時間を守れないプレゼンをするようでは「プレゼンテーター失格」
本特集では「プレゼンテーション」を成功させるための考え方を整理します。(本文中のスライドは”IDPC:国際開発を目指すプラットフォーム”が企画・運営する”第5回国際開発プランニングコンテスト”での講演内容に加筆・修正・補足したものです)
前回ご紹介した「最後の仕上げ」に関して、掘り下げます。
なぜ「優先順位」が重要なのか
プレゼンテーションとは、与えられた時間内に狙った目的を達成することです。これを忘れて「好きなだけ喋って自己満足に浸る」というのは、プレゼンテーター失格です。いくら話が巧くて、面白くても、それはプレゼンテーションとしては成立していません。特に、複数の方が順番にプレゼンをする場合には、他人の時間を食いつぶしてはいけません。(反対に、やられたらムカつくでしょう?)プレゼンが巧い、という自負のある人の中にも、時間をオーバーすることを「仕方ない」と捉えている人が散見されます。会議の時間と同様、プレゼンの時間は厳守するのが鉄則ですので、その中で収まるように「話すことの優先度」をつけておくことが重要です。
また、上述の通り「他人の持ち時間を食いつぶす人」が世の中にはたくさんいます。悲しいことですが、事実ですので仕方ありません。そういう人が自分の前に話していた場合、あなた(及び、あなたの後ろの順番の人)で食いつぶされた時間を調整していくことになります。(そうしないと、今度は「聴衆」の時間を食いつぶすことになります。)そういう事態に陥った際に「最悪、どこは飛ばしてもいいか、あるいは、薄く話しても大丈夫か」という部分及び「ここだけは必ずしっかり話さないといけない」という部分をクリアに決めておくことが、プレゼンを成功に導く鍵のひとつだと言えます。
優先順位を決める とは
では、具体的に「優先順位を決める」とはどういうことをすればよいのでしょうか。
考え方としては「3分しかなかったら、どの紙を話すか」というのがお薦めです。
例えば「30分のプレゼン」を準備していたとしても、もともと骨子を作ってあるわけですし、ストーリーは「骨子を喋ればOK」です。それだけなら、大抵1分程度もあれば大丈夫です。と、なると、残りの2分弱で「どこを掘るか」「どこが一番、相手の興味を惹けるか」ということを突き詰めることになります。
そして、5分なら、10分なら、と「徐々に話す部分を増やしていく」というのが論理的には正しいのですが、そんなに準備時間が潤沢にあるのは稀ですし、おそらく「3分版を考えていたら、すでに5分~10分くらいのボリュームになっちゃった」というのもアリガチな結末ですから、それらが「最重要なトピック群」という程度まで絞り込めていれば良いと思います。(もし、30分のプレゼンをホントに”3分”でやれ、と言われたら、怒ってもいいと思いますし。)
ページ 単位の優先度
優先順位のつけ方は、大きく二つあります。まずは「ページ」単位での優先度です。そのページは、全体ストーリーの中で、どういう位置づけなのかを「客観的に」評価しましょう。頑張って作った資料なので”全て言いたいこと”のハズですが、聴衆に伝えたいことを最短で伝えるために”本当に必要か?”という視点で思い切ってバッサリ省略してみる、という思考実験だと思ってやってみましょう。(ここでの反省が、次回プレゼンにも活きます)
チャート、テキスト 単位の優先度
今度は、ページ内の「チャート」「テキスト」単位での優先度です。本来なら、1枚のチャートも『縦軸は出荷量で横軸は3年毎の統計数字ですが、3年前に比べて18%、6年前からみると42%の増加がみられるのは、他業界に比べて云々・・・』と説明したいところですが、「xxxが右肩上がり」という説明だけで良いのかもしれません。(なにせ、3分しかないのですから!)
特に、当該ページが「読んでわかる資料」の場合は、いろいろ言いたいことがテンコ盛りになっているので、ガッツリ端折る、という心意気を持って優先順位を決めてください。
これらの”思い切りの良さ” ”潔さ”が、「サマライズ力」を鍛える事にもつながります。
追記:
プレゼンテーターではなく、プレゼンターではないのか?という指摘を頂きました。僕もそんな気がしつつも、日本語だと「プレゼンテーター」と言うのが一般的だろうという理解で記述しています。ご了承ください。(英語では「presenter」ですよね。)
連載記事一覧
- プレゼンテーションの種類
- 大切なのは「勝ち」を定義すること
- ”勝ち”を意識して組み立てる
- 伝え方を考える
- プレゼンの”骨子(ストーリー)”をつくる
- ストーリーを”資料”に落とし込む
- 最後の仕上げ
- (A)話すことの優先順位を決める (今回)
- (B)レベルに応じて適切なメモをつくる
- (C)リハーサルをする
- 「本番」を乗り切るためには”忘れる”→”演じる”→”牛耳る”でOK
- 上達のために感想を訊こう
(本特集の記事一覧はコチラでもご確認いただけます)