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30周年の節目を前に立ち返る「ミオらしさ」 天王寺ミオ 販売促進グループの最初の一手

AUTHOR :   ギックス

JR西日本SC開発株式会社が運営する大型ショッピングセンター「天王寺ミオ」は2025年に迎える30周年という節目に向けて、新たな価値の創造に挑んでいます。2023年8月よりギックスグループに参画したブランディング/クリエイティブデザイン事業を行うギディアでは、「天王寺ミオ」30周年に向けたプロジェクトに伴走し、クリエイティブディレクションから企画・実施まで一気通貫した支援を行っています。

JR西日本SC開発にて天王寺ミオ30周年のプロモーションを牽引している、天王寺ミオ事業本部 営業部 販売促進グループ サブリーダー 河口心氏と、天王寺ミオ事業本部 営業部 販売促進グループ サブリーダー 兼 カンパニー統括本部 事業戦略室 サブリーダー 山本亜耶氏に、これまでの取り組み、今後の展望について、ギディア Creative&Branding Directorの石山瑶留が聞きました。

30周年の節目が、点になっていた施策を見直す契機に

河口 JR天王寺駅に直結した大型ショッピングセンター「天王寺ミオ」は、2025年9月に30周年を迎えます。私たちの所属する販売促進グループは、天王寺ミオの販促全般を担当する部署で、館の集客をするための発信が大きな役割です。

JR西日本SC開発株式会社
天王寺ミオ事業本部
営業部 販売促進グループ サブリーダー
河口心

大阪公立大学(旧 大阪府立大学)卒業後、天王寺SC開発㈱(現JR西日本SC開発㈱)に入社。
天王寺ミオ、及び出向先の梅田エストでの営業担当を経て、販売促進グループで主にプロモーション全般を担当。

山本 私たちがオープン当初から大切にしているのは「ミオらしさ」です。時代の変化により、お客様の趣味嗜好も変わってきますので、求められているものに合わせてお店の入れ替えなども行われています。当初はファッション中心でしたが、今ではモノ消費からコト消費への変化に合わせて飲食店など幅広いジャンルのお店も増えています。

これまで、前年踏襲型の販促施策を行ってきましたが、天王寺ミオがこれだけ変わっていることを知らないお客様もまだまだ多いのではないかと思い、私たちがしっかりと伝える役割を果たしていかなければいけないと考えていました。

河口 これまでポイントアップやシーズンプロモーションなど、一つ一つの施策に対して、‟ミオのお客様が喜ぶことは何か”を考えて実施していたものの、各施策にばらつきがあると感じていました。点になってしまっている施策をつなげて線にすることで、より天王寺ミオを引っ張っていけるような発信をしていきたいと考えていたのですが、30周年という節目が見えてきたことが、課題の解決に向けて動き出す大きなきっかけとなりました。

部内でこのような話をしていたところ、弊社の石神から「ギディアさんという会社と、1度話をしてみないか」と言われて、お声がけさせていただいたのが2月頃でしたね。

石山 石神さんとはまだ1度しかお会いしたことがなかったので、びっくりしていました。その後、私たちがお手伝いしたPOPUPストアに足を運んでくださり「なんで私だったのですか?」と聞いたところ、「勘です」とおっしゃってて(笑)

先日の対談記事を見たら、世界観の作り込みを褒めてくださっていて、本当は勘ではなく、いろいろと感じていただけたんだなと安心しました。世界観を作るというのが、今回の天王寺ミオでの深い意味でのミッションだったんですよね。

  • ギックスグループのギディアが、LVMH Watch & Jewelryグループ フレッドの「FRED “HAPPY BLUE SHADES” POP-UP SHOP」にてスペースデジタルインスタレーションの制作を担当(2023/11/8)https://www.gixo.jp/news-press/23156/
  • WESPO、WESTERポイント…JR西日本の「ポイント」をめぐる8年物語 対談:JR西日本SC開発 石神孝浩氏 ギックスCOO 花谷慎太郎(2024/9/20)https://www.gixo.jp/blog/25395/

山本 ギディアさん以外の会社さんにもご提案をいただいたのですが、私たちが一番成し遂げたいことをきちんと言語化して説明してくださり、「私たちだったらできます!」と言ってくださったのが決め手でした。

JR西日本SC開発株式会社
天王寺ミオ事業本部
営業部 販売促進グループ サブリーダー
兼 カンパニー統括本部 事業戦略室 サブリーダー
山本亜耶

2014年天王寺SC開発㈱(現JR西日本SC開発㈱)に入社。
経営企画部に所属後、サービス推進グループでの実務経験を経て、現在は販売促進グループ主に会員施策とプロモーション全般を担当。

河口 これまではクリエイティブに対して、なぜこれが良くないか、どの部分をどう改善したらいいのかを言語化できず、何となく違うなと思いながらも、それ以上先に行けないという状態で。

