本記事は、株式会社ギックスの運営していた分析情報サイト graffe/グラーフ より移設されました(2019/7/1)
大切なのは「分析結果」ではなく「ビジネス上の成果」
本連載では、日経BP社より出版された「トップデータサイエンティストが教えるデータ活用実践教室」を、勝手に読み解いていきます。
今回は、大阪ガス河本薫・オージス総研吉田孝光 両氏による第3章「会社を動かすデータ分析戦略」を取り上げます。
データ分析は、ビジネスに活用することが目的であるべき
本章では、ビジネス活用を前提に考えるべきである、と語られます。特徴的な箇所を、いくつか引用します。
「データ分析をする」ことと「データ分析でビジネスに貢献する」ことは、仕事のやり方もそれに求められる能力も違います。
具体的には、そのデータ分析が目指すべきゴールを具体化します。そのデータ分析によって何を成し遂げれば、成功と見なせるか。これをしっかり考える。
まずは事業戦略に立ち返って分析課題の棚卸しをしていきます。しかし、実際には、事業単位での戦略が明確ではない場合や部分最適な戦略に陥っている場合が多いです。データ分析とは、事業戦略を実現するための手段ですから、事業戦略が明確でなければ始まりません。
データ分析のゴールは、「期待通りの分析結果を得ること」ではなく、「ビジネスイノベーションを起こすこと」だからです。データ分析は、「ビジネスイノベーションの種」に過ぎません。
このように「分析そのもの」ではなく「ビジネスへの活用」をゴールと定めよ、ということです。これは、graffe.jpの考える「意思決定につながる分析レポート」と、非常に近い思想です。
「分析課題(=イシュー)」を見出せ
また、本章の中ででてくる「分析課題」は、前回解説した第2章ででてきたヤフー安宅氏のいうところの「イシュー」という概念と非常に近いです。
ビジネスと分析をどのようにつなぐか、というのは、非常に難しい課題です。いわゆる”コンサルタント”を多く抱える企業においても、”データが分かる人”と”ビジネスが分かる人”が完全に分断されてしまっているケースが散見されますし、その間に「橋を架ける」ことに苦労しているなと感じます。
アウトプットではなく、アウトカムを求める
ビジネスにデータ分析を活用する、という視点で考えた際に、重要なのは「アウトプットではなく、アウトカムを求めよ」ということではないでしょうか。(関連記事:OUTPUTとOUTCOME)
アウトプット、すなわち、分析の結果を見て、良い分析ができたなーと悦に入っていても仕方ありません。アウトカム、すなわち、分析結果をビジネスに適用して得られた成果に対して評価すべきです。つまり、データ分析においては、いついかなるシチュエーションであろうとも、常に「ビジネスの視点を持つ」「ビジネス活用がゴール」ということを肝に銘じて取り組むべきだ、ということです。
この考え方には非常に同意できます。まったく同じ考え方を、graffe.jpでは”意思決定に活かす”と表現しています。graffeの提供する分析レポートは、ビジネスにおいて何らかの意思決定すること(=分析課題/イシューを解決すること)を前提に設計されています。もちろん、分析レポートに答えが書いてあるわけではありません。しかし、分析レポートを見ることで”答えにたどり着くためのヒント”が見えてくるはずです。
分析のための分析に興じるのではなく、成果を求め、答えるべき問いを設定して、分析に取り組んでいきましょう。
トップデータサイエンティストが教える データ活用実践教室