この記事は GiXo アドベントカレンダー の 23 日目の記事です。
昨日は「キャンペーンを企画するとき、まず考えたい目的と手段の話」でした。
こんにちは。Design & Science Div.の遠藤です。
2日続けての登板です。
2日続けても苦にならないのは、カレーとおでんぐらいですね。アドベントカレンダーで2日連続なんて張り切りすぎたぜ、と音を上げながら書いてます。遠藤です。
昨日は
- 施策(キャンペーン)の企画において、目的と手段を明確にすることは大事だよね
- 上方向に動かして赤い四角を目指すのか、左方向に動かして青い四角を目指すのか、注力する方向を決めようね
というお話をさせていただきました。
さて、さっそく昨日の続きです。
解像度を上げてみよう
「既存顧客」で思考を止めてはいけません
赤い矢印の方向か、青い矢印の方向かどちらの方向に伸ばしていくのか決めたのであれば、さっそく次のステップに移ります。「赤い矢印の方向へ伸ばす施策を考えよう!既存顧客の、単価アップだ!!」となりがちですが、ちょっとお待ちください。実はこの図ではまだまだ”粗い”のです。実際のキャンペーンについて考えていくためには、もう少し解像度を上げる必要があります。
上の図では便宜上「既存顧客」という形でまるっとまとめてありますが、実態はもっと多様です。
例えば、施設への貢献度、つまり利用額の大中小で顧客を”群”に分けたとしましょう。利用額が高い順に上位20%をA、下位50%をC、残りをBのように区分します。Aは全体の20%を、Bは30%、Cは50%を占める顧客群となりますね。
Aの顧客群
利用額が高いAに当てはまる顧客は、きっと該当施設へ頻繁に来訪し、たくさんお買い物をしていただいている姿が想像できます。この施設でのお買い物が習慣になっていると言っても過言ではない方々かもしれません。普段から利用しているという関係性が構築されていると考えられるので、例えば施設で実施するキャンペーンやイベントには積極的に参加してくれるでしょうし、仮にポイントカードのような取り組みが既に実施されているのであれば、カードをお持ちいただき、お買い物時に活用いただいている可能性が高いでしょう。
Bの顧客群
次に、Aほどではないが、そこそこお買い物利用をしているBに当てはまる顧客について考えてみます。利用額がAより少ない顧客群と捉えた場合、Aと同じぐらいの頻度で来訪していたとしたら、Aに比べてお買い物の量が少なかったり、利用が限定的でしょう。もしくは、1回あたりのお買い物額はAと同じであっても頻度が少ないなど、習慣的な利用とは言い難いかもしれません。Aと比較すると、関係性の構築はまだ十分とは言えず、実施するキャンペーンやイベントへの参加はあまり積極的ではないかもしれません。
Cの顧客群
最後にCの顧客について考えてみましょう。利用額が最も少ないCの顧客群ですが、おそらく初回に訪れて再訪されていない人たちが多分に含まれていることが予想されます。利用自体が少ないことから、該当施設にどのような店舗が含まれているのか知られていないのではないでしょうか。関係性の構築はほとんどできておらず、仮にキャンペーンやイベントを実施したとしても、なかなか参加していただけなかったり、そもそも開催しているという情報を届けること自体がとても難しい顧客群かもしれません。
このように、一口に既存顧客と言っても、施設の利用状況によって関係性はマチマチなわけです。
その施策は誰に効果がバツグンか
それぞれの状況がマチマチなわけですから、ABCのどの既存顧客を狙うのかによっておのずと手段も変わってくると思いますし、そもそも目指すべき到達点も個別で考える必要があります。
Aの顧客をさらに伸ばして、もっともっと優良化させる方法もあれば、Bの顧客群の顧客満足度を現状のAの顧客群のレベルまで引き上げ、結果としてAの顧客群の基準に該当する人数を増やすことを目指すための方法もあります。もっとも人数の多いCの顧客群に対して施策を行うことで、より効果を上げる方法もありますね。
Aの顧客をさらに引き上げることに注力するのであれば、ある程度達成の難易度が高いようなキャンペーンや、参加するのにややメンドクサイようなイベントであっても参加いただける見込みがあります。多くのお店を買いまわってもらうキャンペーンや比較的高額なラインを設けた施策などは普段の利用と合わせてちょっと足を伸ばしたり、ちょっと手広くお買い物いただけるだけで達成できるので、挑戦し甲斐もあって良いかもしれませんね。
一方で、同じ施策をBやCの顧客群向けに実施してしまうとあまりのハードルの高さに、そもそも参加いただけなかったり(参加率の低下)、途中で諦めてしまう(離脱の増加)ことが予期されます。
ただし、Aの顧客をターゲットに実施しているため、参加を見込まれる人数がそもそもいないので、爆発的な参加者を期待するのはお門違いなわけです。
もし「とにかくたくさんの顧客に参加してもらい、ちょっとでも上に伸ばしたいんだ!」ということであれば、もっとも人数の多いCの顧客群に対して施策を打てばいいですし、「優良顧客(Aの顧客群)を増やしたいんだ!」ということであれば、Aの顧客群の予備軍であるBの顧客群をターゲットにしたうえで、Aの顧客群のような購買体験を促すような施策を実施した方が良いかと思います。
施策を考える際、誰に向けたものなのかを明確にし、狙った顧客群に効果バツグンなものを決定することが重要であると同時に、ターゲットではない顧客群の効果バツグンを狙わないことも大切です。(副次的効果、副産物であることを忘れないようにしましょう)
キャンペーンの鉄則「混ぜるな、危険」
対象となるターゲットを”もやっと”・”ぼやっと”捉えるのではなく、どんな利用をしている人(たち)に対して、どう変わって欲しいのか/何をしてほしいのかを描き、キャンペーンの企画に落とし込むことが大切ですし、どんな目的のキャンペーンや施策を実施するにも企画の段階でしっかり考え抜くことが割と効果的なキャンペーンを生み出すコツなんじゃないかなと思っています。
もちろん、考えることばかりに時間をとられてしまい、なかなか行動に移せないというのも勿体ないお話。実行してみて初めて分かることもあるかと思います。目的を明らかにし、ターゲットを明確に見据えたうえで、適切な手段を考える。スタートはおそらく仮説ベースでの取り組みになるかと思います。
考えて実行した先で出た結果が仮に悪かったとしても、考えたプロセスがあるのなら、どこの仮説がズレていたのかを振り返ることで少なくとも同じ轍を踏むことはないでしょう。これも立派な一つの成果です。やりっぱなし、打ちっぱなし、一過性で終わらせっぱなしにせず、絶えず考えて・実行して、を繰り返していくことに価値があると私は考えています。結果が出ない”失敗”と、結果を生かせない”失敗”を同じものと捉えず、取り組んでいく姿勢を(わたしも)忘れないようにしたいですね。
施策は打ち手、手段です。たくさんの取るべき選択肢がある中で、結果の出るものをひとつひとつ地道に手繰り寄せ、小さな成功体験を積み重ね、大きな成果に繋げていきましょう。
ご清聴ありがとうございました。
明日は「Technology Divisionの開発風景」を公開予定です。
Akane Endo
Data-Informed 事業本部 / Design & Science Div. 所属
DIコンサルティング事業とDIプロダクト事業の双方に関わりながら、広報・PR・マーケティング領域を担っています。新しい事業やプロダクトを生み出し、つくる人でありたいです。好きなおでんの具はたまごと大根。