プレゼンの”成功”は、”目的”が達成されたかどうか
本特集では「プレゼンテーション」を成功させるための考え方を整理します。(本文中のスライドは”IDPC:国際開発を目指すプラットフォーム”が企画・運営する”第5回国際開発プランニングコンテスト”での講演内容に加筆・修正・補足したものです)
プレゼンテーションには「目的」があるはずです。正確には「目的があるべき」です。
プレゼンのゴールを考える
前回、学生の立場で「接するプレゼン」をご紹介しましたが、まずは、それぞれの「目的=ゴール」を考えてみましょう。
再下段を除けば、どなたにとっても分かりやすい「目的」「ゴール」だと思います。(下敷きとしている講演が「国際開発プランニングコンテスト」における”プレゼン技術”でしたので、一番下は”その際の「目的」を明確化して考えよう”ということを示しています。)
この「目的」が達成されたかどうか、が「プレゼンが成功したかどうか」の唯一無二の評価ポイントであると僕は思います。
ゴールを如何に設定するか
ゴールを設定する際に、考えるべきことはなんでしょうか。最初にして最重要の”問”は(当たり前ですが)「あなたは何のためにプレゼンをするのですか?」。コレに尽きます。言い換えれば「何をもって”勝ち”とするか」を最初に決めることが重要なわけです。
これは、別にプレゼンに限った話ではなく、所謂「競争戦略」などでも同じ話ですね。マイクロソフト日本法人の元社長である成毛眞さんの「マーケティング辻説法」から、私の気に入っている一節を引用します。
まずは「戦略(ストラテジー)」と「戦術(タクティクス)」の峻別だ。一言でいえば、競争相手が誰で、どの段階で相手に「勝った」とするかを判定するためのものが戦略。どうやって売るか、価格をいくらにするかという話が「戦術」だ。
戦争の場合、日本軍は別にして、アメリカ軍などのまともな軍隊は、昔から、第一に「戦略」上の目標を決めている。何をもって勝ちとするか、が非常に重要なのだ。
首都を落とすのか、ある一定地域だけ占領して、それ以上の戦線拡大はしないのか、完全降伏させるのか、和睦するのか。賠償をとるか、とらないか。相手の軍事力を徹底的に消滅させるのか、わざわざある程度残すのか。
戦略と戦術の定義として、これが優れているのかどうかはさて置いて、何かを考える際に僕はこの一節を思い起こします。「どうなれば”勝ち”なのか」と。
プロジェクトの結果、何がどうなっていれば”勝ち”なのか。ミーティングを開催するなら、その終了時点で何が決まっていれば”勝ち”なのか。女性とデートして、彼女がどういう感情になってくれれば”勝ち”なのか。そして、もちろん、「プレゼンテーションを考える」際にも、例外ではありません。
プレゼンテーションにおける”勝ち”の定義のためには、「相手は誰か」「何を伝えたいのか」が明確になったうえで「相手がどのようになればいいのか」を考える必要があります。先ほどの成毛さんに倣って戦争に例えれば「敵は何者なのか」と「自軍はどういう武器を持っているのか」を踏まえて「どうなった状態を”勝ち”と定義して、それを目指すか」ということになりますね。
次回は、この「”勝ち”を見据えたプレゼン」とは何かについてご説明します。
連載記事一覧
- プレゼンテーションの種類
- 大切なのは「勝ち」を定義すること (今回)
- ”勝ち”を意識して組み立てる
- 伝え方を考える
- プレゼンの”骨子(ストーリー)”をつくる
- ストーリーを”資料”に落とし込む
- 最後の仕上げ
- (A)話すことの優先順位を決める
- (B)レベルに応じて適切なメモをつくる
- (C)リハーサルをする
- 「本番」を乗り切るためには”忘れる”→”演じる”→”牛耳る”でOK
- 上達のために感想を訊こう
(本特集の記事一覧はコチラでもご確認いただけます)