儲ける仕組み4類型
事業を遂行するうえで利益の創出は避けては通れません。例え高尚な企業理念や事業目的があったとしても、利益が出ていなければ企業は存続できません。起業した際に、「どのようにして安定的な利益を創出していくのか」は大きな命題だと思われます。
利益が出ていなくても高額で買収される企業がありますが、企業をgoing concern捉えるのではなく、あるタイミングで売却も含めたExitを前提としているケースは異なりますので、このようなケースは別の機会に記事を書いていこうと思います。
儲けていく仕組みは、「ビジネスモデル」とか、「マネタイズ」、「収益エンジン」、弊社では「メカニズム」と言っていますが、色々な言い方があります。本日は内田和成氏の著書「異業種競争戦略」からヒントを得ながらまとめて見たいと思います。
内田氏がまとめている儲ける仕組みは以下の4つになります。
- トールゲート
- エンラージメント
- イネーブラー
- ブロックプレイ
4つと書いてますが、実は儲け方は2つ、他の2つは成長の仕方、防御の仕方になります。
整理学に固執ぜす、自社の儲け方を考えるヒントにすれば良い
トールゲート :
日本においては高速道路を通過すると必ず料金所があり、ここでお金を支払います。この料金所と同じ仕組みがトールゲートです。通過すれば必ずお金を払うようになる仕組みを作り上げる。エンラージメント:
高速道路におけるサービスエリアの位置づけ。せっかく高速道路に入ってきたのであればサービスエリアによって食事をしてもらったり、買い物をしていってもらう仕組み。イネーブラー:
「撒き餌」を意味します。プリンターで言えば、プリンター本体は原価割れをする価格で売り、リフィルが必要になる「トナー」で利益をしっかり得るモデルです。ブロックプレイ:
「跳ね返す」の意味ですが、敵のトールゲートを邪魔する仕組み。先の「トナー」で言えば、格安トナーを出すような打ち手がブロックプレイです。
上記を見て頂ければ分かる通り、実は儲け方は「直接儲けるのか」「派生で儲けるのか」しか言っておりません。また、「儲けを推進する手段」「相手にダメージ与える」で2つの儲けを推進ということです。
「トールゲート」「エンラージメント」も明確に定義があるわけではなりません。例えば、高速道路を例に取れば、料金所の通行料を値下げして、通行客を増やし、その通行客により「エンラージメント」であるサービスエリアで利用してもらう場合、高速道路の通行は「イネーブラー」であり、サービスエリアが「トールゲート」であるとも考えられます。
こういったフレームワークは、どのような区分が正しいとか、間違っているなどを議論するのは無意味です。経営学を学ぶことが目的ではなく、起業して自社が成長することを目的とすれば、自分なりに考えるためのヒントが得られればそれで十分なのです。
このフレームワークでは、「しっかり収益を上げる仕組み」と、「そこから派生して儲ける仕組み」と、「収益を上げる仕組みを活性化させる仕組み」の3つがあるのだな、と理解すれば良いとも言えます。(ブロックプレイは放置します)
そのため、私は「本業」「派生事業」「活性化」の3つで考えるようにしております。しっかりと売上・利益を上げていくための「本業」の仕組みは何か?その「本業」をより推進するための「活性化」させる仕組みは何か、また、本業を推進した際に、組み合わせでより収益を上げていく「派生事業」は何か。
これらは時代の流れにより、場合によっては「派生事業」が「本業」化して、「本業」が「活性化」事業になっていることもありえます。
起業をすると、日々の忙しさで自社の事業を考える時間が少なくなりがちですが、ふと一息カフェでコーヒーでも飲みながら自社にとっての「トールゲート」「エンラージメント」「イネーブラー」を考えてみるようにしています。
本日の考え方は、この本から
本記事は私が起業して経営を行う際に役にたっていると感じている経営戦略の小ネタを備忘録的に記事にしているシリーズものですが、あくまで備忘録的に書いてあるため、テーマが全体を通して構造化されていない点はご容赦ください。