ビッグデータアナリティクス時代の日本企業の挑戦
「読み較べビッグデータ」として取り上げてきた10冊のうち最後の一冊「ビッグデータアナリティクス時代の日本企業の挑戦」を紹介します。
ビッグデータ・アナリティクス時代の日本企業の挑戦 「4+1の力」で価値を生み出す知と実践
全体の構成
- ビッグデータとは何か
ビッグデータを形成する3つのV(Volume:データ量、Variety:多様性、Velocity:更新頻度)を説明し、ビッグデータを生み出す力を、「クラウド」、「モバイル」、「ソーシャルメディア」、「インフォメーション(データ群)」の4つに加えて、5つ目の「モノのインターネット(センサーデータ)」を「4+1」として説明しています。 - 米国と日本企業のアナリティクス活用事例
前述の「4+1」の力をビジネスに活かし新たな価値を創造した企業の事例を紹介しています。日本企業の事例では、アナリティクス導入に携わった関係者へのインタビューも掲載されています。 - アナリティクスを活用する為に必要な組織
アナリティクスを有効活用するためのステップとそれを実現する為に必要な組織、技術、情報基盤が説明されています。 - 今後の動向
グーグルグラス等を例に取りながら、今後取得可能になる情報やそれに応じて生まれる新しい市場について解説しています。
この本の独自性
構成3「アナリティクスを活用する為に必要な組織」の部分に注力されているのが、この本の独自性です。
第4回「最強のビッグデータ戦略」や第5回「分析力を武器とする企業」でも組織の在り方等は語られていました。これらの本と共通しているのは「PDCAを回しながらアナリティクスの有用性を社内に周知すること」ですが、この本ではアナリティクスを活用し成し遂げたい「ビジョン」を明確化することの重要性や社内文化を意識した内容が盛り込まれています
感想
情熱が込められたとても熱い一冊です。
冒頭で最もこの本を読んで欲しいのは「世の中の変化を感じ、社内に新しい風を呼び込みたいと考えている異端児」だと述べています。
それを意識して読むと、ただのビックデータ本ではなく、企業に変革を起こすための手引書としての側面も感じることができる一冊でした。