Intelが高性能スティック型PCを発表 ~競合メーカとスペックも価格も別格~/ニュースななめ斬りbyギックス
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- POSTED : 2016.02.03 08:25
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Intelのスティック型PC(STK2MV64CC)の価格は5万円超え! 競合メーカーと差別化を図っているのでは?
「スティック型PC」とういものが初めて発表されてから1年が過ぎました。初めは「マニアック」な印象がありましたが、1万円前半で購入できる「お手頃さ」と、自宅TVに繋ぐだけで使えるという「使いやすさ」から、各種メディアで取り上げられ、それなりに認知されているのではないでしょうか?
連載:スティック型を使ってみた
そんな中、米Intelは1月6日(現地時間)、スティック型PC「Intel Compute Stick」のハイエンドモデルを発表しました。CPUメーカーで有名なIntelも、他社と同程度のスティック型PCを販売していましたが、今回、発表されたスティック型PCは、今までのスティック型PCとは別格でした。今回は、この高性能スティック型PCをご紹介しながら、スティック型PCの新たな用途について考えてみたいと思います。
画像参照:Intel® Compute Stick Featuring the Intel® Core™ M Processor
記事参考:マイナビニューズ | Intel、スティック型PC「Compute Stick」に新モデル – 上位はCore m搭載
Intelのスティック型PCは価格とスペックが桁違い
新しいIntelのスティック型PC「Intel Compute Stick」について、Intelのページから抜粋しました。(上位の5つのSTK2MV64CC、STK2M3W64CC、STK2M364CC、STK1AW32SC、STK1A32SCが1月6日に発表されたモデル)
今回、発表されたモデルの中で、特に注目しているのは上位3つのモデルです。このモデルで使用されているCPUは「Intel Core mシリーズ」と呼ばれる新しいCPUです。このCPUは、IntelのモバイルCPUの最上位シリーズに位置づけられ、他社のスティック型PCに搭載されている「Intel Atomシリーズ」の何倍もの処理性能があると思われます。また、メモリは4GB、記憶容量となるeMMCは64GBなどになり、これも他社のスティック型PCの倍以上のスペックになっています。また、一般的なUSB 2.0より高速通信ができるUSB 3.0、micro SDスロットなどの入力インターフェースも魅力的です。最新のCPUや大容量メモリ、eMMCを「これでもか!」とばかりに小さい本体に詰め込んでくるのは、流石CPUメーカーの開発力だと思います。
しかし、最上位機種の販売予定価格は$499ドル(日本円で約6万円)となり、日本で主流になっているスティック型PCの約5倍の価格になっています。更にOSも入っていないため、パソコン初心者には手を出しにくいです。この点では、スティック型PCの特徴である「お手軽さ」とかけ離れているのではないでしょうか?
なぜ、このような一般のユーザーが手を出しにくい高性能スティック型PCを作ったのでしょう? 今回は、パソコン用途以外の使い方として、Iotデバイスでスティック型PCを導入したらどのような効果があるかを考えてみたいと思います。
スティック型PCはIotデバイスとして利用できる
Iotデバイスは、赤外線センサーや温度センサー、加速度センサーなどの各種センサー情報を無線LANや携帯電話通信網に載せてサーバーに送っています。この時、センサー情報をデータ通信網に載せる機器としてスティック型PCを導入することができます。
Iotデバイスの中には通信機能を持っている物もありますが、非常に高価な場合や機能制限があるものがあります。しかし、スティック型PCを使うことで安価に、かつ機能を柔軟に追加・設定することができます。更に、スティック型PCは、無線LAN機能と省電力+省スペースの効果によって場所を選ばず配置でき、短時間であればスマホのモバイルバッテリーでも動作することが可能です。
この様にスティック型PCは一般的なパソコンの用途以外にIotデバイスとしても利用可能です。
Intelのスティック型PCはAIデバイスになれる
Iotデバイスを設置する時に問題になるのがデータ通信量です。赤外線センサーや温度センサーなどのセンサー情報は、情報量が少ない文字情報として送ることができるため、データ通信網に簡単に情報を流すことができます。しかし、カメラの映像や音声は非常に情報量が多いため、これらの情報を携帯電話通信網に流した場合、データの遅延が発生したり、膨大なパケット通信料が掛かります。この問題を解決するために、従来のIPカメラでは、解像度を粗くしたり、コマ送りにするなどによって情報量を減らした結果をデータ送信していました。
しかし、高性能スティック型PCを使用することで、カメラから撮った映像を直接解析することができるようになります。これによって、映像解析結果の文字情報のみを送ることができるためデータ通信量を減らすことが可能です。また、カメラから撮った鮮明な映像から映像解析できるため、解析精度も上がります。
このように、高性能スティック型PCを使うことで、センサーをデータ通信網に載せるだけのPCから、センサー情報を自ら解析してデータ通信網に載せるAIデバイスのような働きをさせることも可能になります。
今回、発表されたIntelの高性能スティック型PCは、高性能CPUと4GBのメモリ、高速なUSB 3.0など映像解析に十分対応可能な機能はあると思われます。また、Iotデバイスとして使用する場合、WindowsよりLinuxなどを多く採用していることから、最初からOSを抜いて価格を下げているのかもしれません。
スティック型PCには様々な可能性がある
スティック型PCの利用方法は、Iotデバイスの用途以外に、複数台を並列処理する分散処理などの省スペース+省電力を活かした様々な用途が考えられます。現在の利用方法の中心は、サブPCとしての用途が多いですが、今回のような高性能スティック型PCの登場によって、様々なニーズが生まれていくと思います。デスクトップPCやノートPC、タブレットPCのように「スティックPC」として、一般的なPCのカテゴリの1つになる日も近いかもしれません。
【連載記事:Windowsスティック型PC m-Stick MS-NH1を使ってみた】
1. SetUp編
2. 導入編
3. 秘密に迫る編(ライセンス無料? Windows 8.1 with Bingってなんだ!?)
4. ”熱暴走”と戦う編
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