きました。

株式会社ギックス
DI変革Division Business Developer
Sean KERR (ショーン・カー)

関西育ち、オーストラリア人の父と日本人の母を持つ。
甲陽学院卒業後、東京大学理科Ⅰ類に入学するも、リーマンショックを機に進路を考え直し、京都大学経済学部を再受験。在学中は学習塾鉄緑会にて数学を指導、東京大学理科Ⅲ類合格者を多数輩出。
卒業後は関西エアポート株式会社に入社し、エアラインの路線誘致営業を担当。その後、株式会社ギックスに転職、データ分析の基礎を習得し多数のプロジェクトに参画。一度退社し海外への挑戦としてフランスの空港運営会社であるVinci Airports(ヴァンシ・エアポート)のパリ本社で空港の運営権買収(M&A)業務に従事。
日本へ帰国後、ギックスへ再入社し、現在はDI変革DivisionにてProposal & Project Designingチームのリードを務めるDirectorとして活躍。

これまでのキャリアで培ったビジネス感覚とデータ分析力

―まずショーンさんの経歴についてお聞きします。新卒時代に関西エアポートで担当していたエアライン営業というのは、どのような業務だったのでしょうか?

空港運営会社はターミナルの建設・管理のほか不動産賃貸や物品販売など多角的なビジネスを行います。空港の視点からは飛行機に搭乗する方だけでなく航空会社(エアライン)も主要なお客様にあたります。

私が担当していた業務は、航空会社を対象に関西空港への新規路線就航や増便を誘致することでした。例えば北米便などの長距離便を毎日飛ばすのは、年間で100億円以上のコストがかかる大きな決断です。こちらから営業すれば就航先にすぐに決まる、ということはほとんどありません。

興味のないものを押し売りされても買わないのと同じで、航空会社目線に立って就航可能性がある路線を見極めることがとても重要になってきます。そのためには、日頃から就航が見込まれ、競合となりうる路線を種々のデータを用いてあらゆる角度から分析し、航空会社が関西空港に首肯したくなるビジネスケースを作成していました。

空港運営会社ではエアラインビジネスや分析、提案の基礎を学びましたが、プロジェクトマネジメント能力とデータ分析を伸ばすことを目的に、ギックスに転職しました。

―1度目のギックス入社後に、海外への挑戦ということで、世界的な空港運営会社であるVinci Airports(ヴァンシ・エアポート)に転職されました。そこでの業務についても教えて下さい。

フランス本社で、エアラインアナリストとして働きました。主に全世界の空港の運営権を買収するコンセッション(M&Aに近しいこと)に関するデューデリジェンスを担当し、買収の検討に上がった空港を査定していました。例えば、発展途上国の聞いたことのない、とある街の空港の、将来の利用者数や収益を予測せよ、という答えのないテーマがあり、その問題を解くために世の中に存在するデータを使って30年後の姿を予想して……といった業務です。データ分析とビジネス両方の視点が、ここでの経験によってさらに鍛えられました。

―ギックスに戻られた後の業務について教えてください。

最初の入社を経てギックスのケイパビリティがわかっていましたので、それを使って新しいビジネスを展開するべく再入社しました。当時、ギックスにデータを預けて分析し、その結果を受け取るだけでなく、クライアントが‟自分たちでデータを活用できるようになりたい‟というニーズが増えていたこともあり、自走力を高めるための教育事業に取り組みました。

お客様の曖昧なニーズを具体化し、プロジェクトを形にするBusiness Developer

―現在担っているBusiness Developerとしての役割について教えてください。

クライアントから当社への相談は「この課題を解決したいが、なんとなくデータが使えそう」「もっとデータを使った方が良さそうだけど、よくわからない」といった抽象的な内容が多いです。私の役割は、そうした課題の背景を掘り下げ、実現可能なプロジェクトを形作っていくこと。私はこれをProject Designingと呼んでいます。

一般的にはプロジェクトの提案とデリバリーをする担当者が異なるケースが多く、そのため営業は売上貢献を重視するあまり実現性に無理のあるプロジェクトを受注するリスクがあります。
一方当社では、プロジェクトの性質に応じて専門性の高い人材をアサインしており、自身が最も適していると判断した場合は、プロジェクトマネジメントも私が行います。また私がプロジェクト遂行をしない場合でも、伝言ゲームのような事態を避けるため、デリバリーのメンバーとは密に連携を取り続け、提案内容と実行のズレを最小限に抑えます。このように完全には製販分離せずに提案からプロジェクトの遂行まで一貫して携わる点が特徴です。
自分自身もプロジェクトを推進していく立場を経験しているからこそ、現実的な提案ができ、クライアントの期待値に沿った成果を出せていると思います。

Business Developerにはどのようなスキルが必要でしょうか?

大きく2つ、「ビジネスの理解」と「データへの理解」の両方が必要だと思います。ビジネスを理解していないと、クライアントの課題を正しくヒアリングができないため、正確な把握ができなくなります。また同時にデータに関する専門知識がなければデータのポテンシャルを開放できるような提案、それはつまりクライアントがWinにつながるような提案ができません。

私の場合は、ヒアリングの段階で実務を見せていただいたり、可能な場合はデータサンプルをいただいたりして、課題に対してクライアントが保有するデータで解決ができそうか、実現可能性を初期段階でチェックしています。データを見れば、どのようにビジネスに活かせるかという提案を形作ることができます。

お客様のニーズを的確に捉え、データの可能性を最大限に引き出す力。この2つがWinにつながる提案には不可欠です。

“Win”を生む提案力に必要な「ビジネスの理解」と「データへの理解」

―「ビジネスへの理解」はどのように身に付けたのでしょうか?