ギディアさんの提案では、‟戦略とは何か”がわかりやすく1枚の絵に書かれていて、ブランディングの基礎をわかりやすく伝えていただいて。私たちがモヤモヤしていた部分を明確に説明してくださり、「そうそう!それです!」って感じで(笑)課題解決において、課題をしっかり共有できるというのは一番大事なことだと思いますので、ほとんど悩むことなく、ギディアさん一択でした。

石山 ありがとうございます。デザインを追求していくと、経営戦略、事業戦略と紐づいてくる部分がでてくると私は感じています。デザインと経営は密接な関係にあるので、経営が何を成し遂げたいのか、事業として何を目指すのか。そういう部分をしっかりと理解して、クリエイティブというアウトプットに落とし込んでいく部分が重要だと思って取り組んでいます。

今回、ご一緒させていただく中では、天王寺ミオさんの目指すところを理解するところから始めて、それに紐づけながらストーリーを作り上げることができたので、私としても非常に刺激的で楽しくご一緒させていただけました。

プロモーションコンセプトの設定からトンマナの整理まで、成功のカギは巻き込む力

河口 販促全体の軸となるプロモーションコンセプトを決めるにあたり、天王寺ミオがオープン時から大切にしている「‟ミオらしさ”とは何か」を考えました。社員がそれぞれが持っている‟ミオらしさ”のイメージを出してもらったところ、共通項がたくさんあり、まずはそれを一言にすることを目指しました。それから、会社の理念やMVVはもちろん、テナントさんから聞くお客様の特徴など、様々なエッセンスを全て出して、ギディアさんにお渡しして。

石山 分析するフレームワークを使って、いただいた資料をもとにいくつかポイントを絞りました。それから、示唆しているものは一緒でも、バラバラになっているなというところを拾い上げ、それらをクロスさせたところに生まれる言葉を一つ作りました。最初に作った「わたしのセカイを充実させる」というプロモーションコンセプトは、ドラフトとして皆さんと一緒に考えるために作ったつもりでしたが、そのまま決まってしまって(笑)

河口 「これこれ!これでした!」ってなりました(笑)

石山 私は成功のカギは巻き込む力だと考え、インナーブランディングを意識しています。自分事化できている人が集まると大きな力になりますので。

天王寺ミオさんの場合は、社員さん達とテナントさんの関係値がとても良く、お客様との関係もとても密接です。そのことも含めていただいた資料をもとに‟自分たちも充実するような世界観を作る‟ということが大切なのではないかと考えました。

そして、もう1つ「ミオ」という言葉の原点回帰です。「ミオ」の語源の1つは、イタリア語の「mio」=「わたしの」という意味です。ひょっとしたら、テナントスタッフの皆さんの中にも知らない人がいるかもしれないというお話でしたので、30周年を迎える今回、ビジュアルにしたら良いのではないかと、年間を通した軸に据えさせていただきました。

株式会社ギディア EO・Creative Consultant Creative&Branding Director 石山瑶留

河口 4月にはプロモーションコンセプトが決定して、そのあとすぐにトンマナの提案も頂いて。それから7月に向けた施策の準備に入り、ギディアさんにはデザインではなく、トンマナの監修として関わっていただいていますが、とても順調に進んでいます。

石山 クリエイティブディレクターといっても、単純に創り手の中の1人でしかありませんので、一緒に作る人たちがどこの会社の誰であっても同じです。仲間であることを忘れないでほしいと思い、その意思を伝えられることができれば、出てくるクリエイティブも変わると信じています。

河口 これまで密に関わっていただいている制作会社さんにデザインをお願いする際も、押し付けられた感じがしないように、‟この3色かこの3色のどちらかで”というように、選択肢があるルールを作るなど配慮してくださって、とてもスムーズに進めることができたと思います。

特殊なインクで手書きしたオーナメントで「ミオらしさ」を表現したクリスマス

山本 クリスマスはどこの商業施設も特に力をいれていて、商業施設ごとの色が出る、お客様にとっても一番関心が高いイベントです。今回「わたしのセカイを充実させる」というプロモーションコンセプトに沿って実施する初めてのクリスマスイベントですので、全面に打ち出していきたいと考えていました。そして、天王寺ミオでのギフト選びを楽しんで欲しいという思いから、「ギフト」を1つのテーマにしました。

‟ミオらしさ”や、ほかの施設との差別化ということを踏まえて、いろんな種類のオーナメントを作ろうというお話でイメージを見せていただきましたが、一人一人に好きな色や好きなお店があり、様々に好きなものが揃っているのが天王寺ミオという場所で、それをカラフルなオーナメントで表現するというのは、プロモーションコンセプトにとても合うなと思いました。

石山 オーナメントをミオらしくするにはどうしたら良いか考え、特殊なインクを使って手描きで書くことにしました。データ化していますので、手描きと聞いてびっくりされるかもしれませんが、拡大してみると「ああ、手描きだな」とわかると思います。

山本 手描きと、温かみを出せるようにクラフト紙で作ったオーナメントは差別化になったと思います。

装飾が決まり、どんなイベントや施策をするのかを考えた時に、「プレゼントを贈る」ことにフォーカスして何かできたらということで、オーナメントをメッセージカードとしてお渡しすることにしました。

