本記事は、株式会社ギックスの運営していた分析情報サイト graffe/グラーフ より移設されました(2019/7/1)
ショートメッセージ(SMS)やSNSでは迷惑メールが少ないですよね?
みなさんがお仕事やプライベートでEメールを利用する時に嫌なのが「迷惑メール」ですよね。インターネット上に流れているメールの実に80%以上が迷惑メールに分類されるといわれています(※)。データ分析の対象として「Eメール」のデータ(もしくは送受信ログ)を扱っている方も、作業の最初のステップとして「迷惑メールの排除」を行っていらっしゃることが多いと思います。
ここで、みなさんこんな疑問を持たれたことはありませんか?
- なぜ迷惑メールはいつもEメールで送られてくるんだろう?
- メールにはショートメッセージ(SMS)もあるし最近はツイッターやLINEをよく使っているけど、これらを使っていても迷惑メッセージが飛んでくることはほとんどない。
今日はITの基礎知識としてこの理由を説明します。
※…出展:ネットセキュリティソリューション企業「barracuda」サイトより
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理由はコストパフォーマンス
「Eメールには送信コストがかからない」これが具体的な理由です※。ショートメッセージ(SMS)は1通につきに数円程度の送信料金がかかります。迷惑メール業者は日々大量のメールを送信し続けています。過去には2ヶ月間で50億通以上のメールを送信したとして警察に摘発された業者もいるほどです。ここでもし、1通のメッセージ送信に5円かかったとしたら250億円の費用がかかります。これでは彼らの費用対効果が悪すぎます。ちなみにツイッターなどのSNSは迷惑メールを送ることができません。これはSNSの運営者が「全てのメッセージを完全に管理している」為に「運営者が認証した団体」だけが「不特定多数のユーザに対してメッセージを送信できる」という制限を行っているからです。迷惑メールのような「悪意のある送信者」もしくは「信用できない送信者」からの不特定多数に対するメッセージの送信はSNSの運営者が排除しているのです。
※…例えばみなさんがgmailのアカウントを持ってたとします。ここで、もしみなさんがプログラムを作成する事ができたなら、そのgmailアカウントを送信元としたEメールをプログラムから自動的に送信する事が可能なのです。その際に「1通送信につきいくら」という送信料金はかかりません。
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技術的なポイント「”世界”を管理する者が存在するか否か?」
上記のEメール・ショートメッセージ(SMS)・SNSの違いを技術面から説明すると「そのメッセージが流れる”世界”を管理する者が存在するか否か?」という説明ができます。ここで申し上げる「世界」とは「通信の流れ」だと思ってください。
ショートメッセージ(SMS)は世界中の各携帯電話会社(docomo,KDDI,SoftBankなど)が各々管理を行って且つそれらが相互に連携することによって世界全体が管理されています。この管理によって1通数円の課金も可能になっていますし、また迷惑SMSの排除もEメールより容易になっています。ツイッターなどのSNSは上記でも申し上げました通り、SNSの運営会社が「SNSとしての世界」を1元的に管理しています。
これに対してEメールは「世界を管理する者」がいないのです。例えばgmailが管理しているのは「~@gmail.com」に関する世界(通信)だけであり、彼らは「~@yahoo.com」と「~@docomo.ne.jp」の間の世界(通信)を管理することはできません。これはインターネットが生まれた背景として「1元的な管理者を持つと、その管理者がなんらかのトラブルに陥った時に世界(通信)がうまくいかなくなってしまう。だから1元的な管理者を持たなくても世界(通信)が継続できるようにしよう」という思想があるのですが、Eメールはこの思想に則ってメッセージを送受信するサービスであるからなのです。
いつも迷惑に思う「迷惑メール」ですが、通信やデータの側面から見てみると、そういったモノにもやはりそれなりの理由があるのですね。