DIとDXは何が違うんでしたっけ?(1)|Data-Informed × Digital‐Transformation
- TAG : Advent Calendar | Data-Informed
- POSTED : 2021.12.16 08:32
f t p h l
この記事は GiXo アドベントカレンダー の 16 日目の記事です。
昨日は「コロナ禍におけるD&Sチームのリモートワーク活用記」でした。
取締役の田中です。本日と明日の2回連載で、当社の掲げるパーパス「あらゆる判断を、Data-Informedに。」の極めて重大なキーワードである「Data-Informed」についてアチコチ寄り道しながら、あれこれ書かせていただきます。おっさんの話は長くて読んでいられないんだけど、面と向かって言うのも憚られるんだよなぁ・・・というアドベントカレンダー担当の忖度によって、しれっと2回に分割されたのは内緒です。よろしくお願いします。
前提:DI(Data-Informed)ってなに?
Data-Informedとは何ぞや、ということについては、以前、こちらの記事でも書きました。一言で言えば「データを用いて、情報面で強化されることによって、人間が、論理的に考えて合理的に判断できるようになること」です。
あるいは、少し違う表現で「KKD(勘・経験・度胸)を、データで補強する」という言い方もしています。事業を営む上で、多くの人が頼りとしているKKDは、人間の判断方法として非常に有効なものだと僕たちは考えています。しかしながら、それだけに頼っていては誤った判断を行ってしまうケースがあるのも、皆様ご認識の通りです。そこで、KKDにデータ活用を加えることによって、人間の判断能力をより高めていくことが必要となってきます。これが、実現された状態が「データインフォームド」です。
また、こちらの記事 [不確実性の高まりを”Data Informed”と”Agile”で乗り越える]において、その活用範囲についても解説しました。こうした記事をお読みいただいた方から「データではなくて、人間が主体であるという考え方は素敵ですね」「データをもとにして、物事を捉え、論理的・合理的に判断していくことは、確かに大切だと思います」というようなコメントをいただくことが増えてきました。僕たちの目指している世界、すなわち、データインフォームドな判断が当たり前のように行われる世界のことを、少しずつ皆様にご理解いただけるようになっているなと、とてもうれしく感じています。
その一方で、「で、DIってのは、最近よく聞く【DX】とは何が違うんだっけ?」というご質問をいただく機会も増えてきました。なるほどなるほど。確かに、僕たちはこれまで、その観点でのご説明をしてきていませんでした。と、いうことで、この機会に「DI(Data-Informed)とDX(Digital-Transformation)」の関係性について、ご紹介させていただこうと思います。
DX=UXの変革
まず、DX、Digital-Transformationについて、少し整理しておきましょう。
経済産業省の提示しているガイドラインより、定義を抜粋します。
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。
デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX 推進ガイドライン)Ver. 1.0 平成30年12月
https://www.meti.go.jp/press/2018/12/20181212004/20181212004-1.pdf
どうでしょう。伝わりますかね。この文章を分解してみます。そうすると・・・
- 企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、 ←対応する対象の話。一旦無視してOK
- データとデジタル技術を活用して、 ←データとデジタルは必須
- 顧客や社会のニーズを基に、 ←顧客や社会のニーズが無いとダメ
- 製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、 ←変化の対象①
- 業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、 ←変化の対象②
- 競争上の優位性を確立すること。 ←その結果得られるもの
と、なります。つまり「データ/デジタルを使って、顧客や社会のニーズを充足するために、(企業内のあれこれを変革して)競争優位を確立すること」となります。
もう少しシンプルにしてみましょう。競争優位の確立とは、顧客や社会からの支持を集めて収益性を高めていくことですから、同義反復の排除が可能そうです。そこで「データ/デジタルを使って、顧客/社会のニーズを満たすために、企業活動を変革する」という感じになります。
