「民間で活躍できる博士人材」に 研究と臨床経験を活かした「現場の課題解決」への挑戦

AUTHOR :   ギックス

看護学の博士号取得と看護師としての就業を経験し、医療系企業を経て2024年4月にギックスに入社した北野悦子。これまで看護の専門分野のキャリアを進んできた彼女が、なぜ異業種であるギックスを選んだのか。その背景には研究と臨床の両方を経験したからこそ感じた、北野自身が描くキャリアプランがありました。

「民間で活躍できる博士人材」を目指し、研究と臨床を同時進行。「現場の課題解決」に対する思い

看護学の修士課程修了後、臨床経験がない場合は看護師として現場に出ることが大半だと言います。このような中、博士課程に進むと同時に病院に就職。研究と現場の両方に向き合い、専門分野を突き詰めていた北野が民間企業への就職に至った背景を振り返ります。

研究への関心が高まっていたタイミングで、担当教員からの薦めもあり、大学院の修士課程に進学しました。研究に対する理解を深める中で「研究は、臨床(現場)のために行っているにもかかわらず、現場で研究結果が活かしきれていない」ことに課題感をもつようになりました。

きっかけは、フィンランドの大学病院の見学でした。そこでは、博士課程の学生が臨床で看護を提供すると同時に研究も行っていたのです。そのため私自身も「研究と現場」の両方を経験すれば、見える世界があるのではと考えた末、無謀な挑戦とは承知の上で、博士課程への進学と同時に看護師として就職しました。

非常に貴重な経験になりましたが、博士号取得後に研究者としてキャリアを続けることを考えた時にネックになったのが「時間軸の長さ」。私が専門としていた看護において「エビデンス※を構築する」ことは、かかる時間に対して、結果から提言できる、つまり現場の課題解決に活かせることは非常に限定的なんです。

博士課程に進学した時から「民間で活躍できる博士人材」を目指していたこともあり、もう少し短いスパンで社会実装まで行える、民間企業への就職を検討するようになりました。

※エビデンス:看護の領域においては、看護の有効性に関する科学的根拠
フィンランドでの大学病院見学時に撮った一枚

就職先の企業を選ぶ際に重要視していたことについて、こう振り返ります。

これまでの経験を活かして「根拠や再現性があるものを見出し解決策を提供する」ためには、データが集まる環境に身を置くのが良いだろうという考えから、高齢者に対する看護を専門にしていたこともあり、介護業界向けの電子カルテ(記録入力システム)を提供するソフトウェア会社に就職しました。

その会社では、電子カルテの中のオプション機能を新しく作る部署に所属し、どういう課題が現場にあって、電子カルテを軸にしてどのようなサービスを提供すれば現場の課題解決につながるのかを考える役割を担っていました。具体的には、介護サービス提供事業所におけるご利用者様の記録をご家族に共有するなど、事業所とご家族を繋ぐサービスの開発に携わっていましたね。

将来的にはエビデンスや利用者さん・患者さんのデータを元に適切な看護・介護をレコメンドできるようにしたい、など自分の中で色々と構想していたことはありましたが、会社として開発を進める判断に至らなかったこともあり、キャリアを通して自分がチャレンジしたいことについて、改めて考えるようになりました。

手を挙げれば誰でも挑戦できるカルチャーと自分の短所をプラスにできる環境に共感

自分のキャリアを振り返り、自己理解を深める中で、データや数字を使って課題解決する仕事をしたいと再認識したという北野。事業会社やコンサルティングファームなどにも関心を持っていた中、ギックスを選んだ理由は大きく3つあると言います。

1つめは、私が目指してきた「理想の看護像」と、ギックスの思想が共通している点です。

医療の世界では、科学的根拠に基づいた治療を提供することが当たり前になっている中で、看護も同じようにできないか。ただし、看護は個人差がかなり大きい「生活」を支援する役割である以上、エビデンスと経験を融合し、「その患者さん・利用者さんにあった最適なケアを提供する」という世界観が相応しいと思い、実現を目指していました。

また、経験が少ない新人の看護師でもエビデンスを活用することで、経験不足を補填できるのでは、という思いもあったんです。

転職活動を進める中で、「経験、勘、度胸などを踏まえた人間の判断を、データを活用することで論理的かつ合理的にアップデートする」というギックスの思想やビジネスの仕方に触れた時、業界は異なれど、これまで自分が目指してきた理想にかなり近しいと感じ、そんな会社があるのかと驚いたのが正直なところです。

理由の2つ目は、キャリアの柔軟性だと言います。

面接を重ねる中で特に印象的だったのが、「お客様に向き合って課題解決をすること、解決するためのプロダクトを作ること、どちらも選べるし、方向転換もできる」と明言して下さったことです。

これまでの経験から、「本質的な課題解決ができるプロダクトを作る」という役割に興味を持っているが、医療業界にいたこともあり「ビジネス観点で物事を見る力」を強化する必要があるという考えを伝えたところ、ギックスにはお客様と相対するコンサルティングも、自社プロダクト作りも、お客様のシステム作りもできる環境があるということでした。そして「手を挙げれば任せる」文化があることや、実際にデータ分析部隊から開発へキャリアチェンジした方も複数名いらっしゃることを聞きました。

他の会社さんではキャリアチェンジは難しいとおっしゃるケースが多かったので、ギックスなら自分が目指すキャリアが歩めそうだ、と感じられたことも大きかったですね。ブログ記事や動画コンテンツなども目を通して、面接で聞いたことが本当か確認できたことも安心材料になりました。

<参考>
「お客様の反応が得られるから『より良い』ものづくりができる」ギックスのリードエンジニアが語る開発組織の魅力
希望のもと未経験でエンジニアへ。成長を支える、メンバーのサポートと試行錯誤の日々
[動画]ギックスってどんな会社?プロ意識を前提とした柔軟な働き方とは?

