仮説思考ってなんだろう?
「仮説」「かせつ」「カセツ」。
ここでは仮説を「その時の最もあっている可能性が高い仮の答え」もしくは、「その対象となるモノゴトを最終的な答えに導くための仮の答え」と定義します。近年のビジネス書を見れば、仮説の重要性は所与のものになりつつあります。一方で、「仮説が重要」と言う諸説が一般的になればなるほど、その「仮説」と言う言葉が一種の「思考停止ワード」になっているようにも感じます。
「仮説」と言う名の思考停止ワードにご注意!
「思考停止ワード」とは、なんとなく知っているようで、実は正しくは理解していないのだけれども、でもそのキーワードを出せば、なんとなく周辺の方々含めて納得して、その後は頭を使わずに議論が収束して行くような魔法の言葉を指します。他にも「戦略的」なども注意が必要な思考停止ワードです。戦略的という枕詞をつけると、それっぽく聞こえるために何ら戦略的にモノゴトを考えないケースなどが散見されます。
この「仮説」と言う言葉は、知らない人はいない程のビッグワードになりましたが、果たして仮説がナニモノであり、そして仮説の立て方がどういうものなのかをどの程度理解されているでしょうか。その誤った理解のせいで、最近では「仮説不要論者」も現れ始めました。仮説とは実は本当は必要のないものであり、人々をまやかすだけのキャッチコピーなのでしょうか?
仮説とは何かの問題に対する仮の答えですので、広義な解釈で言えば、狩り(仮にかけているわけではありません。笑)や農業をより効率的に行うための道具類や手法の開発に対する仮の答えを出すことを常に繰り返し、新たな発見や発明、そして改良を常に繰返し進化してきた人類の歴史は、まさに仮説思考の繰返しであったと言っても過言では無いでしょう。大袈裟に言えば、仮説とは人類(ホモ・サピエンス)が進化する上で必要不可欠な行為であり、「仮説が必要か、否か」の議論ではなく、「仮説思考というものをいかに上手に使いこなすか」が本来の論点であると思います。
長並列型仮説思考
問題解決のプロセスとして、「そら・あめ・かさ」「空 雨 傘」という例題がよく出てきます。「空を見て推察して」「雨がふるのではないか」と状況に対する仮説を立て、雨がふるなら「傘を持っていくべきだ」と打ち手の仮説を立てることになります。この思考プロセスは「そら・あめ・かさ」と言う極めてシンプルなキャッチコピーとして話がまとまっているために多くの方に認知されているものですが、実際のビジネスシーンにおいては、空だけを見て雨と判断できることは稀ですし、雨という状況下において、傘という単一の打ち手につながることも稀です。そのため、シンプルにまとまっているが上に、言葉の表面だけを理解して、実務では使えないと非難する方がいるのは非常に残念です。非常に簡素化された思考プロセスのキャッチコピーであると捉えて頂くのが良いでしょう。
実務においてトップ・マネジメントや戦略コンサルタントが用いる仮説思考は、より並列的な情報源から仮説を立案します。この”並列的に情報源を用いて仮説を立案するプロセス”を「長並列型仮説思考」と名づけました。今回の連載記事ではこの長並列型仮説思考とはなにか、またそれを使いこなすためにはどうすればよいか、に関して連載していきます。
目次
第1回:そもそも仮説ってなんだろうか?
第2回:長並列型仮説思考とはなにか 〜「そら・あめ」のケーススタディから考える!
第3回:長並列型仮説思考とはなにか 〜初デートのケーススタディから考える!
第4回:長並列型仮説思考の使い方 パターン① 情報長並列型
第5回:長並列型仮説思考の使い方 パターン② 仮説長並列型
第6回:仮説立案のプロフェッショナルに向けて
※本連載はschooにて行われた授業を元に記事化しております。
http://schoo.jp/class/660