デジタル技術でUXを変革しようよ
まだ、長いですか。そうですね。ということで、田中的超訳です。
DXとは、UXの変革です。
はい、シンプル。超シンプル。さすがにもう少し正確に書くと、DXとは、UXの変革 with デジタル技術、です。
UX、は、User eXperienceのことです。日本語に訳すとユーザー体験、顧客体験、みたいなことですね。(詳しく知りたい方は、是非、グーグル先生に質問してみてください ➡ 検索「UX とは」)
ユーザー体験、顧客体験を、より良いものにしていこう!と考えたときに、できることはたくさんあります。例えば、スーパーのレジの待ち時間を減らす、というのは、より良いユーザー体験の一例でしょう。その場合に、何ができるか考えると・・・
- レジの数を増やす(レジ打ちの人を増やす)
- レジ打ちの人の隣に、袋詰めする人を増やす(一人当たりのレジ打ち時間を減らす)
- フォーク型待ち行列にする(レジごとに並ぶのではなく、待ち行列を一本にすることで、全体の待ち時間を平準化する)
みたいなことが、最初に浮かびます。まぁ、めちゃめちゃアナログですが、それぞれ一定の効果はありそうです。もう少し考えてみましょうか。
- 待っている人数をカウントして、各レジの上に表示する(フォーク型にできない場合に、平準化効果がありそう)
- 予想待ち時間を表示する(人数とほぼ同義ですし、根本的解決にはなりませんが、心理的ストレスは低減できそう)
みたいな感じはどうでしょう。これ、簡単そうですけど、画像解析とかで行列人数のカウントをしたり、一人当たり処理時間とかを計算したりする必要があるので、割と面倒な打ち手なんですよね。効果あるのかも疑問ですしね。もう少し考えてみましょう。
- あらかじめ、欲しい商品をネットオーダーしておいて、帰りにピックアップする(会計は事前登録したカード)
- 商品を冷凍/冷蔵コインロッカーに入れておくと、順番に会計処理を行い、計算が終わったらスマホに通知が飛んでくる(決済しないと開かないロッカーにする感じ?)
このあたりは、全力で「デジタル」って感じがしますね。一つ目は、アメリカでは実用化されてますよね。車社会ならではってところもありますけど。二つ目のやつは、スーパーだと(客単価やスペース効率の問題で)難しいかもしれませんが、百貨店の食品エリアとかでは実現余地があるかもしれません。
で、何の話なの?ってことなんですが、こうしてみていただくと「UX=ユーザー体験・顧客体験を変革する」には、デジタルを使っても、使わなくてもいい、ってことに気づきますよね。そうなんですよ。
UXに関係ないデジタル活用もある
で、ここが大切なんですけど、デジタルを使わないUX変革があるのと同様に、UX変革に(それほど)関係ないデジタル活用も存在します。
たとえば、「固定電話を廃止して、全社員にスマホを配った」。どうでしょう?デジタル技術を使ってますね。で、会社の席にいなくても、どこでも電話に出られるというUX変革。。。いや、んー。って感じですよね。だったら「全社員のスマホに、個々に紐づけた固定電話が自動転送される」の方が良いです。もちろん、時間帯などで着信制限をつけられるような機能は必須でしょうね。
テレビに出していた広告を、web広告に変えました!なるほど。スマホで見られて便利ですね。って、いやいや、同じ動画を流すの?同じ秒数で?それで、ユーザー体験は変わりますか?
いままでエクセルで入力していた売上データを、みんなで同時編集できるGoogle Spreadsheetに変更した。わかります。めちゃめちゃ便利です。すぐやるべきです。でも、それ、DXって呼ぶ?
いや、別に法律で定められたものではないので、どう呼んでも良いのですけど、それで「競争上の優位」につながっていくんでしょうか、ってお話です。そうじゃないなら、それ、単なる「デジタル化」じゃないの?と。電報がFAXになってe-mailになってmessenger/slackになったのは素晴らしいことです。そろばんが電卓になってエクセルになったのは素晴らしいことです。それによって、いろんなことが変わりましたが、ただ、それを使ったというだけでは「競争上の優位」は、つくれません。それらの技術を活用して、業務を変革するところまで考えないと、UXは変わらないよね?って思うわけですよ。
要するに、僕が言いたいのは「UXに効くデジタル技術活用こそが、DXなんじゃないか。」ってことなわけです。
DIの話は、また明日。
と、いうことで、まったくDI(Data-Informed)の話をする前に、3000文字を超えました。話が長いおじさんにありがちな「本題に辿り着く前に、第1回が終わる」という、自社メディアじゃなかったらガチ怒られが発生する感じで、本日は終了です。
明日は「DIとDXは何が違うんでしたっけ?(2)」を公開予定です。
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