ギックスの本棚|やらないこと戦略(ドナルド・ロース/CCC MEDIA HOUSE): 仕事版こんまり経典
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- POSTED : 2019.04.12 08:41
f t p h l
何をするか、ではない。何をしないか、だ。
本日は、積読されたまま、こんまりメソッドによってさくっと処分されそうになっていた「やらないこと戦略」を読み解きます。
こんまりと同じアプローチ
先日、今更ながらに行った”こんまりメソッドの経典”こと、「人生がときめく片づけの魔法」の読み解きでも述べた通り、僕は現在、こんまり教に則った書類・書籍整理を行っています。書類については、片っ端からシュレッダーにかけていますが、本については、教祖様の教えに背いて、内容確認を行っています。
教義に従うなら
- 書籍を全て床に並べる
- 表紙をたたいて起こす
- ときめくかどうか確認する(絶対に仲は読まない)
- ときめいたら残し、ときめかなかったら処分
という手順になるのですが、さすがに、僕にとって本は仕事道具なので「表紙を通して訴えかけてくるかどうか」だけでは選べないんですよね。あと、「読みかけや未読本は永遠に読まれないから捨ててよし」も、商売道具なので勘弁していただきたい。
よってもってして、僕のアプローチは
- 書籍を床に並べていく
- 並べながら、ときめかないものは、即処分(すでに40冊くらいは処分しました)
- 迷うものは、一読して「ちゃんと読む」「処分」を決める
ということにしました。一読とは「一冊10~20分程度で要点を拾う」ということです。で、実際にやってみると、2-3ページ進んだところで「これはちゃんと読もう」と思う本と「あ、流し読んだら十分だな」という本が見極められます。
とはいえ、それだと、極めて多くの本を残すことになるので、
4.ちゃんと読んだうえで、「残す(=ときめく)」と「処分(ときめかない)」に分ける
ということを行っています。
(※ちなみに、この本はSTEP4まできた結果、残念ながら「処分」ということになりましたが、非常に学びが深いので、書評にまとめた次第です。)
話が長くなりましたが、なぜ、この本を「ちゃんと読む」ということに至ったのかといいますと、この本は「こんまりと同じこと書いてる」んですね。
教祖様の記した経典と同じことが書かれてる本を、読まずに捨てるわけにいくものか、ということです。一言で言えば「何を残すか」を決めよう、という考え方について書かれています。本書も、タイトルは「やらないことを決める」というように読めますが、実際には「やることを決める」というアプローチになっています。
っていうか、まんま「こんまり」やん。
幾つか、対比をしながら見てみましょう。
- 心の望むことをする → ときめくことだけをやる
- 心からしたいことをしている自分を見つけ出す → ときめくものだけに囲まれた生活を想像する
- 3ヶ月以上やらなかったことはリストから消去 → ときめかないのに捨てられないのは「役目が終わった」ということ
うん。同じこと言ってるよね。
つまり、こんまりメソッドは、モノの整理だけではなく、タスク整理にも使えるということですね。こんまり凄い。
情報・タスクの断捨離
本書で語られるのは、要するに「捨てる」ということです。いわゆる断捨離ですね。情報を断捨離するための考え方を抜粋・要約すると、こうなります。
- 見逃す恐怖(Fear of Missing Out)から脱却して、見逃すことの喜び(Joy of Missing Out)を感じる。
でた。JOY. JoyがSparkする。こんまりさん、こんにちは。
具体的に見ていきましょう。
- 会話の階層は、対話→電話→メッセージ→電子メール→郵便 なので、誰かと話しているときに、電話やメッセージを見るのはおかしい
- SNSは、全ての自分の投稿に「だから何?」と問うてみる。それが大半なら、そのSNSをやめる。
- ちゃんと準備する。打合せをするなら、宿題をやってから臨む。相談を受けるなら、きちんとメールで詳細をもらう。案件を受けるなら、ブリーフィングを行う。
- シングルタスクにする。マルチタスクは断固拒否する。
- 1+1=3になる人と組む。1+1=2以下は、組まない。時間の無駄だから。そのためには、軸を一つずらした相手と組むと良い。同じ仕事を違う考え方でやっている人 もしくは 違う仕事を同じ考え方でやっている人。
- お茶しながら会いたい、は断る。やるとしても、ギリ、ランチミーティング。(お茶は飲まなくてもいいが、ランチはなんにしても食べるから) お茶会をするとしたら、できるだけ大勢でやる。その方が効率的。
- 自動化しろ。
- 追加するな、省け。
さすがに、本書のテーマが仕事に関する話=収入に直結する内容なので「ときめかないものは、全部捨てろ」とまでは語られません。が、基本的には「ときめくものを残せ(本当にやりたいことをやれ)」「本当にやりたいことに付随する”やりたいわけではないこと”・”やらなくていいこと”は、最小化しろ」というアプローチです。慧眼。
人生の手綱は、自分で握るのだ
冗談めかして「こんまり」だのなんだの書き散らかしてきましたが、本書とこんまり本は、本質的な部分で同じであると僕は本気で思っています。
どこまで行っても、全ては自分の決断です。人生の手綱を他人に渡してはいけません。本書では、自分が得意なことを見極めよ、とも語られています。「やりたいこと」ではなく「やること」を決めるわけですから、得意でないことをやってもしかたないのです。
自分自身が「何にときめくか」を本気で突き詰めて考えれば、それは、自分自身をより深く理解することにつながります。そして、自分自身を理解すれば、何を選択するかも自ずと定まってくるのです。”もの”であっても、”仕事”であっても、”人間関係”であっても。
例えば、上でご紹介した「対話→電話→メッセージ→電子メール→郵便」という会話の階層。この順番が成立するためには、「同じくらい大切な人たちとの会話」でないといけません。だって、「いまいちな人との対話」だと「重要な人から電子メールや郵便」の方が重要度が増すことになるでしょう?
自分自身のときめき選球眼を磨き、何を選び、何を選ばないかを決めていくことが、豊かな人生につながるんだと思います。ちゃんと選ぶぞー。(ということで、本書は処分です。こんまり様的に言うと「お役御免」ってことですね。)
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