あなたは、「なぜその分析をするか」をちゃんと伝えてますか? ~ミスプリベンション外伝(後編)

AUTHOR :   ギックス

チームメンバーが迷子になるとミスが起きる!

前回前々回にわたり、ミスがなくならない部下の問題点とそれに対してどのような心構えで“見守る”べきかをお話ししました。最も重要なポイントは“見守る”という意識で、その言葉通り、部下が路頭に迷わないようにうまく誘導・ハンドリングすれば、各段にミスが少なくかつ部下自身の足で分析の砂漠を歩ききることができるようになります。分析で迷わない=ミスを生み出しにくいという数式のなかで、今回は、具体的な“ミスのない分析チームマネジメント”のポイントを3つお話しします。

1)最初から参加させる

これまで、チームで2か月進めて来たプロジェクトやすでに構築してあるデータベースを基に、いきなり「これ、分析しておいて」という分析の依頼をしていませんか。もちろん社内の人材やりくり上、いたし彼方の無い場面も多いかもしれませんが・・。(でも、実はそれは上司のあなたの責任です。本来は、プロジェクト開始時に、全体のスケジュールや今後強化が必要なポイントなどをしっかり考え抜き、洗い出しておき、将来的に必要になりそうな人材や参加してもらえそうな人材がいるのであれば、初回打合せや中間報告など節目節目で情報をリンクさせておくべきです。)
しかしながら、できることであれば、最初は当該プロジェクトに参画しないメンバーでも、初回の背景やプロジェクトの進捗、ベースとなるデータベースなど重要なポイントは逐一共有しておく(参加させておく)ことです。プロジェクト人員の増員という事態が起きたときは、すでに危機が起き始めているときであり、悠長にキャッチアップさせている時間がないことが多いです。
参画するメンバーも落下傘的に突如として前線に送り込まれることになるよりも、ちゃんと周囲の状況を把握しつつプロジェクトに参画したほうがパフォーマンスを発揮しやすいでしょう。

2)ブリーフィングの重要性

途中から参画するにせよ、最初から参画するにせよ、大事なのはブリーフィングです。ブリーフィングとはもともとは、軍隊などが作戦行動開始前に、隊員全員を集めて、攻撃目標や作戦成功条件、緊急時退避先など作戦遂行に重要な事項を共有する事前会議のことを示していました。現在はパイロットが航空機の操縦前など様々な分野でも使われだしている用語ですが、分析作業においてもブリーフィングは重要です。
もしあなたが、「そんなもん伝えなくたって、ちゃんとやってくるだろう。むしろ伝えている時間が無駄だ」と考えているとしたら、数多く起きる問題に場当たり的に対応することになり、部下の討ち死(=作業ミス)が少なくなることはないでしょう。
この段階では、プロジェクトの背景からクライアントとの関係、分析データの問題点など、あなた自身が分析をする視点で注意する点や分析の後、どのような報告資料にまとめ上げていくのかまで、ちゃんと提示して、実際に作業する部下自身が指示を出せるようにしなければなりません。

3)迷子になりそうなポイントは見に行ってあげる

最初からチームメンバーを参画させ、しかも丁寧なブリーフィングを行うことで、高い可能性でスムーズに分析がミスなく進んでいくことと思います。しかし油断は禁物です。進むべき方向性や纏めるべき資料が分かっても、ペース配分や思わぬ落とし穴、そもそもの考え違いなど、まだ未熟な部下のケアは細かい“見守り”が肝要です。山道を歩く人の分岐路に立つ進むべき方向を示す看板のように、要所要所でチェックしていくことは避けられないことです。そのチェックが1日1回が3日に1回になり、1週間に1回になりと、最終的にあなたが最初と最後だけを確認すれば大丈夫。というレベルになれば、もう言うことはありません。チームをまかせましょう。(連載おわり)

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