本記事は、株式会社ギックスの運営していた分析情報サイト graffe/グラーフ より移設されました(2019/7/1)
消費者の購買行動の研究は古い
iBeaconが出てきて、俄かに活気付いてきている人流分析の世界ですが、実は消費者の購買行動の研究は古くから存在します。
購買行動把握の歴史は(意外と)長い
店舗内での顧客の購買行動を把握した歴史での古い例として、直接来店客にヒアリングするという調査手法で1935年にDuPont社が行った消費者購買習慣研究が、また実際に来店客を追いかけ(悪く言えばストーキングし)購買動線を把握するという調査手法で1966年にFarley and Ringが行った顧客動線分析などがあり、人流分析の歴史は意外と長いことが分かっています。(あくまで、現時点で弊社が調べた限りですので、より古い例があると思いますが)
購買行動を追いかけるデバイスの進化
では、時代が移り変わるにつれ何が変わってきたのかと言えば、御存じの通りテクノロジーの進化が挙げられます。1950年代頃から行われていた特定の消費者を追いかける調査でのデータ取得は、調査員が実際に消費者の後を付け、観察、記録していく手法でした。
その後、ビデオカメラの低価格化と画像解析技術の進化に伴い、カメラ画像による人流調査手法が登場しました。画角範囲に映り込んだ人を認識し、その人が通過するごとにカウントする方法です。しかし、この方法ではカメラ画角範囲しか計測ができないことと、消費者の個を追いかけた人流動線を把握するには不向きでした。
その後、個を追いかけた人流動線を把握する方法としてRFIDなどが登場しましたが、専用のデバイスが必要で、消費者の動線を把握するには若干のハードルがある(デバイスを配らなければならない)ものでした。2010年代になり登場したiBeaconはそれまでのスマートフォンの普及の成果もあり、言ってしまえば消費者の大多数の行動をデバイス配布の手間なく追えるようになる画期的なデバイスと言えるでしょう。
デバイスの進化=サンプルデータからの脱却
最も古くからある調査員調査が、特定の消費者の最も多くの情報を入手することが出来るという点は忘れてはいけません。どこに行ったかだけでなく、性別・年代に加え、何を買ったのか、どんな会話をしていたのか、どこで悩んだのか、商品を手に取ったのかどうか、服装は、、など情報の質という意味では、調査員調査に匹敵するものはないと断言してもいいでしょう。
では、デバイスが進化して何が変わったのかというと、調査員調査では限界がある調査サンプル量の壁を越え、多くのサンプル(場合によっては全消費者)の情報を低コストで手に入れられるようになったということでしょう。
カメラやスマートフォンが自動でデータを取得してくれるわけですので、休みなくデータを取得してもらえますし、機器を増やせばサンプル数も膨大になります。また、カメラの場合は導入コストがかかりますが、長い期間取得することを考えれば、人件費に比べ安いものです。iBeaconでは、デバイスは個々人が保有しているスマートフォンであり、スマートフォンを持っており、アプリをインストールしている人の行動を四六時中追いかけることができます。(つづく)
【連載記事:iBeacon指南書】
第1回:iBeacon(アイ・ビーコン)データを経営に活用せよ!
第2回:人の流れのデータ取得の歴史とデバイスの進化 (本稿)
第3回:iBeaconを人流データ取得デバイスとして使う為に乗り越えるべき壁
第4回:iBeaconの最大の強み「安い」ことを活用する
第5回:大切なのは“精度検証”と“Beacon間の計測差”を整えること
第6回:一口に人流といっても大きく3種類。それぞれ目的に合わせて取得しよう
第7回:結局、大事なのは「人流分析して何をしたいのか?」という問い
第8回:するべきなのは「人流分析」なのか?
第9回:日米での人流解析の違いが面白い
第10回:gridならヒートマップもアナリティクスも提供!