本記事は、株式会社ギックスの運営していた分析情報サイト graffe/グラーフ より移設されました(2019/7/1)
目次
利用規約で表明したうえで、様々なログを収集しよう
ゲームログだけでも十分な分析は可能ですが、ゲーム以外のログも出力しておけば、様々な活用ができるという事例を紹介します。
但し、多くのログを出力するということは、ゲーム本体への動作が重くなり、通信量、消費電力が多くなる可能性も含んでいます。活用方法が思い浮かばないようなログは出力しないようにしましょう。
アプリとは関係ないログをアプリ外で活用する事例
Agoop社は、現在地の周辺施設の検索アプリや電波や天気のチェックアプリなどを運営しています。この会社は、アプリを通じて、ユーザの検索条件・位置情報・閲覧履歴・電波状況などのログを収集しています。
収集したログは、地方自治体に提供して防災対策に活用したり、企業のエリアマーケティング分析のインプットデータとして提供しています。例えば、RESASの観光マップの滞在人効率にはAgoop社の「流動人口データ」が使用されていました。(なお、RESASはGoogle Chromeしかサポートしていないので、ご注意ください)
但し、ログを収集するには気をつけないといけない点が2点あります。アプリの利用規約に情報を収集する旨を記載することと、個人に紐づくような情報を収集しないことです。
上記画像から、Agoop社の「あぐらいふ」というアプリでは、検索条件、閲覧履歴などのアプリに関係する情報だけではなく、接続状況などのアプリには直接関係のなさそうな情報も収集していることが分かります。また、個人情報を収集していないことも併記してあります。
なお、こちらの記事によると、収集した接続状況に関するログはソフトバンクの接続率向上に活用されていました。
個人に紐づく情報を収集するとどうなるか
バレなければ大丈夫と、本来は収集してはいけない情報を収集していた事例を紹介します。
【引用】Gigazine:秘密裏に個人情報を収集していたとして、250以上のiOSアプリがApp Storeから削除される
中国のモバイル広告プロバイダーが開発した広告SDKを利用する256個のアプリがユーザーの個人情報を秘密裏に収集していることを、コードの透明性を維持するために活動している「SourceDNA」が発見しました。(中略)Appleはこの事態を受けて対象となるアプリを全てApp Storeから削除しています。
これらのアプリで使用されていた「Youmi」というSDK(SDKというものの詳細についてはこちら)は、勝手にユーザの「Apple ID」「端末のシリアルナンバー」「周辺端末のシリアルナンバー」「端末にインストールされたアプリケーションのリスト」を収集していました。Appleは『This is a violation of our security and privacy guidelines.』との声明をだし、これらのアプリをApp Storeから削除しました。
ログ出力SDKを使用する場合はリスクを認識しておこう
Google AnalyticsなどのSDKをアプリに導入していることもあるでしょう。Google Analyticsはユーザのデモグラフィー情報(性別や年代)などに加え、興味のあるカテゴリなどを把握することができる便利なツールです。しかし、SDKというパッケージされたソースコードであるがゆえに、中で何をしているか分からず、Youmiのようなリスクを含んでいるという覚悟をした上で使用しましょう。
また、ログ出力SDKのメリットや落とし穴は、こちらの記事でも紹介しましたが、SDKで収集されたログは、その集計値は閲覧できても、集計元のデータは閲覧できないことが大半ですので、数値の正確性が担保できないという問題もある点にも注意しましょう。