企業のデータ活用の実態 ~Digital Foresight 2017 講演「『BIパッケージを使わないBI』の可能性を探る」~

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「実施しているが不十分」な企業のデータ活用

2016年12月2日に開催された「Digital Foresight 2017 」に、弊社取締役 花谷が登壇し「『BIパッケージを使わないBI』の可能性を探る」というテーマでお話しさせていただきました。当該講演時に実施したアンケートは、回収数40枚と少ない母数ではありますが、昨今のデータ活用状況を理解する一助となるのではないかと考えております。

2社に1社は「すでにデータ活用を実施」

各社のデータ活用状況を見てみると、約半数が「すでに実施中」と回答しています。さらに「実施に向けて活動中」「検討中」といった回答を含めると約8割に達します。大半の企業が、データ活用に注力し始めていると言えます。

もはや、データ活用は、一部の最先端企業が取り組んでいるものではなく、広く普及しつつあるようです。

※ただし、本アンケートが「Digital Foresight 2017」のセミナー参加者を対象としていることには注意が必要です。世の中よりも、活用への取り組み度合いが高い可能性があります。

しかし「まだまだ不十分」

一方、自社のデータ活用が十分なレベルに達しているか、という問いに対しては、既にデータを活用している企業を含めても、大半(約8割)が「不十分だ」と回答しています。(「十分活用できている」という企業は、1社しかいません。)

このことから、データ活用が納得できるレベルに達していない現状が伺えます。何らかの課題感を抱えたままデータ活用を実施している企業は少なくないと言えるでしょう。

データを活用しようと意思決定し、その第一歩を踏み出したものの「こんなはずじゃなかった」という失望感や、「もっとこんなことをしてみたい」という新たな要望などを見出してきた頃合いなのかもしれません。

※先ほども述べた通り、この母集団は、世の中よりも「データ活用への取り組み」に積極的な可能性があります。その方たちが「不十分だと感じている」という状態にあることは、活用の進み具合に大きな課題がある、ということを意味していると考えられます。

BI=パッケージ、という認識は薄らいでいる

続いて、知っているツールについての回答を見てみると、Tableau Software社の提供するデータビジュアライジングツール「Tableau」が約5割の認知を獲得しています(※複数回答)。なお、Tableauについては弊社ブログでも何度か取り上げております

Tableauに次いでSAP Business ObjectsやOracleなどのBIパッケージが挙がります。今回のアンケート回答者にはクラウドDBよりもBIパッケージのほうが馴染みがあったようです。講演ではクラウドDBについてもご紹介致しましたが、もしかしたら初耳の方もいらっしゃったかもしれません。

データ活用に着手するまでは、ツール調査は限定的

データ活用の実施状況別に「知っているツール」をみると、活用中か否かで明らかな差があります。データ活用に取り組んでいる企業は、導入にあたって様々なBIツールを調査・選定したはずですので、各種ツールを「知っている」のも当然です。一方、データ活用未実施の回答者は殆どの製品に関して、分析実施企業よりも知っている比率が低い=知らないことがわかります。

ただ、唯一、Qlik社の提供するQlikSenseに関しては、データ活用未実施企業における認知が、実施企業を上回りました。

なお、データ活用実施企業ではクラウドDBの認知が低く、未実施企業においてはBIパッケージの認知が低い傾向があります。もしも、実施中企業が「かなり前から取り組んでいる」場合には、選定時にはクラウドDBという選択肢がなかったのかもしれません。また、まだ本格的に活用に乗り出せていない企業の場合には、「BIツール=高額投資が必要なBIパッケージ」という意識が薄まってきている可能性があります。

データ活用を実施する中で生まれる課題感

以上、アンケートの回答から、企業のデータ活用実施状況とそれに対する満足度、およびBIツールの知識を見てきました。

かなり世の中に浸透してきている企業のデータ活用ですが、順風満帆とは言い難い状況ではないでしょうか。データ活用に取り組んだからといって、それがすなわち“十分な活用ができる”ことを意味しません。「思いのまま」なデータ活用への道のりは厳しいようです。

そもそも、皆さんにとって “十分なデータ活用”とは、いったいどういう状態のことなのか具体的に挙げることはできますか? 現在、自社で収集・蓄積しているデータはその“十分な活用”に足るものですか? 今、自社のデータはどのように保管されて、どのようにアウトプットされていますか?

まずはそういった自社の状況をしっかりと整理し、その上で最も適したBIツールを検討する必要があります。

自社の状況によっては、最優先で取り組むべきはBIツールの導入ではないかもしれません。何をもって”十分”とするのか、そして、そのためには今何が足りていないのか、を明確にすることから始めてみてもいいかもしれません。

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遠藤 朱寧(えんどう あかね)

データ分析チーム所属。データも扱えるマーケッターを目指し、日々精進。Pythonが気になる今日この頃。動物占いはゾウ。でもキリンのほうが好き。これからの未来を築くゆとり世代。

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