2014年Big Data技術トレンド予測(邦訳サマリ)
米国IT オンラインメディアのInformation Weekが、各種業界の主要人物にインタビューを実施。彼らに2014年のBig Dataトレンドを予測してもらった。インタビューの中では、”human data”、 ”位置”、”スマートデータ”など、様々なキーワードが飛び交っている。
“2013年には、主にインターネットを介して得られる“exhaust data”(排気データ)、つまり意識して集めたのではなく、他の事業活動の副産物として生成されるデータが注目された。このトレンドは今後も続くと思うが、2014年特に注目を集めそうなのは”human data”だろう。これまで人事的な観点で活用されていた従業員データを活用し、消費者需要の指標作成を行うなど、この分野に注力するスタートアップ企業が増える事が予測される”
–Dan Malligner, データサイエンスプロジェクトリーダー, Think Big Analytics
“機会学習に基づき自動化された意思決定システムにより、データ分析のライフサイクルが短縮されるだろう。また、クラウドベースのETLを活用したオープンデータの分析が増加すると考えられる。SASの代替としてのR言語も台頭するだろう。”
–Milind Kelkar, Smart Decisions Labリーダー, Genpact
“2014年のBig Dataトレンドは ’位置’ だろう。消費者は日々モバイルでオンラインバンキングを活用し、レストランにチェックインし、リアルタイムに情報を共有している。正確な位置情報を追跡することで特定の場所同士の関連性を発見すれば、優位なビジネス戦略へとつなげる事ができる。”
— James Buckley, 顧客データ&ロケーションインテリジェンスSVP, Pitney Bowes Software
“オンラインとオフラインのデータ管理システムの連携が、主要な課題だ。例えばオンラインでの購入プロセスを開始した見込み顧客が、電話での注文に途中で切り替えた場合、オンライン分析の意味が薄れる。顧客が使用したチャネルに関わらず、IDやデバイスの特定により個別顧客に対するアプローチが可能になる方法を、多くの企業が求めている。”
— Eric Holmen, CMO, Invoca
“Hadoopはまだ未熟な技術だが、Hadoopの次世代MapReduceフレームワークであるYARNなどの新たな技術の台頭が、Big Data の未来に大きく貢献するだろう。YARN のおかげで最適に効率化されたエンジンを使用する事ができるようになり、Hadoopの可能性も広がっている”
— Mike Hoskins, CTO, Actian
“今までアナリストが70%-80%の時間を費やしていたデータの準備にかかる時間が約半分に短縮され、ここ30年間で初めて、データの準備と分析にかかる時間量が逆転するだろう。”
–Prakash Nanduri, CEO, Paxata
“Webやソーシャルメディアなどから購買シグナルを探知できるようになったため、マーケティング担当者はGoogleやFacebookといった企業の動きに追随し、データから考察を導くようになるだろう。クラウドやマーケティング自動化システムなどの普及により、将来的には誰もが需要予測を行うようになり、データサイエンスチームが不要となるかもしれない。”
–Shashi Upadhyay, CEO, Lattice
“より複雑に統合された、ソーシャルと連携したナレッジベースの分析, ’スマートデータ’ が、多くの領域においてビッグデータを代替するだろう。例えばネットワークラーニング、人間レベルの動作メソッドなどが、 R やPythonのパッケージとして提供されるかもしれない”
–Gregory Piatetsky, KDnuggets
“2013年には出来るだけ多くのデータ収集に翻弄される企業を多く見かけたが、2014年はコンテクストを重視し、顧客にとっての価値増大に繋がるデータセットに焦点を当てられる企業が増えるだろう。ソーシャルメディア、購買履歴、CRMから得られる情報を活用し、各顧客へのターゲティングメッセージを提供する営業活動が増えそうだ。”
–Andy MacMillan, SVP 及びGM, Salesforce Data.com.
“データサイエンティストをサービスとして派遣提供する会社が増えているが、生き残れるのは僅かであり、多くの買収合併が繰り広げられるだろう。”
–Carla Gentry, 創設者, Analytical-Solution
コメント
上記はデータアナリティクスを得意とする米国企業のエグゼクティブらによるコメントであり、各社のロードマップを示唆する内容とも捉える事が出来ます。各社の様々なトレンド予測をまとめると、以下のように分類できそうです。
- 分析活用例
- ターゲティングメッセージ
- リアルタイム
- オンラインとオフラインの連携
- 消費者需要の指標作成
- 分析要素
- 人間に関するデータ
- 位置
- ソーシャル
- コンテクスト
- 分析作業
- 簡易ツール、自動化
- 従業員の誰もが分析
- データ分析ライフサイクルの短縮
- 分析基盤技術
- 分散技術、クラウド、オープンソース
- 簡易ツール、自動化
特に目を引くのは”人間に関するデータ”でしょうか。先日米グーグル社が体調管理を目的とするコンタクトレンズの開発を明らかにしていましたが、データ活用の幅は需要予測やターゲットメッセージング等といった枠を超えた広がりを見せており、新たな領域における展開事例が増えてきそうです。
( Minatsu Honma)
出所:Big Data In 2014: Top Technologies, Trends
本記事は、Minatsu Honma氏から寄稿頂き、ギックス名義で投稿しています。