伝えたいことをクリアにすれば、なんとかなる
本日は、単語力の呪いから脱却して「伝わる英語」を目指そう!というコンセプトの書籍「ずるいえいご」をご紹介します。
英語から逃げまくる人生
我々、日本人は、英語から逃げまくって生きています。英語プレゼン、なにそれ? TOEIC、くえんの? 海外旅行・・・は行きたいです・・・。はわい・・・ハワイに行きたい・・・。でも、まちなかで外国の方をみれば、ちょっと腰が引ける。道なんか訊かれた日には「おぅふっ」ってなりつつ、「うぇ、うぇいだみにっつ」と言って颯爽と取り出したiPhoneでGoogle Mapを開いて「うぃーあーひあー」「でぃすうぇい」「いえす。てんみにっつうぉーく」「ばいばい」で逃げ切るのが精いっぱい。
そんな自分に嫌気がさして、日本人の多くは、奮闘努力の日々を過ごしています。例えば、弊社ギックスでは、英語力改善を志して、全社員でスマホアプリ「きこえ~ご」を使った学習プログラムに(福利厚生の皮をかぶった強制業務命令として)参加しています。
しかし、なかなか「自信をもって英語で話せる」という世界には至りません。(きこえ~ごは、リスニング力の強化に直結しており、そこから間接的にスピーキング能力が向上する、というステップを踏みますので、少々時間がかかる、という側面があります。)
しかし、本書は、少々異なるアプローチをとっています。
戦略とは捨てること
本書では、ややこしい単語は捨てろ、と言われます。というか、「知ってる単語だけで話せ」という表現の方が適切でしょうか。
具体例を上げましょう。「時間に正確」は「パンクチュアル」という単語を知っていれば一発で表現できます。しかし、いざ会話をしよう!という時に、この単語を思い出そうと努力してしまっていませんか?あるいは、辞書を調べてしまってはいませんか?
その間、その場に流れる沈黙こそが、英会話では禁物です。間違いなく、会話相手は「ん?」ってなります。
彼らがやりたいのは、コミュニケーションであり、正確な英単語を使うことではありません。
この状況を打破するために、本書が提唱しているのは「知っている単語で、うまいこと伝えましょうよ。」です。
シーンを具体的に
本書の提唱する英語コミュニケーション術の最大のポイントは、「まず、日本語で、具体的に表現(イメージ)する」ということです。
具体的な手法は、本書をご購入いただくべきと思いますが、要するに
- 抽象度の高い表現をしたいときには、「それって、具体的にはどういう状況?」と考える
- 何か伝えたい物事がある場合には、「それって、具体的なディテールを列挙するとどうなる?」と考える
というようなことです。
先ほどの「パンクチュアル」で考えてみましょう。He is punctual. を、具体的な状況に落とし込むと
- 彼は絶対に遅れない ⇒ He is never late.
- 彼は、いつも時間ピッタリに来る ⇒ He always arrives on time.
というような表現になります。これなら「中学校で学んだ英語」でいけるでしょ?というわけです。
本書内では、「娘に甘い」「妻に頭が上がらない」「右往左往する」などの例が挙げられます。
いやー、めっちゃ分かりやすい。
「正確な単語で100%バチッと伝えに行く」よりも、「単語的には7-8割伝わる情報量で、コミュニケーションの中で100%を目指す」というアプローチです。
目的は「伝えること」
本書で語られるテクニックは非常に有用ですが、テクニック以前に考えるべきことがあります。
それは「何を伝えたいかを明らかにせよ」ということです。伝えたいことが明確になれば、「伝え方」はいろいろと選択できます。
関連記事「『短くて伝わらない』よりは、『長いけど伝わる』方が良い」でも述べましたが、多くの人は「シンプルに格好良く伝える」ということにあこがれを抱きがちです。もちろん、それが理想であることには、疑いの余地はありません。しかしながら、そんなテクニックをそんなに簡単に身に着けることができないのも、また真実です。(関連記事:サマライズとは「クリスタライズ」すること)
母語である日本語であったとしても、物事を端的に伝えることが非常に難しいわけですから、それを外国語である英語でやろうなんて、おこがましいにもほどがある、と思うわけです。(だからこそ、それができる人は素晴らしい能力だと誇って良いと思います。)
僕のような英語初級者は、端的に格好良く伝えることを一旦諦めて、伝えることに注力する、のが正解だと思うわけです。
本書に書かれた内容を、日々、通学・通勤の電車の中で、目に映るすべての物事に対して実践していけば、きっと「ずるい!」と”褒められる”英語使いになれることでしょう。れっつびぎん!ゆーきゃんどぅーいっと!です。がんばりましょう。