人流分析(People-Flow Analysis / People-Counting Analysis)とは|データ分析用語を解説

AUTHOR :   ギックス

本記事は、株式会社ギックスの運営していた分析情報サイト graffe/グラーフ より移設されました(2019/7/1)

リアルチャネルを「web」のように分析するための秘策

本日は「人流分析(じんりゅうぶんせき)」について解説します。

人の流れ(People-Flow)を把握する

人流、とは、読んで字の如し。「人の流れ」のことです。
人がA地点からB地点へ移動する際のルートのことを「導線」と言います。人流は、この「導線」と非常に似ている概念ですが、人流と言うときには、もう少し「人の集合体(カタマリ)としての動き」を意識しているように思います。
小売店の場合であれば、【お客様X】が店舗に入ってきてからレジに向かうまでの「導線」と、【お客様Y】の「導線」と、【お客様Z】の「導線」を全て組み合わせて、【お客様(X,Y,Zの集合概念)】はどのように動いていたのか、と考えるのが人流分析と言えるでしょう。

人流が分かると、何が嬉しいのか

では、人流分析を行うと、何が「嬉しい」のでしょうか。「嬉しさ」のタイプ別にみてみましょう。

人の流れが「分かるだけで嬉しい」領域

まずは、人の流れ・動きが分かること自体に意味がある領域です。

  • レジや、ホテルの受付、レストランのバイキングなどの「混雑状況」「滞留状況」
  • 美術館、博物館、水族館などの「人の流れ」「展示品別の滞留時間」
  • テーマパーク、公園などの「エリア別の人の多さ」「人の流れ」

これらは、「人の動きそのもの」に意味があります。特に、ひとつめの例は「目的達成のための手段としての滞在・動き」ですので、”長い・多いと顧客満足度低下に直結する”という分かりやすい指標になります。

人の流れが「因果の”因”」になる領域

あるいは、人の流れ・動きが「因果の”因”」つまり、「ある事象の原因」になる領域もあります。

  • スーパーなどの店内回遊状況が、顧客の購買の”原因”となる
  • 商店街やショッピングモールの通行量が、各店舗・テナントの入店者数の”原因”となる
  • 喫煙室の滞留時間が、労働生産性低下(もしくは向上)の”原因”となる

これらは、因果の”果”であるもの、例えばPOSデータなどと組み合わせて分析することで、より深い示唆を得られます。

人の流れが「因果の”果”」になる領域

その反対に、人の流れ・動きが「因果の”果”」となる領域もあります。

  • 天候によって、来店客数が変化する
  • 広告やチラシなどによって、来店客数が変化する
  • 店内POPなどのインストアプロモーションによって、店内の回遊ルートや滞留時間が変化する

これは、因果の”因”であるもの、例えばインストアプロモーションの実施記録などと組み合わせることが重要です。

仮説立案・検証には「因果」の視点を

このうち、「仮説立案」や「仮説検証」に役立つのは、「因果」にまつわる2領域の分析です。
これまで、リアル店舗を持つ小売業者やサービス事業者においては、顧客の行動分析は非常に難しかったのが実態です。ビジネスとしては後発の「webチャネル」での販売事業の方が、購買に至る前も含めた「行動分析」ができています。
人流分析は、この「webでは当たり前」の行動分析を、リアルの世界に展開できる可能性を秘めているのです。
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