よく言われる話だと思いますが「1つ核になる深い知識をもって、そこから展開しながら理解を広げる」ことだと思っています。

関西エアポート時代、航空会社出身の上司から、エアラインのビジネスを徹底的に学びました。空港運営会社の立場ながら、航空会社のビジネス構造や、何を考えているのかを理解することで、同じ言語で会話ができるようになり、営業の精度が格段に上がりました。この時に学んだことは、他のビジネスに応用できる核となっています。

他のビジネスへの応用は簡単です。例えば、飛行機は就航路線が決まれば、あとは座席をどうやって埋めるかが勝負になります。これはホテルも同様で、建てたあとは部屋をどうやって埋めるのか、そこに複数人数や連泊があるという違いを考慮すれば応用できます。

私の場合は空港でのビジネスを核にしていることもあり、インフラビジネスやエネルギー系を得意としています。空港ではターミナルの建設費や、空調などの施設運営管理費などのコストが発生していて、それをお客様への価格設定に転嫁していますが、これは電気や水を配給する電力会社や水道局と同じわけです。

―空港運営や航空会社のビジネスへの深い理解が、その他の業界への応用力となっているんですね。「データへの理解」はどのように身に付けましたか?

前提として「データへの理解」はビジネスの理解に比べると相対的に難易度が低いと感じます。ビジネスがソフトスキルならばデータはハードスキルなので学ぶ内容の型がある程度明確な点が関係しているでしょう。ギックスのようなデータ分析を専門とする環境での現場経験に半年から1年ほど携われば基本がしっかりと身につきますが、ビジネスとデータを融合させる、つまりビジネスにどう活用するかがとても難しいポイントです。

私は「限界までデータを使い倒す」と言っているのですが、データの持っている本当のポテンシャルを引き出すためには、本気でデータ分析に取り組んだことがないと、できないと思います。ビジネスの事をわかっていても、データでどう実現するのかわからないと、データの価値が途中でなくなってしまいます。

―「データのポテンシャルを引き出す」とは、どのような意味でしょうか?

例えば、鉄道では電車の移動データなどから、路線ごとの売上や、時間帯ごとにどの駅が忙しいかなどの基本的な情報は、簡単に把握することができます。一方で、「同じ人が月何回使っているのか」「定期券を使っている人が定期券以外の利用をしているのか」「そういった顧客は全体のうちどの程度割合で存在するのか」など、一歩踏み込んだデータ分析はスキルが必要となります。

鉄道の都度利用を例に考えます。鉄道会社にとって売り上げのベースとなる定期収入に加えて、都度支払う利用を伸ばすことも重要です。そこで都度利用の分析を行うため、定期券を持ちながら都度利用を月5回利用するグループと、月10回利用するグループについて考えます。

鉄道会社としては当然ながら、月5回利用する顧客に月10回利用するような顧客になっていただきたい。仮に達成した際の売上増加インパクトは容易に計算できますが、実際に顧客の行動変容を促すためのヒントを分析することは難しいです。各グループの移動パターンをあらゆる角度から分析する中で5回グループと10回グループに利用傾向の差が見えてきます。まさにこのような示唆がその後のマーケティング活動へのタネとなるわけです。

上記の例のように、ビジネス側の人たちから「データでなんとかしてください」とご相談をいただいた場合に、その「なんとか」がわかっているのが当社の得意な点だと思っています。

データ遊びで終わらない、‟カチ”にこだわった提案

―ショーンさんの考えるギックスの強みはどんなところですか?

当社の特長は、ビジネスコンサルティングもデータへの理解も、両方を高水準でできるところ。両方を備えている会社はあまりないのではないでしょうか。私はよく「データ遊びで終わらない」という言い方をしていますが、データの分析や仮説づくりだけで終わらず、その先のことを見据えた提案を心がけています。これは弊社が一気通貫でプロジェクトを進められる点にもかかわっています。

そしてもう1つ、「現場の人たちの巻き込み」力です。当社はデータ活用のプロですが、事業のプロ・現場のプロはクライアントの皆様です。現実世界で仕事を動かしているのは最終的には「人」であり、プロジェクトの成功のために現場の皆様の意見や参画をとても大事にしています。だからこそ、プロジェクトに関連する企画メンバーだけではなく事業に関係する現場のメンバーを積極的に巻き込むように進めています。

―最後に、クライアントと向き合う中で日頃から心がけていることを教えてください。

クライアントが「勝つ」、つまりクライアントの‟カチ”にこだわること、そして自然とやりたくなる提案を行うことを意識しています。「自然とやりたくなる」というのは、クライアントが勝つ、それが明確に伝わる提案だからです。

‟カチ”には「勝ち」と「価値」の両方の意味をかけています。どうしたら‟カチ”になるのか、論点を整理してデザインする部分は安心して任せていただきたい。これからもクライアントと一緒に、ワクワクする仕事をしていきたいです。

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