遺産を有効活用することが、次なる発展の鍵となる
レガシーモダナイゼーション、もしくは、レガシーシステムモダナイゼーションという言葉があります。(参考:レガシーモダナイゼーションとは)
これと似たような表現で、レガシーシステムリバイタライゼーションという言葉も存在しています。
レガシーシステム、つまり、過去からの遺産として引き継がれた古いシステムは、当然ながら、時代遅れのものになりがちです。遺産ではなく、負債と呼ばれることさえあります。こうした、古いシステムを、現代的な設計思想で、現代的な技術を使ったものへと最新化していく、これが「レガシーモダナイゼーション(Legacy Modernization)」です。文字通り「モダナイズ(Modernize)」つまり、現代化していこうという考え方です。
同様に、そうしたレガシーシステムを、より良い形に再生し、活性化しようというのが、「レガシーシステムリバイタライゼーション(Legacy System Revitalization)」です。リバイタライズ(revitalize)は、新たな活力を与えるとか、復興する、再生するとかいった「一度ダメになったもの、元の輝きを失ったものを、再度、息吹を吹き込む」という意味を持った動詞です。
単語の構成を見るとre-vital-ize、つまり、再度‐vital‐な状態にするという意味です。vitalは、その名詞形 vitality(バイタリティ)という言葉は、日本でもなじみがあります。生命力とか、活気とか、そういう強い力・根源的な力のイメージと強く紐づいている言葉です。
かつては非常に力強く、有用だったシステムに、かつての力を取り戻させよう。それが「レガシーシステムリバイタライゼーション」の目指すところです。
負債ではなく、遺産として活用する
古くなってしまったレガシーシステムを、捨てるのではなく、再生し、活性化する。これは、非常に難易度の高い取り組みです。これを実現するためには、アセスメントが極めて重要なポイントとなってきます。いま、システムがどういう状況で、どんなペインポイントがあるのか。そして、何よりも大切なのは、そのシステムを用いてどんなビジネス上の成果を得ようとしているのか。これらを理解することが求められます。
特に、ビジネス上の成果については、過去に求められていたものと、現在求めているものが異なっている可能性がありますので、注意が必要です。レガシーシステムの設計当時に重要性が高かったこと、成し遂げたかったことも、時間の経過とともに重要性が下がっていても不思議ではありません。この部分がクリアになっていなければ、システムを最適な形に再設計することはできないでしょう。
当然ながら、システム面でのアセスメントも大切です。設計当時に想定していた性能や拡張性、セキュリティ要件が、現在のビジネス状況と照らし合わせると不十分であったと分かることも多くあります。ビジネス、システムの両側面から「現在のシステムが抱えている課題」を明確に捉えることにより、「何を活かして、何を修正するのか」を考えることができます。
こうしたアセスメントの結果に基づいて、レガシーモダナイゼーションのアプローチを検討します。システムの一部機能を再利用することもあれば、システムは抜本的に改修するが業務要件は維持するケースもあるでしょう。いずれにしても、現在の業務や組織という制約事項を踏まえて、どういう手順で、どのようにモダナイズを進めていくかを考えることになります。
また、新たに作りなおしたからと言って、それだけで未来永劫、モダンなシステムとして存在し続けるわけではありません。単純に「システムを新しくする」のではなく、これから先も、永続的に「モダンであり続ける」ための方針、手順を決めておく必要があります。
古いシステムを負債にせず、そこに込められた想いや狙いを引き継いで、永続的にビジネスに貢献し続けることができるように再生する。これが、レガシーシステムリバイタライゼーションです。