本記事は、株式会社ギックスの運営していた分析情報サイト graffe/グラーフ より移設されました(2019/7/1)
目次
事業会社における”分析力UP”は「とりあえずやってみて、ちゃんと考える」のが第一歩
本日は、エクセルをもっとちゃんと使おう!というお話です。
いきなり難しいことをやろうとしてませんか?
日経BP社の「データサイエンティスト最前線」の特集「高めよう!データリテラシー」内の、「決め技④ エクセルの基本を改めて学ぶ スキルの”ばらつき”をなくす」より引用します。
「すごい」「そんなことまでできるの」。驚きの声があちこちから出る。
ここは作業用品販売チェーン最大手のワークマン東京本社。2014年2月から、店舗の経営指導を担当するスーパーバイザー70人が、エクセルの使い方を学ぶ研修を始めた。
(中略)
実際にやってみると、「基本的な使い方を知らない社員も多かった」と分析チームのリーダーを務める長谷川誠マネジャーは話す。
スーパーバイザーはノートパソコンを持ち歩き、エクセルも普段から使っている。一通り使いこなしているように見えるが、実際には手作業で計算式を入力したり、グラフ作りを何度もやり直したりと、効率の悪い使い方をしているケースもある。
これは、ここで例に挙げられたワークマンに限った話ではありません。世の中の多くの企業の、多くの部門で、まさに同じことが起きています。
エクセルで”簡単に”できることも沢山ある。
連載”新入社員が知るべきデータ分析のお作法”でも述べましたが、事業会社の方が「分析する」という場合は、その大半が「集計作業」です。この集計作業を効率的に、そしてミス無くこなしていくための、非常に強い味方がエクセルです。
pivotテーブルを柔軟に使えますか?
例えば、pivotテーブル。これは、好きな項目で自在に集計してくれる便利な機能ですが、これをつくるときに「間に後から列を足してもOK(項目として反映される)が、右端に列追加するとだめ」ということをキチンと理解しているでしょうか?
そうすると、右端に集計用の新たな分類を追加したい、というような場合に備えて、データ列の最終列の右隣に「#」というような意味のない名前の列を「データ要素(2行目以下は空欄)」として追加しておいて、pivotの範囲指定時に、この列(#)まで指定しておく、というようなテクニックがあります。(もちろん、最終”行”でも同じですよ)
こういうひと工夫で、作業効率は何倍にも向上します。
「&」を使って、集計キーを作る
あるいは、そのような「集計のための分類」をつくるさいに、複数の項目を足し合わせてつくりたい、というような場合は、迷わず「&(アンパサンド)」の出番です。
1行目のA列に「東京都」、B列に「港区」と入っていた場合、C列に「=A1&B1」と入力すれば「東京都港区」となります。
あるいは、5行目のH列に「男性」、I列に「20代」、J列に「学生」と入っていれば「=5H&5I&5J」で「男性20代学生」ですね。さらに、ここに「”(ダブルクオーテーション)」を組み合わせると、任意の文字列を挿入できますので例えば、「=5I&”性別”&5H&”職業”&5J」とすれば「20代性別男性職業学生」となります。もちろん、スペースなどもいれられます。
これで「集計キー」をつくっておけば、「20代 且つ 男性 且つ 学生」 の人を抽出する場合に、毎回3つのキーを組み合わせる必要がなくなります。
絶対参照は「F4」
もっとシンプルな例だと、絶対参照と相対参照(A1なのか$A$1なのか、あるいは$A1なのかA$1なのか)の切り替えは、「F4(Function4)」ですが、こういうことを知らないで$を都度入力している方もいます。時間と手間がもったいないですね。
列全体の範囲指定は「A:A」
あるいは、[COUNTIF]などの関数で、範囲指定をする際に、「A1:A200」のように指定することもあるでしょう。これは、201行目にレコードが増えたときに困ります。そういうときには「A:A」と入れておけば、行が増えても大丈夫です。(VLOOKUPのときは、処理が重くなるのであまりお勧めはしませんが、できることはできます。)
そのほかにも、関数[SUMIFS]や[COUNTIFS]の「s」がついてからは飛躍的に便利になりましたし、[IFERROR]の登場によって[VLOOKUP]文がとてもシンプルになりました。こういうことを、ちゃんと理解し、活用できていますでしょうか?
まずは「できること」から始めて「考える癖」をつけよう
これらのテクニックは、非常に些末なようですが、生産性に直結します。実は、事業会社における分析力向上に直結するのは、こういう「基礎スキル」ではないかと思うのです。こういうのは、Amazonあたりで適切な書籍を購入すれば沢山書いてあることなので、さっさと身につけてしまいましょう。
これらの基礎スキル向上によって、作業効率・生産性があがると「考える時間」が生まれます。この「考える時間」でしっかりと深く考える癖をつけることができたときには、自然と「データを分析し、活用する」というステージに踏み込むことができるでしょう。
難しいこと、高度なこと、複雑なことを、高価なツールを使って大上段にふりかぶって取り組むその前に、今、目の前にあるツールで実際にデータを触り、「このデータから何が言えそうだろうか」と、真剣に考えてみるところから始めてみてはいかがでしょうか。
【連載、検証:エクセルでどこまでビックデータ分析ができるのか?】
【連載:クロス集計の落とし穴】
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