3つめは、ギックスのカルチャーとの親和性の高さと続けます。

ギックスの特徴的な行動指針とカルチャーの中でも、「ラーニング・アニマル」と「高い好奇心」というカルチャーには親しみを感じています。

自分の短所だと感じていた「飽き性」な側面は、逆に捉えれば色んなことに興味も湧きやすいということ。それをプラスに捉えてくれる会社だと思いましたし、実際に様々なプロジェクトが走っていて、常に新しいことを学び続けられることも魅力の1つでした。

北野 悦子(きたの・えつこ)
2018年に大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻修士課程修了後、博士課程に進学しながら私立病院にて回復期リハビリテーション病棟の看護師として入職。その後、医療系のシステム開発会社を経て、2024年4月にデータアナリストとしてギックスへ入社。

異例の速さで研修を修了。さまざまなケースに関わることで課題解決力を磨く

ギックスでは入社後の研修として、データ分析について学ぶプログラムがあります。

大きく2つのカリキュラムに分かれていて、前半がインプット中心の「初期研修・仮免試験」、後半がより実践的な「路上研修」と、自動車学校になぞらえた名前がついています。

初期研修では、SQLの書き方やロジックプロセスの概念、共通言語の定義などを学び、仮免試験でこれらを総合問題的にアウトプットします。そして、路上研修では、実際に過去のデータセットを使用して、プロジェクトに加わった時にどのような業務が発生するのか学んでいきました。

簡単なSQLは前職でも書いていた経験を活かせたことと、教えていただいた参考図書を読み込んで準備していたので、比較的スムーズに進められて安心しましたね。

通常3~6ヶ月程度かかると想定している研修を2ヶ月半程度で修了してしまった北野に対し、入社時の要望を踏まえたアサインが行われています。

現在はデータ分析に強みを持ち、主にデータの利活用を支援するDesign & Science Divisionに所属して、データアナリストとして複数のプロジェクトのサポートを行っています。

通常は特定のプロジェクトにアサインされ、クライアント企業とのプロジェクトに深く関わっていくそうですが、入社時に伝えた要望を元に様々なプロジェクトに関わる機会を作ってもらえているのはありがたいですね。

どのような課題に対して、どのようなアプローチを行うのがギックス流なのか、「ビジネス観点で物事を見る力」を学んでいるのが現在です。

このようなアサインはマネジメント層との頻繁なコミュニケーションによるものだと続けます。

普段の業務の相談や1on1など、Division Leaderやマネージャーとお話しする機会は多々あり、キャリア軸と現プロジェクトで不足している部分を勘案してアサイン先を決定いただけることは聞いていました。

それだけでなく、面談で自分が言語化した以上に、マネジメントしている方がメンバーを観察して、見極めたうえでアドバイスや業務の振り分けを行っているところも、人材が早く活躍できるようになる要素なのだと思いました。

興味のあるものは幅広く経験することが、民間でも活躍できる博士人材になるための極意

全くの異業界・異業種からジョインした北野、博士課程での経験が今の業務にも役立っていると話します。

理系大学院を卒業した後は研究職へ進むケースが多いですが、自身の知見を社会に実装したい、ビジネスの現場に活かしたい場合、民間企業へ就職することも1つの方法だと思います。

大学院で研究をしたり、論文を書いたりした経験は、社会で活きないと感じる方も多いかもしれませんが、個人的には、そのプロセスで培った物事の考え方やデータの扱い方の基本の「基」は、現在民間企業で働く上でも役立っています。

とはいえ「研究」さえしていれば良かったわけではなく、学生時代に専門外の講義やプロジェクトに参加するなど、その時々に興味を持ったものに幅広く触れてきました。結果的に、手探りで進んできたキャリアではありますが、学生や看護師時代、前職の経験など、振り返るとすべてがつながっていると感じます。

大阪大学とUniversity of California, San Diegoが共同で開催したアントレプレナーシップ教育プログラムを修了した時の1枚

データをもとに課題を解決し、社会へ実装することを目指す北野。今後のキャリアプランについてこう語りました。

「データをもとに本質的な課題を解決できるプロダクトを作る役割」を担えるようになるには、まずデータ分析を一人前にできるようにならないといけません。そして、ビジネス観点から課題を捉え解決する力も養った上で、プロダクトを作る能力やプロジェクトマネジメント力を身につけていく。時には新たに興味が沸くこともあると思いますが、そんなときは自分の心に従い、どんどん挑戦していきたいです。

これからも私の好きなスティーブ・ジョブズ氏の言葉
“You can’t connect the dots looking forward; you can only connect them looking backwards.”
(将来を見据えて点と点を繋ぐことなどできません。過去を振り返ったときに初めて点と点が繋がるわけです)
を信じて、様々なことに挑戦しつづけたい、そして挑戦させてもらえるギックスという環境の中で、一歩ずつ成長していきたいです。

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