河口 ただ商品を買うだけではなく、ミオで特別なギフト選びをしていただき、ミオとの思い出も作っていただけたらいいなという思いがありました。ギフトカードを贈る施設は他にも多くあると思いますので、特別なことをしているわけではないのですが、デザインで差別化することで特別感を出し、装飾もミオだけにしかないという部分にこだわっています。

山本 オーナメントは10種類作り、そこからミオの社員とテナントスタッフさんの投票で7種類に絞り込みました。「ミオ」=「わたしの」という言葉には、ミオの社員だけではなく、ミオで働くスタッフさんやお客様も含めて、関わる方全員が「わたしのミオ」だと思ってほしいという思いがあります。自分事化するためにも、みんなに参加していただきミオ全体でクリスマスを盛り上げようという目的で、投票で決めることにしました。

12月からはこの7種類からお客様にも投票していただこうと考えています。これは、クリスマスの施策を考え始めた最初の方に出てきた話で、すごくいいねと盛り上がり、実施することに決めていました。

石山 ロゴはもっと創りこまないとと思い、家にある本をひたすら漁って一日悩みました。今日まで明かしていませんでしたが、実はこの着想はもともとは毛糸刺繍の本からだったんです。

山本 そうだったんですね!最初に見せていただいた1パターン目はもっとシンプルな感じで、それもとても素敵でいいなと思っていたのですが、少し変えましたと言って出してくださったロゴがとても良くて、みんな「可愛いね」と言っていました。まさか刺繍だったとは。

石山 発想のために、いろいろなインプットを見ていくのは大切だなと思って取り組んでいます。気に入っていただけて、本当に良かったです。

プロモーションコンセプトで、クリエイティブを論理的に判断できる

山本 クリエイティブは主観的になりやすいので、これまで好き嫌いで評価してしまうこともありました。プロモーションコンセプトを設定したことで、「私たちはこういう思いでこういうことを伝えたいから、こうしてるんです」と論理的に説明できるようになると、「クリエイティブはお任せする」という流れに変わり、社内の意思決定のしやすさにも繋がりました。

河口 ‟自分事化する”ということを目指すためにも、まずはテナントさんを直接担当する営業部内で共通の意識を持ってもらわないといけないと考えました。ですので、私たちがこうしたいと思ったことは、こまめに社内共有をしていました。その延長線でプロモーションコンセプトの話や、こういうビジュアルを出しますとか、クリスマスの考え方はこうですとか、全て繋がっているんだということを、わかりやすく伝えられたと思っています。

販促グループ内でも、「そこを表現したいんだったら、この考え方はこれであってる?」など、会話が具体的になりました。今年は年度始めにべースをしっかり作れたことで、他の施策にどう繋がっているか説明もできますし、しっかり周知することができているので、進め方に大きな変化を感じています。

石山 しっかりとお役に立ててたんだなということがわかって良かったです。クリエイティブだけですと、いろんな人の好みの意見が入ってきてしまい、はねのける方法がなくなってしまいます。文章化されたものがあり、世界観がしっかりしていると、ツッコミどころがなくなるというか、弱みが一切ない状態になりますよね。

私たちは、お客様の経営、事業の方向性を理解し、それに寄り添うようなクリエイティブを実現できたらいいなと思っています。単発のコミュニケーションではなくて、少し先を見据えた上で、目の前のクリエイティブをどう表現していくのか考えていくように心がけています。

30周年という特別な機会に、関わってくれる全ての方へ感謝を伝えたい

河口 いよいよ30周年に向けて、プロモーションイベントとして何をするのかを考えるフェーズに入ってきています。ターゲットとして考えているのは、天王寺ミオに関わってくれる全ての方です。周年は、5年や10年に1度しかない特別な機会ですし、30年というのはとても長いと思っています。30周年の取り組みを通して実現したいことは、一番は感謝を伝えることですが、この機会により多くの人に知っていただいたり、しばらく来てない人に思い出してもらったりすることができればと。

山本 このプロジェクトを始めた時に、原点回帰というテーマがありましたが、それが「ミオ」=「私のミオ」です。これはミオ全体のプロジェクトだと思っていますので、社内やテナントさん含めて、皆さんに自分事化していただくために私たちが指揮を取って巻き込んでいき、成功させたいと思っています。

石山 ありがとうございます。私は、‟クライアントさんのためって何なんだろうか”と考えた時、お金を生み出すものを作らなければならないと考えています。しかし、なかなかそれは難しい。代理店さんなど、一括でお願いしている場合は、どうしても下請けのポジションになる手を動かす方までお金が落ちてこないために、いいクリエイティブが出てこない、良い施策が出てこないという状況ができてしまう、これもずっと課題だと感じていました。そのため、PRもクリエイティブも施策も、なんでも一括でできる、ワンストップで行えること、そして他社さんが共に仲間となりPJを進行しても楽しくワンチームとなり遂行できることは、ギディアの一番の強みだと信じています。

天王寺ミオ30周年はゴールでありスタート。引き続き、一緒にチームとして30周年に向けて走っていきたいと思います。

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