この連載では「会社を強くする ビッグデータ活用入門 -基本知識から分析の実践まで-」で取り上げたビッグデータやアナリティクスの活用事例を抜粋し、ご紹介していきます。
書籍の中では大きく2つの場合で事例を区分しており、まずは4回に渡って「①他社活用」の場合のビッグデータやアナリティクスの活用事例をご紹介します。
①他社活用:他社や外部に向けた情報提供によるサービス提供にビッグデータを用いている事例 第1回〜第4回
②自社活用:自社の競争力強化にビッグデータを用いている事例 第5回〜第12回
商品データというビッグデータを共有し、効率化を実現
続いての事例は、同じように外部への情報提供でも、自社の「儲け話のメカニズム」に基づいて利用している例をいくつかご紹介したいと思います。
ウォルマートでは「取引メーカーとの専用ネットワークに商品データ(販売・在庫の動き、数量)を登録し公開」し、「取引メーカーに納品や在庫量管理の責任を課す」ことで効率化を行っています。これは外部への情報提供でありながら、実は自社の在庫管理のケイパビリティを強化していることに他なりません。ウォルマートは大量の商品と大量の顧客を抱えるために、商品の仕入れ判断や在庫量の判断が彼らの収益に直結します。そのように考えると、「儲け話のメカニズム」の「キードライバー」になりうる領域にビッグデータを活用しているとも考えられます。
小売りとメーカーで在庫削減や欠品防止のために協力しあう取り組みは10年も前から存在しておりました。Collaborative Planning Forecasting and Replenishment(CPFR)と言われており、「共同(Collaborative)で、計画(Planning)や予測(Forecasting)をして、在庫を補充(Replenishment)する」取り組みになります。
ウォルマートのように大量のデータを保有している場合、分析を実施するための仕組みやツールなどを提供し、メーカー側に最適な商品の選定やその在庫量を分析してもらい、お互いにWin-Winになるために強力を謀って行く事もできるのでしょう。
次回に続く。
ビッグデータに関してより詳細にお知りになりたい場合はこちらを
会社を強くする ビッグデータ活用入門 基本知識から分析の実践まで
連載:ビッグデータ活用入門のエッセンスをご紹介 エントリー一覧
- ビッグデータ活用のケイパビリティ
- データサイエンティストのスキル
- データアーティストのスキル
- 企業を取り巻くさまざまなデータ
- ビッグデータとは
- ギックスの考えるビッグデータとは
- 競争力強化にビッグデータを織り込む
- 大きなPDS/小さなPD(CA)∞サイクルを回す
- ビッグデータ活用が普及するわけ
- ビッグデータ活用事例(1/12)流行予測
- ビッグデータ活用事例(2/12)価格予測
- ビッグデータ活用事例(3/12)情報共有による効率化 ※本記事※
- ビッグデータ活用事例(4/12)商品開発
- ビッグデータ活用事例(5/12)経営管理領域
- ビッグデータ活用事例(6/12)インフラストラクチャ領域
- ビッグデータ活用事例(7/12)R&D領域
- ビッグデータ活用事例(8/12)製造・物流領域
- ビッグデータ活用事例(9/12)マーケティング・販売領域(認知系)
- ビッグデータ活用事例(10/12)マーケティング・販売領域(初回購買系)
- ビッグデータ活用事例(11/12)マーケティング・販売領域(再購買系)
- ビッグデータ活用事例(12/12)アフターサービス