通し練習なしに本番に臨むなかれ
本特集では「プレゼンテーション」を成功させるための考え方を整理します。(本文中のスライドは”IDPC:国際開発を目指すプラットフォーム”が企画・運営する”第5回国際開発プランニングコンテスト”での講演内容に加筆・修正・補足したものです)
今回も引き続き、先日ご紹介した「最後の仕上げ」に関して、掘り下げます。
リハーサルを怠るのは、聴衆をバカにしている
リハーサルを一度もしないで本番に臨むのは、聴衆に対して失礼だと僕は思います。
持ち時間が30分なら、きちんと30分間かけたリハーサルをやりましょう。できれば声に出して、どう話すのかを確認するべきです。可能であれば、誰か(家族、同僚など)に聴いてもらって、ちゃんと伝わっているかをチェックしても良いですね。
本番で時間が余る、というケースはあまり無いと思うのですが、時間が足りない、というケースは散見されます。そして、時間内におさめるために後半をガッツリ端折っているスピーカーをみると、とても悲しい気持ちになります。聴衆は、貴重な時間を割いて(場合によってはお金も払って)来場してくれているわけなので、できるだけ「伝えたかったこと」を「ちゃんと伝える」べきだと思いますよね。
この”時間が足りない理由”が「リハーサル不足」だとしたら、猛省を促したいところです。(というか、それ以外に、時間が足りない理由が思いつかないのですが。)
リハーサルは2回やろう
では、リハーサルをやる際に、何に気を付けて、何をチェックすればよいのでしょうか。
僕は、リハーサルは2回やることをお奨めしています。1回目は「時間配分」「話しやすさ(説明しやすさ)」を確認します。話しながら、気になる点があればメモをしておきます。(しかし、できるだけ最初から最後まで通してみる方が良いです。時間配分がわからないので。)また、ある程度のカタマリ単位(=スライド数枚ずつ)で、どのくらい時間を使ったかもメモしておくと、時間配分の調整が楽になります。
この1回目のリハーサルをやってみた上で、どれくらい調整が必要かを見極めます。話しにくかった(説明しにくかった)部分は修正したり補足を加えたりしないといけません。そして、もちろん、時間配分の調整が最も重要です。カタマリ単位での時間メモがあれば、時間配分の調整は容易です。前々回ご説明した「優先順位」に従って、”端折る”部分を決めましょう。
この段階で、資料そのものが「完成」したわけです。ここで2回目のリハーサルです。
この2回目は、完全に「本番」だと思ってください。本番は立って話す予定なら、リハーサルもできるだけ立ちましょう。どこを、どういう感じで”強調”するのか。声の大きさ、間の取り方、話すスピード、アニメーションを出すタイミングなどなど、全てチェックします。身振りや手振りをつけるなら、本番同様の振る舞いをしましょう。レーザーポインターなどを使うなら、どの部分を指し示すのかも考えてください。(僕は、よほど大きな会場でない限り、レーザーポインターや指し棒は使わず、手で指し示すようにしています。)
当然ながら、きちんと時間を計って、ちゃんと時間内に終わるかどうかも、もちろん確認してくださいね。
これで準備は完了です。後は、本番を待つのみです。
連載記事一覧
- プレゼンテーションの種類
- 大切なのは「勝ち」を定義すること
- ”勝ち”を意識して組み立てる
- 伝え方を考える
- プレゼンの”骨子(ストーリー)”をつくる
- ストーリーを”資料”に落とし込む
- 最後の仕上げ
- (A)話すことの優先順位を決める
- (B)レベルに応じて適切なメモをつくる
- (C)リハーサルをする (今回)
- 「本番」を乗り切るためには”忘れる”→”演じる”→”牛耳る”でOK
- 上達のために感想を訊こう
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