本記事は、株式会社ギックスの運営していた分析情報サイト graffe/グラーフ より移設されました(2019/7/1)
計算済みの数値を保有するか、計算フィールドで加工するか
本連載では、複数回に渡って計算フィールドの機能および使用方法についてご紹介致しました。同機能は筆者も頻繁に使用しており、Tableauでレポートを作成するにあたってなくてはならない機能となっています。しかしながら、計算フィールドを用いて各種の集計を行うことは、すなわちデータソースから取り込んだデータを集計しなおすということです。これにより、想定していなかった計算結果を導いてしまうなど取り扱いに注意が必要であることもまた事実です。本稿では、筆者が計算フィールドを用いるうえでどういった点に注意が必要と感じたか、またどのような点に価値を感じたかをご紹介致します。
計算フィールドを用いるうえでの注意点
本連載でご紹介致しましたように、Tableauでは計算フィールドをはじめとした機能を利用することでデータの柔軟な加工を行うことができます。ここにTableauの大きな魅力があるわけですが、計算フィールドを用いた集計は、データソースで計算済みの数値を保有することで代替が可能です。そうすることで、Tableauでの計算ミス(条件の記述やフィルター設定の間違い)を防ぐには有用でしょう。
また、複数人でレポートを作成する場合には関係者間で情報の共有を行う必要がありますが、計算フィールドでどのような計算が行われているのかを知るためには中身を一つひとつ確認しなければなりません。複雑な計算式が構築されていた場合には、あるメンバーが計算内容をしっかり理解しないまま使用して誤った分析を行ってしまう、といった恐れもあります。
データを柔軟に加工できるという価値
一方、Tableauで計算を行えば、自由に数式を変更が可能なために柔軟な分析が可能になります。3つに分けていたグループを更に細かく条件の設定をして5つに分割したいといった場合にも、計算フィールドなら計算式の値を書き換えるだけで簡単に処理を行えます。これらの変更をデータソースの段階で行う場合は、非常に手間がかかります。場合によってはテーブルの値を変更するだけでなく、新たにテーブルを作成しなければならないかもしれません。
このようにどちらも一長一短であり、どちらが優れた方策であるかは状況によっても異なるため一概にはいえません。但し、柔軟な分析を行うことが必要である状況であれば、Tableau上で計算を行うことで得られるメリットは大きいでしょう。計算の条件を簡単に変えられることで、実際に数値を確認しながらあれこれ試すことができますので、分析担当者が一人で手軽にデータを加工し分析を行うことが可能になるためです。この「分析担当者が一人で手軽にデータを加工し分析を行う」環境を構築できることには大きな価値があるのではないでしょうか。
連載:Tableau 計算フィールドの使い方
- メジャーを作成する
- ディメンションを作成する
- フィルターを作成する
- 計算フィールドを使用することの注意点と価値 (本稿)