本記事は、株式会社ギックスの運営していた分析情報サイト graffe/グラーフ より移設されました(2019/7/1)
データ活用のアイデアを得るためには、「課題認識」と「モチベーション」が重要
本連載では、日経BP社より出版された「トップデータサイエンティストが教えるデータ活用実践教室」を、勝手に読み解いていきます。
今回は、アクセンチュア工藤卓哉氏による第5章「分析官の決断」を取り上げます。
アイデアは「ハッカソン」で見つけよ
本章では、3つのメッセージが発されています。
- ノイズの少ないデータを使う。特に、センサーデータはノイズが混入しづらくて良い。
- オープンデータを活用する。日本の官公庁のデータ提供が、米国並みに進めば、より活用の幅が広がるはず。
- データ活用のアイデアは、ハッカソンで見つけるのが良い。
このうち、1つめは、第2章でもでてきたお話です。また、2つめは、第1章の外部データ活用と重なるでしょう。
ですので、ここでは3つめの「ハッカソンでアイデア発見」に関して考察してみたいと思います。
ハッカソンをやればよい「わけではない」
工藤氏は、ハッカソンについて以下のように述べています。
ハッカソンは一定の期間内でプログラミングの技能やアイデアを競うコンテストのことである。
アイデアも市民や消費者の目線を利用すべき段階に来ているのだ。ハッカソンのような場所で花開く斬新な発想こそ、オープンデータ普及の起爆剤になると私は思っている。
勘違いしてはいけないのは、ハッカソンをやればすべてが解決する、ということではないということです。必要なのは「ハッカソンをやったという実績」ではなく「ハッカソンによって得られた斬新な発想」です。
斬新な発想を得るためには、「分析することが可能な一連のデータ」「解決すべき課題領域の共通認識」「解決しようというモチベーション」の3つがそろっている必要があります。ハッカソンでは、自由度を増すために、課題領域を広くとったりもします。しかし、本来的には、この3つの条件を揃えた方が良いです。
社内の知見でも良いじゃないか
さて、その観点で考えた場合、「市民や消費者の目線を利用」するハッカソンに対して、「市民や消費者」ではなく「内部の人間の目線」を活用することも一つの解であるはずです。つまり、「社内ハッカソン」です。(より正確にいえば、アイデアソンかもしれませんが)
社内には、いろいろな知見が蓄積されています。(第1章で述べられた「感覚データ」ですね)これを活用しない手はありません。
しかしながら、そのためには大きな壁があります。「分析することが可能な一連のデータ」です。この壁があまりに高すぎるので、皆、しり込みしてしまうわけですが、反対に、これさえ越えてしまえば、ハッカソンよりも「強固な課題共通認識」「解決のモチベーション」が得られるはずですので、この”社内データの整備”という壁を、クイックに越えることが重要だと言えるでしょう。
例えば、graffe.jpの提供するレポートサービスは、社内データをクイックにレポーティングする仕組みです。あるいは、自社で仕組みを構築するのならば、エクセルの拡張版というべきMicrosoft PowerBIなども検討対象になると思います。これらのサービス、ソフトウェア、ソリューションをうまく活用することで、「社内の知見」と「データ」を組み合わせて、ぜひ”斬新な発想”を得ていただければと思います。
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