本記事は、株式会社ギックスの運営していた分析情報サイト graffe/グラーフ より移設されました(2019/7/1)
目次
ブースト施策で流入したユーザは分析対象から除外するべき
本記事では、ソーシャルゲームを分析する際に考慮しなければならない外的要因の1つである「ブースト施策」の分析への影響を解説します。過去の記事において『アクティブユーザ数は外的要因でぶれることが多い』と書きましたが、今回解説する「ブースト施策」はその外的要因の1つになります。
アプリストアのランキングはアプリのダウンロード数によって決まる
AppStoreやGoogle Playといったアプリストアのランキングはアプリのダウンロード数によって決まっています。当然、ランキングが上位のアプリは、面白いアプリを探しているユーザの目に触れやすい場所にあることになります。また、ランキングの上位にあるアプリや5つ星評価の高いアプリは「たくさんの人がプレイしているということは面白いのだろう」「5つ星評価が高いのだから面白いのだろう」という印象を人に与えるでしょう。
ブースト施策とはアプリストアのランキングを吊り上げる施策
ランキングがダウンロード数によって決定していることを逆手にとって、ダウンロード数を水増しさせる施策がブースト施策です。あるアプリをダウンロードさせることにご褒美(例:Amazonポイントや別のアプリの有償コインなど)をつけることで、多くのユーザにダウンロードしてもらい、一時的にダウンロード数を水増し、ランキングを吊り上げます。このご褒美のことを「リワード」と呼んでいます。なお、リワードにかかる費用はアプリの配信元会社が負担することになります。
現時点のアプリストアのランキングは、ブースト施策によって操作されているランキングである可能性が高いです。
ブースト施策で流入したユーザの把握には、他社のデータが必要
ブースト施策によってゲームに流入したユーザの目的は『リワードを獲得すること』ですので、アプリをインストールして1回だけ起動した後はプレイしないユーザが大半です。そのため、ブースト施策を実施した際には、アクティブユーザ数などが跳ね上がり、PURなどが暴落するなどといった基本指標への影響が非常に大きいです。
これらの基本指標の集計時には、ブースト施策で流入したユーザは除外するべきです。しかし、ブースト施策の結果データは広告代理店側のシステムにあることが多く、これを除外するためには、広告代理店からブースト施策で流入したユーザのゲーム内IDの一覧データなどを受領し、自社のゲームログの集計基盤にインポートする必要があります。他社のデータを自社の環境にインポートする仕組みを構築する必要があるためハードルが高いですが、チャンレンジしてみる価値はあります。
そもそもブースト施策は必要なのだろうか?
『面白いゲームを求めてランキングを閲覧しているユーザは、ゲームへの熱量が高いため離脱しにくいユーザであるはずだ』という仮説に従って、ブースト施策に広告費を投じている会社が多く見受けられます。ブースト施策の結果データを自社のゲームログの集計基盤にインポートする仕組みを構築し、仮説を検証し、ブースト施策の妥当性を分析することができれば、会社にとって重要な知見になるはずです。
次回は、ブースト施策と同様に重要な「リセットマラソン(リセマラ)の影響」について触れたいと思います。