バリューチェーンがバラバラに分解
実は、この「デコンストラクション」は私がとっても好きなフレームワークの一つです。既存の業界構造をベースに、この4つのパターンを眺めながら、どうにかしてこの業界を変えられないかな、などと考えるのが大好きだったりします。
デコンストラクションをもたらす背景
デコンストラクションと言う言葉はもともと哲学用語で、「文章を吟味して、定説となっている従来の解釈とは異なる意味を見出すこと」らしいです。ビジネス用語では、既存のビジネスモデルが崩壊し、新しいモデルが生まれることをデコンストラクション、業界に新たなルールを持ち込み、既存の業界秩序を破壊する存在をデコンストラクターと呼んでいるようです。
デコンストラクションをもたらす要因は以下の5つだそうです。
- 経済の成熟化に伴う従来型ビジネスモデルの限界
- 企業競争や消費者自身のグローバル化
- 規制緩和の流れ
- コンピュータとインターネットが融合した情報ネットワークの発達
- 情報ネットワークの発達によってもらたされる情報の新しい経済性
デコンストラクションの4つのパターンを見て行きましょう。
1.レイヤーマスター(専門特化型企業)
バリューチェーンのレイヤーの一つに特化して、その部分で圧倒的な力と地位を確立するプレーヤー。今まで統合されていた一気通貫のバリューチェーンが分解されていくつかの要素に分かれるときに、そのうちの1つに特化することで強大な力を獲得するやりかた。
例:パソコン業界のインテル、マイクロソフト
2.オーケストレーター(外部機能活用型企業)
ある要素で強力なプレーヤーが、バラバラになったバリューチェーン全体をコントロールすることで、消費者にトータルな価値を提供するパターン。インテグレーター型とは違って、全てのバリューチェーンを自分で持つことはせずに、コアになる機能のみを自前で持ち、あとは外部資源を活用して、顧客へはトータルサービスを提供する。
例:DELL、ASKUL
3.マーケットメーカー
すでに存在しているバリューチェーンの間に入って、そこに新しい市場を創るプレーヤー。上流と下流を結びつけて、従来よりずっと効率的な流れを構築することで利益を得る、アンメットニーズや既存の無駄を置き換えるなど。
例:ガリバー、フルキャスト
4.パーソナルエージェント
消費者側のビジネスモデルを構築する。「販売代理人」ではなく、「購買代理人」消費者側のニーズを中心に、彼らの購買や情報収集・選択の仕組みを支援する仕組み。
例:Amazon(小売)
※Amazonをインターネット小売と捉えずに、パーソナルエージェントとしてのオンライン小売と捉えている。
弊社はもともと「パーソナルエージェント」としての立ち位置で仕事を展開していますが、現在では「オーケストレーター」的な活動もでてきました。また、ある分野では「マーケットメーカー」のビジネスモデルも実験し始めています。
このようなフレームワークを活用する際のポイントですが、自らのビジネスアイデアをこのようなフレームワークに当てはめたらどれになるのか、またそのパターンの成功モデルと対比させると、更にどのようなアイデアが生まれるのか、と言う考え方があります。また一方で、自分が参入しようとしている業界や顧客の立場に立って考えると、これらのパターンそれぞれを用いて、何か新しいビジネスアイデアが生まれないか、などと考えることもできます。冒頭でも書きましたが、私は非常に気に入っているフレームワークです。
デコンストラクションを詳しく学ぶにはこちら。BCG戦略コンセプト
本記事は私が起業して経営を行う際に役にたっていると感じている経営戦略の小ネタを備忘録的に記事にしているシリーズものですが、あくまで備忘録的に書いてあるため、テーマが全体を通して構造化されていない点はご容赦ください。